「なぜ鉄道じゃない?」 葛飾区「新金線」がBRTに決まった理由 “LRT(路面電車)との違い”はドコ?
- 乗りものニュース |

東京都葛飾区の貨物線「新金線」の旅客化計画でBRT導入の方針が固まりました。LRTとよく比較されますが、コストや性能、「向き不向き」などの違いはあるのでしょうか。
なぜ「新金線」は鉄道ではなくBRTなのか?
東京都葛飾区を南北に走るJR貨物の「新金線」を旅客化し、区内の交通利便性を向上させることは長年の悲願でした。
新金線(画像:写真AC)
しかし長年の検討の結果、葛飾区は2025年に鉄道による旅客化を事実上断念し、「BRT(バス高速輸送システム)」を導入する方針を固めました。
計画では、現在単線で運行されている貨物線の隣にある複線化用地を活用してバス専用道を整備し、BRTを走行させるとしています。
なぜ鉄道やLRT(Light Rail Transit:次世代型路面電車システム)ではなくBRTが選ばれたのでしょうか。
その理由はコスト、技術的実現性、そして柔軟性にあります。
BRT案の概算事業費は約320~560億円とされ、鉄道整備より大幅に安価です。国の補助などを活用すれば区の負担を大幅に抑えられる見込みです。経済性を示す費用便益比(B/C)、いわゆる投資した費用に対しどれだけの効果・利益が生まれるかを示す指標も約1.1~1.7と良好で、事業として成立する可能性が高いと判断されました。
一方、鉄道案には国道6号との交差部の立体化や駅用地の確保など、実現が困難な技術的課題がありました。BRTであれば、専用道の端から一般道に降りて駅前広場に乗り入れることが可能で、最大の難所を回避できます。
では、このBRTとは具体的にどのようなものなのでしょうか。よく比較されるLRTとの違いも見ていきましょう。
いまさら聞けない! LRTとBRTって何が違うの?
LRTは前述したように「次世代型路面電車システム」と訳されます。床が低い車両(LRV)で停留所との段差をなくし(バリアフリー化)、専用の軌道(レール)や信号優先(PTPS=公共交通優先システム)によって速達性・定時性を高めたシステムです。
宇都宮ライトレール(乗りものニュース編集部撮影)
電力で走るため環境性能も高く、「宇都宮ライトレール」のように地域再生のシンボルとなることも期待されています。法的には「軌道法」に基づき、レールという固定インフラが必須です。
一方、BRT(Bus Rapid Transit)は、バス専用道やバス専用レーン、連節バスの導入、信号でのバス優先(PTPS)、GPSによる運行管理などを組み合わせることで、従来の路線バスより高い速達性・定時性・輸送力を実現するシステムです。法的には「道路運送法」に基づき道路を走行します。
両者の明確な「境界線」は、レールかタイヤかという物理的違い以上に、その柔軟性です。
LRTはレールに縛られます。一方でBRTは専用道で定時性を確保しつつ、必要なら一般道に乗り入れて路線を延ばすことができる、この柔軟性がBRT最大の強みです。
ただし注意点もあります。BRTはあくまで「システム」であり、単に連節バスを導入しただけではBRTとは言えません。専用走行空間の確保や信号優先などによって渋滞の影響を排除し、従来の路線バスを明らかに上回る速達性・定時性が確保されて初めてBRTと呼べるのです。
実際、本格運行前の東京BRTでは、専用インフラが不十分だったため表定速度が10km/h程度と、都内の一般路線バスと大差ないという事例もありました。
コストか? まちづくりか? LRTとBRTの「向き不向き」
LRTとBRTのどちらが都市に適しているかは、重視するものによって変わります。
ひたちBRT(画像:写真AC)
コスト面ではBRTが圧倒的に有利です。整備費用はLRTの10分の1程度ともいわれ、車両価格もバスのほうが安価です。
速達性や定時性は、専用走行空間を確保すれば両者に大きな差はありません。輸送力も、LRTは車両連結、BRTは連節バス導入や高頻度運行で、同等水準を実現できます。
運行の柔軟性でもBRTに軍配が上がります。専用道から一般道へ乗り入れ、郊外の住宅地まで直通できるのはBRTならではの強みです。「ひたちBRT」では、廃線敷の専用道と一般道を組み合わせ、工場や学校へ直接乗り入れています。
環境負荷では、走行時に排出ガスゼロのLRTが有利ですが、BRTもEVバスなどの導入で改善可能です。
まちづくりへの影響力では、LRTが優位とされています。軌道という恒久的インフラは都市のシンボルとなり、沿線への投資を誘発しやすいからです。しかしBRTも、まちづくりと一体的に整備する例が増えています。
まとめると、LRTは初期投資は大きいものの、都市の骨格を変える力を持つ「都市構造改革型」の選択肢です。一方、BRTは低コストと柔軟性を武器に、特定の交通課題を効率的に解決する「課題解決特化型」のシステムといえるでしょう。
BRTと一口に言っても、国土交通省はその特性から「高い輸送力」「高い速達性・輸送力」「観光需要等に対応」「高い速達性」の4タイプに分類しており、都市の課題に応じて最適なシステムを構築できるのが特徴です。
LRTとBRTのどちらを選ぶかは、その都市が目指す将来像と解決したい課題によって決まるのです。
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