クルマ買取「どっかで聞いたような手口」のトラブルに国民生活センターが警鐘 まだやってるのか中古車業界と非難もできない?
- 乗りものニュース |
クルマが高く売れた、ところが契約後「事故車とわかったから減額する」――どこかで聞いたようなトラブル事例が増えているのか、国民生活センターが注意を促しています。
売買契約後の修正、売主も買取業者もできません!
クルマを高く売りたいのは、オーナーなら誰しも思うこと。思ったより高く売れたという安心感で契約後に「事故車とわかったから減額」―-ん? どこかで聞いた手口。そのほかにも、クルマ売買に関するトラブルに、国民生活センターが2024年6月18日に注意を促しました。
中古車店のイメージ(画像:写真AC)。
オンライン上の「一括査定サイト」に登録すれば、クルマをより高く売れる。そんな思いで申し込んで、買取業者を選択。高く売るコツは、数社にコンペ形式で見積を取り、いちばん高額を提示した業者に売却と、考えていませんか。
そんな心のスキマに忍び寄るのが、高値一転「修復歴や事故歴があるので減額させてもらいます」、という手口です。国民生活センターには、こうした相談が多く寄せられています。
このケースでの重要なポイントは、契約が成立しているタイミングです。トラブル相談例では、買取金額を提示した業者と契約後、車両を引き渡し、代金が振り込まれるのを待っているタイミングで「減額」の連絡が入っています。代金は受け取っていないのに、すでに車両は業者の手にあるという不利な状況で、なかなか強く言い出しづらい、というのが現実のようです。
これに対して国民生活センターは、こう話します。
「査定して契約した後に、修復歴や事故歴を理由とした契約の解除や減額には応じる必要はない!」
買取業者が、見積りの段階でめいっぱいの高額を提示して、まずは査定にこぎつけたいというのはわかります。しかし、査定士はプロなので、その金額で契約後に訂正するのはスジが通りません。ただ、この契約とは別に、売主が修理歴や事故歴を知っている場合は、事前に申告する必要があります。
やっぱやめた、も通用しない?
一方で、その逆もあるかもしれません。契約をした後に、売主の気が変わった、あるいは諸事情で取り消したい――そこで、世の中にはクーリングオフという契約後の再考期間があるではないか、と思うかもしれません。
クーリングオフは訪問販売や電話勧誘販売などに適応されるため、車両の売買でもよくあるケースです。しかし、国民生活センターは、今度は売主に注意を促します。
「車の売却は、特定商取引法におけるクーリング・オフの対象外です。いったん契約をすると、原則として契約書の内容に拘束されます」
つまり、売主も業者も、契約書に基づいて取り決めを守られなければならない。そのために契約書の内容を、よく理解する必要があります。
例えば、業者が減額を迫り、それを売主が拒否した場合に、業者が車両の引き取り手数料といった要求するかもしれません。しかし、そもそも契約成立後に、契約書にない手数料の支払い義務はありません。また、契約書に書かれた以上の割高な手数料も無効です。
ただ、高過ぎると思えるキャンセル料でも、それが契約の段階で明記されていた場合、売主は従う必要が出てきます。
カネを見るまでモノは渡さない
一般的に減額の対象となる“修復歴車”は、「交通事故やその他の災害により、自動車の骨格等に修復歴のあるもの」とされる(画像:日本自動車査定協会)。
悪質な買取相談例では、代金の支払いが引き延ばされるということがあるようです。相談例では、契約から1か月後に支払うことが約束されていたものの、支払い日前日に金策がつかなくなったと、先延ばしにされるケースがありました。
このケースでは契約内容通りに履行することが当然で、そもそもトラブルを超えた問題に発展しそうなので、国民生活センターは、このようにアドバイスしています。
「買取代金の支払いがなされるまで、クルマおよび移転登録書類などの引き渡しを延期することも一法です」
車両売買の業界団体「一般社団法人日本自動車購入協会」が、売買契約のモデルとなる契約書約款をオンラインでも公表しています。あらかじめ目を通して、契約書に慣れておくことで、契約書の目の付け所を覚えておくことができるかもしれません。
ちなみに、この売買契約モデルでは「売却するクルマを事業者へ引き渡した翌日まではキャンセル料を払うことなく解約できる」となっています。
国民生活センターは「少しでも不安があったら早めに相談を」と呼び掛けています。
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