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ランク付けはおかしい、僧の堕落…「戒名」へのさまざまな批判に反論する

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  • オトナンサー
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さまざまな批判もある「戒名」
さまざまな批判もある「戒名」

「戒名を付けて、何文字かで何十万円も取られた」「戒名に何百万円もかかった」。このような話を聞くことがあります。「戒名を付けるのは日本だけだ。日本の僧侶は堕落している」という話も聞きますが、これは案外、日本仏教を否定したい人たちの偏向した意見といっていいものなのです。

「高い戒名」「安い戒名」の違い

戒名の構成
戒名の構成

 宗派によって異なる部分はありますが、「戒名」の本体は2文字で、「院号+道号+戒名+位号」という構成になっています。例えば、この図では「笹錦」が戒名で、「越光」が道号です。

 戒名とは文字通り、戒律を授けられた人の名前です。仏教では「殺してはいけません」「盗んではいけません」といった「仏教徒として守れるのがよいこと」とされるさまざまな“戒”があります。それを守って旅立つ人が、師匠である導師に戒を授けられて「あなたは正式に、私たち僧侶の仲間です」と送り出してもらうのが、仏教のお葬式の形です。

 つまり、旅立つ人を「お坊さん」として死後の世界に送り出すので、そのときに付ける「お坊さんとしての名前」が戒名なのです。お坊さんとしての正式名称が「戒名」で、そこに、普段呼ぶための名前である「道号」が付いていると思えば分かりやすいでしょう。三国志に出てくる諸葛亮孔明が、歴史ドラマなどでは「孔明」と呼ばれるのと同じようなものと考えてください。

「院号」「位号」の違い
「院号」「位号」の違い

 ではなぜ、高い戒名や安い戒名があるといわれるのでしょうか。

 現在は基本の位号として、「信士(しんじ)」を付けてもらえます。普通の壇家(だんか)さんであれば、「信士」「信女(しんにょ)」といった感じです。信士・信女は「よく仏教を信仰した人」という意味です。

 中には、特別な寄付をしてくれた“超のつくスポンサー”の壇家さんもいるわけで、そうした人たちには「スーパーお檀家さん」の意味で「居士(こじ)」「大姉(だいし)」といった位号を付けます。居士の語源は「家に居る士」であり、労働をしないで家にいて、仏教や学問に勤める人のことですから、大昔にそんな生活ができるのはお金持ちということです。

 平たくいうと「豊かで立派な人」という意味で、女性の場合は「大姉」が居士にあたります。そのため、「居士号をください」という話になれば、「お布施も名前相応にしてください」となるわけです。

 院号は、居士よりずっと上の扱いです。「院」は立派な寺のことで、「立派なお寺を1軒建てたぐらいの功績があった人」という意味で授けられます。昔は、本当に寺を建てないと付けてもらえませんでしたが、だんだんと庶民化し、相応の貢献があれば付けてもらえるようになりました。そのため、院号を付けてもらうと、お布施の金額は大きくなります。「スーパーグレートお檀家さん」が、院号という形になるのです。

 寺が大きかったり、由緒正しかったりすると運営にお金がかかります。そのため、檀家さんには、そういう院号・位号の仕組みを踏まえて、「このくらいの金額でお願いします」とお布施の金額が決まります。戒名に金額の差があるのはこうしたことが理由で、そのおかげで寺が維持・運営でき、多くの人の供養が続けられるという意味もあるのです。

本名があれば戒名は要らない?

「本名があるんだから、戒名なんか必要ない」「立派な名前があるから、なじみのない名前なんか欲しくない」という反論もあります。勘違いしやすいのは、戒名を付けてもらったからといって、本名がなくなるわけではないことです。

 例えば、相撲の世界でいえば、元横綱の朝青龍関は本名の「ドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ」を失ったのではなく、本名の他にお相撲さんとしての名前である「しこ名」を付けてもらったわけです。落語家や芸事の世界も「その世界での名前」が付きますが、今まで使っていた名前を失うわけではありません。

 今どきの戒名は、本名から1字取って付けることが多くなってきました。ただし、実際は戒名を付けてくれるお坊さんが「戒名にも親しみを持ってもらうため」に1字取っているだけで、特に1字取らなくてはならないということではありません。

戒名に対してなされる批判

 一時期、「戒名は自分で付けていい」という流れが強まったことがあります。確かに、本来は戒名を付けるのも名乗るのも自由なのですが、それが「ちゃんとした戒名ですか」と考えると疑問が残るところです。

 お坊さんたちはそれぞれの宗派に属し、その宗派のやり方を守って何百年、何千年と仏教を守ってきた人たちだからです。その人たちが先人の戒律を代々継いでくれたので、授けられる戒にも意味があり、それに伴う戒名も由緒正しい、仏教徒の名前といえるのです。

 自分だけが認める戒名は「戒名のようなもの」としか呼べません。その“戒名”で「法事をしてください」「葬儀をしてください」などとお願いして、お坊さん側も「これは戒名として成立してないんだけどなあ」と困ってしまうような“戒名”に出会うこともあるそうです。戒名は、普通のお坊さんに普通に付けてもらった方がよいでしょう。

「戒名はお釈迦(しゃか)様の時代にはない」「海外では戒名なんかない」というのもよく言われる批判です。ただ、戒名を授けるのは物事の本質ではなく、「戒を授けて、お坊さんの仲間として送り出す」のが本体です。戒を授けることに対してお布施をするのは、日本以外の仏教にも見受けられます。日常的に僧侶を呼んでお布施をする習慣が少なくなっているので、戒名を含む葬儀のお布施がたたかれるのでしょう。

「他の宗教では、葬儀のときにお金がかからない」というのも、実家が曹洞宗で、自身はカトリック信者という人の言葉を借りれば、「どちらだって変わらない。普段払っているか、まとめて払うかの違いだけじゃない?」です。宗教が違ってもそうなのですから、施設があり、専任の人を確保しなければならないのなら、たとえ海外の仏教であっても必要な費用は変わらないといえるでしょう。

 また、位号・院号について「死んでもランクがあるのはおかしい」とはよく聞く話ですが、先述したように、檀家さんの中で貢献があった人を素晴らしいとたたえているだけです。例えば、一般の檀家さんが30万円の寄付をしてくれたところに「倍出す」と言った人を「居士」、「4倍出す」と言った人を「○○院」と呼びます、としているだけです。

 位号によって不当な扱いを受けるなら、「その区別=悪いもの」になりますが、そのような話は聞いたことがありません。むしろ、居士や院号は「豊かな者です」「寺1軒寄進できるぐらい」という意味ですから、遺族の側から進んで「寄付をちょっと多めに」という話すら聞きます。

 いい位号や院号を授けてもらえるほどの貢献がある檀家さんがいることで、一般の檀家さんの寄付金額などが高額にならずに済み、お寺が維持できていると考えれば、むしろありがたい話ではないかと思うのです。

佐藤葬祭社長 佐藤信顕

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