「コインランドリーはもうかる」のは本当? 店舗が増え続けている理由は?
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首都圏を中心に、街中でコインランドリーを見掛けることが多くなりました。民間企業などの調査によると、全国のコインランドリーの店舗数は年々増加傾向にあり、2021年時点で2万店以上あると言われています。なぜ、コインランドリーが増え続けているのでしょうか。また、ネット上で「コインランドリー経営はもうかる」といった情報をよく見掛けますが、本当に他のビジネスに比べて収益を上げやすいのでしょうか。経営コンサルティング、総合人材サービスなどを行う企業、アトワジャパン(千葉県習志野市)CEO(最高経営責任者)で、経営コンサルタントの江田泰高さんに聞きました。
共働き世帯の増加が背景
Q.コインランドリーの市場規模について、教えてください。なぜコインランドリーが増え続けているのでしょうか。
江田さん「確かに私も最近、コインランドリーへの投資を検討したいという人から相談を受ける機会が増えました。実際に、マーケットとしては伸びています。矢野経済研究所が2021年に実施した『国内クリーニング関連市場に関する調査』によると、2020年のコインランドリーの市場規模は1001億円で、2016年比で1.3倍に拡大しています。また、同調査では、2022年の市場規模が1016億円になると予測しています。一方、クリーニング店の2020年の市場規模は1723億5000万円で、2016年比で41.5%減少しており、苦戦を強いられています。
2020年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの普及や客先訪問の減少などにより、ワイシャツやスーツを中心としたクリーニングが必要な衣類の需要が大幅に低下し、クリーニング業界にとっては総じて厳しい1年となりました。一方で、家で過ごす人が増えた結果、普段着の洗濯物が増加したこともあり、コインランドリー需要が増加したと思われます。
そもそも、コインランドリーが増加する背景には、家庭の膨大な量の洗濯物に対するニーズがあります。コインランドリー機器メーカー最大手のアクアによると、国内の洗濯労働市場は約5兆2000億円と推定されています。矢野経済研究所が算定したコインランドリーの市場規模は1000億円なので、全体の約2%にとどまります。また、コインランドリーの市場規模とクリーニング関連全体の市場規模を合わせても、洗濯労働市場全体の6%程度です。つまり、残りの94%は家庭で処理されているのが現状です。
私も自宅で洗濯をすることがありますが、洗濯機を使い始めてから洗濯物を干し終えるまでに1時間ほどかかります。単身世帯や共働き世帯である程度の所得がある場合は、洗濯に時間を使うよりも同じ時間を仕事に充てるほうがよいと判断するケースも増えているようです」
Q.では、コインランドリーを利用する主な客層について、教えてください。どのような目的でコインランドリーを利用することが多いのでしょうか。
江田さん「最も多いのが、共働き世帯です。例えば、平日に洗濯する時間がなく、『自宅の洗濯機で数回分の量の洗濯物がたまってしまい、休日は洗濯に時間がかかる』といったケースのほか、夜遅い時間に洗濯すると『子供が起きてしまう』『近所の迷惑になる』といったケースなどで、空いた時間に効率的に洗濯を済ませる目的で利用する人が特に多いです。コインランドリーには大型洗濯機が設置されていることが多く、一度に大量の洗濯物を洗うことができます。
また、ダニや花粉によるアレルギー対策で頻繁に布団や枕などの寝具を洗濯したいというニーズも増加しています」
Q.コインランドリーの経営について、教えてください。コンビニエンスストアと同様、フランチャイズ方式で経営する店が多いのでしょうか。それとも、個人商店のような店舗も多いのでしょうか。
江田さん「個人商店もありますが、フランチャイズ方式を選択する事業者が多い印象です。その理由は、大きく分けて3つです。
(1)洗濯機の仕入れ、施工に関わる法的要件などをクリアする必要があるため、未経験だと難易度が高い
(2)立地や付帯サービスによる集客が回転率と収益率につながるため、ノウハウが必要
(3)複数店舗を運営する安心感、ブランド力、本社のサポートなど」
コインランドリー経営はもうかる?
Q.コインランドリーの経営は、他のビジネスに比べて収益を上げやすいのでしょうか。それとも、年々、店が増えて続けていることにより、収益を上げにくくなっているのでしょうか。出店に伴う初期費用や月々に想定される利益なども含めて、教えてください。
江田さん「収益率は、『実際にどのくらいのお客さまを集められるか』『稼働率をアップできるか』に大きく依存します。
立地条件(同業他社の有無、近隣の世帯数、駐車場など)によっても開業に必要な初期費用が大きく異なりますが、最低でも2000万円から4000万円程度の投資が必要になります。設備は10年から20年ほど使うことができ、一般的に粗利は25%から75%と言われているので、7年から10年で初期費用を回収できると言われています。
ただ、それはあくまでうまくいった場合です。リスクについても十分に検討する必要があります。
【想定されるリスク】
(1)10年間で市場環境が大きく変わる可能性
画期的な家庭用洗濯システムが開発される可能性がゼロではありませんし、宅配クリーニング市場が大きく進化してコインランドリー市場を飲み込んでしまう可能性もあります。ここ10年で、フードデリバリーが私たちの生活を変えたように、新しいビジネスが業界を変えることは十分あり得ます。
(2)リモートワークの普及による住民の転入や転出
都市計画などによる住民の転入、転出も少なからず売り上げに影響します。直近では、IT大手のヤフーが4月から、リモートワーク制度『どこでもオフィス』を拡充し、居住地・通勤手段の制限を撤廃し、国内のどの地域からでも勤務を可能にしました。他の企業でもヤフーのような動きが加速すると、数年後には首都圏から地方への大きな人口移動があるかもしれません。
(3)盗難、火災、クレーム
実店舗である以上、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。監視カメラを設置することで、盗難などのリスクを低減することはできますが、追加で費用が発生します。そうすると利益率が下がるので、経営者として総合的に判断をする必要があります。また、風評被害によって、客足が遠のく可能性もゼロではありません。このようなリスクも考慮しておく必要があります」
Q.コインランドリーの経営は、今後も伸び続けるビジネスなのでしょうか。コインランドリー店が生き残るために必要な取り組みについて、教えてください。
江田さん「どのビジネスについても言えることですが、『必ずもうかる』『簡単』『ローリスク』なんてビジネスはあり得ません。
インターネット上で『コインランドリーは楽にもうかる』といった情報がたくさん見受けられます。しかし、誰が発信しているかを確認すると、その多くは、業務用洗濯機の販売会社や、コインランドリーのフランチャイズ運営業者であるケースが多いです。当然、少しでも店舗数を増やすために『おいしい話』を掲載しており、そうした情報は、あくまで全てうまくいったケースです。ネット上に出ている情報だけにとらわれずに、自分の目で、自分の足でしっかりと情報収集をしてください。
事業を成功に導くためには、市場環境の変化を経営者自身が見極めた上で、常に『これで大丈夫か?』『何かを変えるべきではないか?』といった視点で取り組む必要があります。近年では、ペットトリミングやカフェを併設したコインランドリーも登場しています。このように、同時に複数のサービスを提供するのも生き残り戦略としては重要で、柔軟な発想でビジネスに取り組むことが大事です」
オトナンサー編集部
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