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11月11日は「チーズの日」 “QBBベビーチーズ”六甲バターの「植物性チーズ」が大阪・関西万博で話題になったワケ

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「QBBこれもいいキッチン」の外観
「QBBこれもいいキッチン」の外観

 11月11日は、チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会が1992年に制定した「チーズの日」です。日本でチーズの存在が確認できる最古の記録は飛鳥時代で、「右官史記」の一節に、日本のチーズの元祖とされる「蘇(そ)」が作られたのが、旧暦10月(現在の11月)に蘇 を作るよう命じた記録があり、日付が覚えやすいよう11月11日に制定されました。1972年発売のロングセラー商品「QBBベビーチーズ」を発売する六甲バター(神戸市中央区)が、今年10月13日に閉幕された「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に出店したオール植物性レストラン「QBBこれもいいキッチン」が話題になりました。

 同レストランで使用された「植物性チーズ」(チーズ代替植物性食品)の開発経緯について、同社事業開発部長の中尾真範さんに聞きました。

「愛される商品になる」と強く確信

 「QBBこれもいいキッチン」で使われた植物性チーズ「QBB PLANT MADE」(市販商品名=Pシュレッド)について、中尾さんは「ベジタリアンやヴィーガンの方、乳アレルギーの方、チーズが好きだけどコレステロールを気にしている方に最適なのはもちろんですが、それ以上に『チーズ味の、チーズを超えるおいしさ特性をもった、調理素材』として、かなり優秀だと思います。チーズと違って冷めてもカチカチにならず柔らかさを保てますし、スープやソースに加えていただくと簡単に煮込んだようなコクが出ます。『家族が喜ぶ料理を簡単につくるなら、Pシュレッド』と思い出していただけたらうれしいです」と説明。

 これまで販売されていた植物性チーズとの違いについては「アーモンドペーストを使用して作っていること。アーモンドを使用することで、チーズのようなコクのある味わいになっています」と話します。

 さて、六甲バターは、なぜ、「QBB PLANT MADE」を開発しようと思ったのでしょうか。中尾さんに直撃すると、「あまり知られていませんが、1キログラムのチーズをつくるのに排出される二酸化炭素は約21キログラムといわれています。乳製品の環境負荷の問題はもう避けて通れません。チーズが大好きな会社だからこそ、これからもチーズを作り続けたいからこそ、持続可能なチーズ文化も作りたかった」と振り返ります。

 開発するにあたり、「チーズ好きのための植物性」というコンセプトでスタート。 中尾さんは「植物性にしてはおいしい、ではなく、『チーズ好きが本当においしいと思えるかどうか』を基準にしました。社内では『おいしくなければQBBじゃない』という合言葉が飛び交っていました。ですが、乳タンパクって本当にすごい(笑)。乳タンパクを使わずにチーズの味と食感を再現するのは至難の業でした」と述懐。

 状況を打開したのが「発想の転換」でした。続けて、中尾さんは「化学的にチーズに近い物性・味を目指すのではなく、人がチーズと感じる物性・味を目指す。言い換えると、分析値での近接ではなく、口内感覚での近接を目指す。開発思想をこのように変えたことで、従来よりもチーズを食べている感覚と近い感覚を得られるものができました。そこから一気においしくなっていきました」と力を込めながら、構想から5年かけて誕生した「QBB PLANT MADE」を初めて食べた時に「『コレは絶対に皆様に愛される商品になる』と強く確信しました」ということでした。

大阪・関西万博への出店で気付かされた“反省点”

 大阪・関西万博への出店は、植物性チーズを商品化できる目途が立った時から決めていたという中尾さんは、「植物性チーズを広めるには、頭ではなく舌で理解してもらうしかない。万博は『未来社会の実験場』というテーマだったので、植物性チーズのおいしさを知ってもらうこれ以上ない舞台だと思っていました」と明かしつつ、「しかも、我々は神戸に拠点を持つ関西の会社です。日本中、世界中から多くの人が未知の体験を求めて関西にやってくるこの場で、未来の当たり前となるであろう新しい食を体験してもらいたい、そしてそれがきっと社会の流れを変える契機となるはず、そう考えました」と挑戦へのきっかけを話します。

 この構想を実現するために、「特に食べ応えを強調した食事系のメニュー監修にはミシュラン三つ星『祇園 さゝ木』の佐々木浩シェフを起用し、感動するほどおいしい植物性チーズメニューをということで、妥協なく味を追求し開発を重ねました。結果、テレビでもずいぶん取り上げていただいた串カツをはじめ、カツサンドにキーマカレー、それにレアチーズケーキなど、味は大満足なのに100%プラントベースという、これまでの植物性食品のイメージとはまったく違うギャップのあるメニューが出来上がりました。我々のチーズメーカーとしての知見も総動員して、チーズ好きも大満足できるメニューを形にできたと思います」とコメント。

 大阪・関西万博に出店したレストランは、オープン当初、万博自体の来場者が少なかったこともあり、来店者数が低迷していたということですが、「植物性なのにおいしい」という意外性に注目が集まり、好意的な反応が広がり、徐々に行列が絶えない状態に。

 中尾さんは「想像を超える反響があり、海外のお客様も多く、『これが植物性なの?』と驚かれる表情を見るたびに、食が国境を越えて人をつなぐことを実感しました。特に人気だったのは『これもスパイシーカツ』というグルメサンドです。植物性チーズを使用し、ボリューム満点で、食べ歩きメニューとしても好評でした。スイーツでは『これもレアチーズケーキ』が断トツ人気でした。動物性のチーズ不使用とは思えない濃厚さで、『おいしい』と言ってくださるお客様が非常に多かったです」と実績を語ります。

 最終的には、総販売食数約28万8000食を達成し、当初の売上必達目標もクリアしました。また、レストランを利用したユーザーを対象としたアンケートでは、植物性チーズ使用メニューを食べた人の約7割が“これもチーズ”と回答。さらに、植物性食品に対する「印象が良くなった」という回答が85.9%を突破したとのことです。

 中尾さんによると、成功を収めた結果について「実際に万博でチーズと言えるおいしさを証明できたことは、大きな自信になりました。もちろん、生みの親というひいき目もあったかもしれませんが、実際に大阪・関西万博に出店させていただき、『どれを食べてもおいしい』『 食べ応えのあるメニューをヴィーガンで食べられることがうれしい』『 万博が終わってもレストランなどで気軽に食べたい』といった皆様のお声を聞けたことで、植物性チーズに一層強い可能性を感じました」と喜びを伝えます。

 要因については「万博で我々がご提供したメニューが、見た目も味も食べ応えも、皆さんの予想や印象をいい意味で大きく裏切ったことが成功要因だと思います。これまで植物性・ヴィーガンといった言葉を聞くと『食べ応えがなさそう、おいしくなさそう、ガマンするのはイヤ…』といったネガティブな印象をもってしまう人が多かったのではないでしょうか。でも、楽しそうな雰囲気の店内、ピクニックでパクつきたくなるようなグルメサンド、思わず写真を撮りたくなるかわいいパフェなどが、これまでの印象を揺さぶることに成功したようです。実際、SNSで大勢の方が当店のメニューの写真を『驚いた!』といったコメントとともにアップしてくれていました。ありがたかったです。我々が『未来の食は正しいけど味気ない、なんてことには絶対にしない! 楽しくっておいしい未来! と驚いてもらおう』と、自分たち自身も面白がりながら取り組んだことが皆さんに伝わったのではないかと思います。これが成功の真の要因かもしれないですね」とコメント。

 そして、万博出店をした経験を経て、「商品を店頭に並べるだけだと、残念ながらまだまだ植物性チーズに魅力を感じてもらいにくい。でも、今回のようにメニューとして提供すれば段違いに関心を持ってもらえるし、喜んでもらえることを確認できました。お客様はもちろん、お招きしたお取引先様にも喜んでいただけたことも大きいです」。取り扱ってもらえるお店の拡大にも成功し、「こうした展開はうれしかった半面、これまでの売り方を大いに反省しました。万博以前はセールスの際に『商品情報』を提供していたにすぎず、『おいしく食べる情報』がまったく不足していたのだと痛感しています。メーカーとして新しい食材を開発した際には、そのおいしい食べ方も同時に開発すべきだったと気づかされました。お客様にとって未知で不安な食材を買っていただくためには、まずはとにかく一度おいしく食べていただくことにもっと懸命に取り組むべきでした。今後は、植物性チーズをおいしく食べてもらう『食べ方提案』を強化したセールスを行っていきたいと思います」と反省を交えて、明かしてくれました。

オトナンサー編集部

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