もし線路の石が“丸かったら”大惨事!? 新幹線も支える角ばった石、超合理的な理由
- 乗りものニュース |

石の正式名称は「バラスト」 英語で“安定のための重り”を指す言葉が由来
鉄道のレール下に敷き詰められている石には、「バラスト(ballast)」という正式名称が付けられています。
東海道・山陽新幹線のバラスト軌道区間を走る新幹線500系電車(画像:写真AC)
その材料には砕石を用いるのが一般的ですが、用途や条件によっては、砕いたスラグや砂利などの粒状材が使われる場合もあります。
このバラストが担っている大きな役割のひとつが、列車の重さを支えることです。重たい列車が枕木の上を通るとき、その荷重を地面へと広い範囲で分散させることで、線路が沈み込むのを防いでいます。
また、石と石の間に適度な隙間があることも重要です。この隙間があるおかげで排水性が高くなり、雨水が滞留しにくくなります。もしバラストがなければ路盤がぬかるんで不安定になりかねないところを、常に乾いた状態に保ちやすくしているのです。
ただ、ここで気になるのが、石の「形」です。川にあるような角の取れた丸い石ではなく、なぜわざわざ角ばった石を使うのでしょうか。その秘密は「摩擦」にあります。
角ばった石どうしは互いにかみ合い、摩擦によって動きにくくなる性質があります。これにより、列車の激しい振動を受けても枕木を前後・左右方向に動かしにくくし、線路の通り(アライメント)や高さを保ちやすくなるのです。
逆に丸い石を使うと、振動でコロコロと転がったり滑ったりしてしまい、線路を安定させることが困難になります。
新幹線などの高速鉄道で、もし丸い石(砂利)を使っていた場合、走行中の風圧や振動、あるいは車両から落下した雪塊の衝撃などで石が跳ね上がり、車体や設備を傷つけるおそれもあります。角ばった砕石は互いにかみ合って安定しているため、こうした飛散トラブルを防ぎやすいのです。
さらに、バラストには性能面でのメリットも備わっています。バラスト軌道は、砕石層が“クッション”のように働くことで、振動や騒音の伝わり方をやわらげる効果があるとされています。
また、本来は植物の繁茂がない状態を保つ必要がある線路において、厚いバラストの層は種子植物が根を張りにくい条件を作り出します。完全に防げるわけではないため、鉄道事業者は除草などの維持管理と組み合わせて対応していますが、一定の防草効果も担っています。
最近では、トンネルなどでコンクリート製の「スラブ軌道」も多用されています。スラブ軌道はバラスト軌道に比べて保守の手間が少ない構造ですが、振動・騒音対策の面ではバラスト軌道に軍配が上がる面もあり、場所や条件によって使い分けられています。
バラスト軌道は建設コストが抑えられ、定期的な微調整が利きやすいという強みもあります。こうした数多くの利点から、いまも鉄道の安全を支える「縁の下の力持ち」として重用されているのです。
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