貴重な「凸型電機」発見! 空からだと廃線跡もくっきり 同じ会社だけど性格が違う2路線
- 乗りものニュース |

田園地帯を走る駿豆線
伊豆箱根鉄道駿豆線は、伊豆半島を南下して湯の町修善寺へ、大雄山線は大雄山最乗寺への参拝客輸送を担ってそれぞれ開業しました。性格の異なる2路線を上空から観察しました。
大雄山線の終点・大雄山駅。5000系やコデ165形が留置されている(2020年1月31日、吉永陽一撮影)
まず駿豆線の方から見ましょう。明治時代中期、JR東海道本線の丹那トンネルはまだ開通しておらず、御殿場線下土狩駅が東海道本線三島駅となっており、旧東海道と下田街道で栄えた三島宿は、鉄道駅から遠く離れて輝きを失いかけていました。そこで三島に鉄道をと地元有志の協力があり、1899(明治32)年に三島(現・下土狩)~大仁間の豆相鉄道が開通しました。
豆相鉄道は伊豆鉄道、駿豆電気鉄道、富士水力電気、駿豆鉄道と、譲渡や合併を繰り返し、1924(大正13)年に三島~修善寺間が開業。全線が電化されました。2026年で開業102年を迎えます。
大きな転機を迎えたのは1934年(昭和9年)、丹那トンネルと現在の三島駅が開業し、駿豆鉄道は起点を現在の三島駅へと変更しました。あわせて旧三島~広小路(現・三島広小路)間を廃止しました。また、広小路~沼津間には1906(明治41)年開業の駿豆電気軌道の軌道線が結んでいましたが、軌道線はモータリーゼーションの波に飲み込まれ、1963(昭和38)年に廃止されました。
三島駅は北側から東海道新幹線、東海道本線と並び、南側の駅舎に隣接して駿豆線乗り場があります。列車は三島駅から大きく左へカーブして、三島広小路駅に到着します。この大カーブの終端部には細長い空間があって、いかにも廃線跡の雰囲気が漂います。それは下土狩駅への駿豆線廃線跡で、上空からくっきりと分かりました。
三島広小路駅は商業施設に囲まれ、上空から見ると列車が埋もれるようにゴチャッとしています。三島広小路駅は沼津方面の軌道線と鉄道線が接続していました。
大場駅は車両基地と工場が併設しており、線路が本線から西へ分岐しながら弧を描いて、基地が広がります。工場や留置線がコンパクトにまとまり、全国的に貴重な存在の凸型電気機関車ED31形が2両待機しています。
駿豆線は修善寺まで南下すると、伊豆の国市の田園地帯を通り、収穫前のシーズンとなれば田んぼが黄金色に輝きます。伊豆半島では大正時代からイチゴ栽培が始まり、沿線に点在するビニールハウスではイチゴも作られています。穀倉地帯を走る3両編成の電車は牧歌的で絵になります。
駿豆線は自社の車両だけでなく、三島駅からはJR東日本の特急「踊り子」も乗り入れています。直通運転は1949(昭和24)年の国鉄準急「いでゆ」が最初でした。東京駅から鉄道会社をまたぎ、乗り換えなしで終点の修善寺駅まで行けるのは便利です。
街なかを行く大雄山線
次は大雄山線です。沿線は駿豆線と比較すると宅地化が進行しており、住宅街を行く私鉄という感じがします。起点の小田原駅から東海道本線や小田急線などと交差して、終点の大雄山駅まで北上をする路線です。
大雄山線は大雄山最乗寺への参拝客輸送を目的とし、信徒代表と地元有志が大雄山鉄道を設立しました。1925(大正14)年に仮小田原~大雄山間が開業し、2年後に小田原駅至近の新小田原駅まで延伸しました。
仮小田原駅は、大雄山駅方面から見て東海道本線と東海道新幹線をくぐる手前に設置され、延伸後は相模広小路駅と改称しました。新小田原駅は現在の東通り交差点付近、小田原駅から約200mの位置にありました。1935(昭和10)年に現在地の小田原駅まで延伸し、新小田原駅と相模広小路駅は廃駅のうえ緑町駅へと統合しました。
大雄山線は1941(昭和16)年の陸上交通事業調整法によって駿豆鉄道と合併され、1957(昭和32)年に伊豆箱根鉄道となって現在に至ります。
大雄山線の車窓は宅地が目立ち、田園地帯の多い駿豆線と対照的です。また同じ鉄道会社で線路幅こそ同じ1067mmとはいえ、出自は異なる会社であり、車体長は駿豆線の20m級に対し大雄山線は18m級と異なります。緑町駅の先に半径100mの急曲線があり、20m級車両が通過できないためです。電車は5000系3両編成で、一見すると駿豆線の3000系と同じようにも見えますが、若干短い18m級車体となっています。
終点の大雄山駅には検修庫が備わりますが、全般検査は駿豆線の大場車両基地で実施します。1両だけ残った旧型車両のコデ165形が事業用として牽引(けんいん)し、小田原駅でJR貨物の機関車に付け替え、丹那トンネルをくぐりながら東海道本線を西へ進み、駿豆線へ入線します。駿豆線内では凸型のED31形が出迎えます。
同じ鉄道会社ながら、車両の検査はJR東日本、JR東海を渡り、丹那トンネルをくぐって行き来するという、少々大掛かりな運用をしています。2つの路線を乗り比べるのも楽しいかもしれませんね。
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