「トイレに行きたいのに停められない!」トラック運転手の切実すぎる事情 「まず考えるべきは…」専門家が訴える解決のカギとは
- 乗りものニュース |

ドライバーの多くの頭の中に「トイレマップ」があるものだが…
普通乗用車を運転していて、「渋滞になるとお腹が痛くなる」という人は少なくないはず。しかし、これが大型トラックとなると、駐車できる場所も限られているため問題はより深刻です。中には、やむを得ずトラックの車内でペットボトルで用を足す人もいるとか。こういったトラックと「トイレ問題」の実態と解決策について、元トラックドライバーの交通心理士である近畿大学・理工学部の島崎 敢准教授に話を聞きました。
トラックドライバーにとっての切実な悩みの一つが「トイレ問題」です(画像:写真AC)。
島崎准教授は初めに「トラックドライバーにとっての『トイレの問題』は、長年にわたる現場の悩みだ」と前置きしながら、その実態をこう解説します。
「トラックは車体が大きく、乗用車のようにすぐコンビニや路肩に停めることができないため、渋滞中などにもよおすと深刻な状況になります。こういったことへの対策としてトラックドライバーの多くは、あらかじめルート上でトイレに立ち寄れる場所を把握し、早め早めに寄るよう工夫しています。長距離を担当するドライバーほど、頭の中に自分なりの『トイレマップ』を持っているもので、無理をせず余裕をもった運行計画を立てることが基本になっています」(島崎准教授)
また、島崎准教授は近年高まる「環境への配慮」も、トラックドライバーの体調面への影響があると語ります。
「環境配慮の観点から『アイドリング・ストップ』を求められるようになり、真夏や真冬でもエンジンを切らざるを得ない状況があります。音や排ガスを抑えるという意味では理解できますが、現実的には車内が灼熱や極寒になってしまい、用を足す頻度が多くなったり、体調を崩す危険もあります。駐車できる場所自体も限られており、高速道路のパーキングエリアや道の駅が混雑し、トラック専用スペースに乗用車が停まってしまうことも多く、『トイレに行きたくても停められない』という事態が起きています。
こうした環境の中で、やむを得ずペットボトルを利用して車内で済ませるケースもあります。もちろん望ましいことではありませんが、それしか手段がないという現実があるのです」(島崎准教授)
問題解決どうすれば… カギは”トラックドライバーという職業”への理解
こういった事情から、トラックドライバーの中には、体に多少無理を強いて、少しでもトイレに行く頻度を減らそうとする人もいると島崎准教授は言います。
サービスエリアの大型車両スペースに、乗用車が停車していることもあり、これも「早くトイレに行きたい」と思うドライバーを悩ませる問題だと島崎准教授は指摘する(画像:写真AC)。
「水分を控えることでトイレの回数を減らしたり、トイレを我慢する人も少なくありません。これは健康面から見ても非常に問題が大きく、脱水や腎機能への影響が懸念されます。車内で済ませることよりも、『水分を我慢すること』のほうが身体にとって危険です」(島崎准教授)
これらトラックドライバーにとっての「トイレの問題」を解決するために、できることはないのでしょうか。島崎准教授は「『トイレ対策』の具体的な対策は思いつかないが、トラックドライバーの存在や立場を社会全体が理解し、まずは寛容に接することが必要ではないかと言います。
「結局のところ、トラックドライバーにとっての『トイレの問題』は、ドライバー個人の努力では解決できません。それよりもまず必要なことは、トラックドライバー社会全体がもう少し寛容になること。 まず、⼀般の⼈たちが『トラックドライバーも⽣活者であり、社会を⽀える存在』であることを理解することが大切です。環境や騒⾳の問題ばかりに目をやるのではなく、トラックドライバーの背後にある事情にも⽬を向けることが⼤事なのではないでしょうか。自然と『トイレの問題』など、トラックドライバー特有の切実な問題も理解してもらえるのではないかと思います。
次に、荷主や取引先企業が寛容になること。到着時間を過度に厳格化せず、トイレの使用を歓迎したり、社内に待機用のスペースを設けてエアコンの効いた部屋で休めるようにするなど、少しの配慮で、トラックドライバーの状況は大きく改善します。こういったことは今後、なんらかの法制度化を目指しても良いかもしれません」(島崎准教授)
まずは「トイレの問題」だけにフォーカスするのではなく、トラックドライバーという職業とその背景にある課題に、社会や多くの人が注目することで、自ずとこういった問題への配慮や思いやりも生まれてくるだろう、ということのようです。島崎准教授は、最後にこう結んでくれました。
「トラックは無機質な鉄の箱ではなく、人が運転しています。物流を支えるのは『人間の力』です。お金を払っているからそれでいい、ではなく、支えてくれている人への理解と尊重を社会全体で持つことが、この問題の本質的な解決につながると思います」(島崎准教授)
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