「これは車線変更できないわ…」 関越道の「謎の緑の線」ついに追加設置 “冬の関越が渋滞しない”が現実に!?
- 乗りものニュース |
関越道の車線に引かれた見慣れない「緑の実線」が、ついに追加設置されました。効果があってこその追加ですが、一体、どのような効果があるのでしょうか。
関越道 「緑の実線」3年ぶりに“追加”
東京と新潟を結ぶ関越道は、沿線に多数のスキー場があることから、年末年始は特に混雑する――そんな傾向がありましたが、2024年度の年末は意外にも、空いていました。もちろん“お約束”の渋滞ポイントはあるものの、今シーズンは交通が分散したこともあり、従来と比べればかなり緩和されている印象です。
下り線の嵐山PA付近に新たに引かれた「車線キープグリーンライン」(乗りものニュース編集部撮影)。
これらはNEXCO東日本が各所で進めた大小様々なピンポイントの渋滞対策も功を奏しています。そして、この年末には新たな渋滞対策が見られました。それが、2か所目の「車線キープグリーンライン」です。
2021年、下り線の東松山ICの合流部から、第一走行車線(最も左側の車線)の両側に、「車線キープグリーンライン」と銘打った緑の実線が約4kmにわたって引かれました。
これは、主に東松山ICからの流入車に対し、追越車線側への車線変更を控えてもらうことで、追越車線側に偏りがちな車線利用の平準化を図る狙いがあります。「左車線キープ」といった表示内容の看板も合わせて設置されているものです。
そして今回、新たに追加されたのが、下り線の「嵐山PA」前後です。
NEXCO東日本関東支社の「渋滞予報士」外山敬祐さんよると、12月13日に施工されたばかりで、具体的には下り線の嵐山小川IC~花園IC間(嵐山PA付近)約5kmだそうです。
「下り線の嵐山PA付近は、『長い上り坂が続く』『追越車線の利用率が極端に高い』『合流車両の影響を受けている』といったように、既存の東松山IC付近と特徴が似ています。そこで、東松山IC付近と同様に、車線利用率を平準化し渋滞削減を図る目的で実施しました」(外山さん)
東松山ICのグリーンラインは、ICの合流部から続いていましたが、今回の嵐山PAでは、途中区間からグリーンラインが始まり、嵐山PAの入口・出口部分をまたぐ形で設置されています。
このため、左車線を走っていると突然、グリーンラインが現れるのが、東松山とちょっと異なるところです。
合流部でも「車線移動ガマン!」なるか?
合流部では、左車線を走っていたクルマが流入車を避けようと右側に車線変更するケースが多いので、合流部から始まる東松山のグリーンラインは、どちらかというと、ICから入ってきたクルマに車線変更をしばらくガマンしてもらう側面が強いといえます。
高坂SA付近では付加車線の設置工事が進む(乗りものニュース編集部撮影)。
対して嵐山のグリーンラインは「合流部での車線移動も含めてガマンしてね」というわけです。
運転していた同行者が「なにこれ?」と驚いたので、その意味を伝えると、「確かに(心理的に)車線変更できないね……」と話し、そのまま左車線を走り抜けました。
「東松山IC付近と同様に緑色車線をキープしていただくことで、第一走行車線の利用率が高まり車線利用率が平準化されることを期待しています」と外山さん。
つまり利用者の“協力”があってこその渋滞対策ですが、東松山では確実に効果を挙げました。
月の渋滞回数は、対策前の12回から8回まで減少。設置後1年で交通量が約4000台増えても、渋滞回数は変わらず、車線がまんべんなく使われるようになったことで交通容量が増加、渋滞しづらくなったのだといいます。
夢にまでみた「渋滞根絶」も近い!?
関越道は今回の年末年始も、1月2日に下り線の高坂SA付近を先頭に29.6km、上り線の川越IC付近を先頭に37.3kmという長い渋滞が発生しています。しかし、以前と比べれば確実に緩和傾向にあります。
以前は、埼玉県内に北から花園IC付近、東松山IC付近、そして高坂SA付近と3大渋滞ポイントがあり、それらが全部つながって猛烈な渋滞を作り出していました。下り線の嵐山PA付近も、やはりボトルネックの一つでした。
しかし、花園IC付近は下り線の4車線化(付加車線)によって渋滞は解消、東松山IC付近は車線キープグリーンラインによって緩和。嵐山PAも車線キープグリーンラインで緩和する可能性があります。
目下、最大の渋滞ポイントは上下線とも、高坂SA付近になっているのですが、こちらも上下線で付加車線の設置工事が進められています。
複数の渋滞ポイントを一つ一つ、確実に改良している関越道。そのなかには、車線キープグリーンラインの趣旨が利用者に周知され、その協力によって緩和につながった例もあるのです。
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