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米軍嘉手納基地に「ハイスペックF-15」導入なぜ? 基地トップが初告白! 配備の“意味”を直に聞いた

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  • 乗りものニュース
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米空軍嘉手納基地に、最新戦闘機F-15EX「イーグルII」が配備されます。それにともなって今回、配備についての具体的な内容や見立てを、同基地のトップに聞きました。

来年にはF-15EX「イーグルII」来る…かも?

 米空軍のF-15EX「イーグルII」は非ステルス戦闘機でありながら、ステルス機のF-22とF-35の後に正式採用された最新鋭機です。2024年7月には米国防総省により米空軍嘉手納基地(沖縄県)への配備が公式発表されています。

 そこで、今回筆者はF-15EX配備についての具体的な内容や見立てを、嘉手納基地司令官のニコラス・B・エバンス准将に話を聞きました。なお、F-15EX を受け入れる基地の司令官が、日本の報道機関のインタビューに答えるのは初めてです。

Large 01アメリカ空軍のF-15EX「イーグルII」(画像:アメリカ軍)。

――F-15EXの配備はいつ始まりますか?

 嘉手納基地へ配備される明確な時期は現時点ではまだはっきりしていません。空軍の調達プログラムも機密上の都合でお伝え出来ませんが、おそらく2025年か2026年になると思います。

 米本国では操縦士や整備士の訓練中で、訓練および認証が完了次第嘉手納基地へ配備されます。10月に米国ミズーリ州セントルイスにあるボーイング社の工場でF-15EXの生産を見学してきましたが、嘉手納基地へ配備される機体は製造中でした。

――配備機数を見ると、F-15EXの導入にともなって、現状より機数自体が減ることになります。これは、インド太平洋地域での米軍の活動に、どのような影響をもたらすのでしょうか?

 嘉手納基地ではこれまで、48機のF-15C/Dを配備してきましたが、F-15EXでは36機体制となります。配備機数が減ることへの懸念は理解できますが、米国のインド太平洋地域におけるコミットメント(防衛のための決意)はまったく変わりません。F-15EXは見た目がF-15C/Dと似ていますが、中身は異なり新しくなっているからです。

 安全保障上の理由により私から性能の詳細を話すことができませんが、攻撃と防御共に高度かつ最新鋭の機能を持ち、インド太平洋地域で有効な機体となります。F-22とF-35はステルス機能を発揮させるため兵器倉にミサイルなどを積みます。それゆえ兵器の搭載数は限られますが、F-15EXは主翼や胴体の下にステルス戦闘機より多くの兵器を懸架することができます。また、F-35、F-22、F-18など他の戦闘機と連携し、統合した運用が考えられています。

 F-15EXの嘉手納基地への配備はインド太平洋地域への米国の強いコミットメントを示すものであり、とても高い能力を持つこの戦闘機が嘉手納基地に配備されることを司令官としてうれしく思っています。

――F-35Aを青森県の三沢基地に配備し、嘉手納基地にF-15EXを配備する理由は何が挙げられますか?

 理由の1つとして三沢基地には航空自衛隊のF-35Aが既に配備されているため、同じ機種で一緒の訓練ができるということです。これは日米双方に意味をなします。

 一方、F-15EXはF-15C/Dと共用できる部品もあり、嘉手納基地ではF-15C/Dを長く運用してきました。このため、F-15EXは嘉手納基地へ配備されることとなりました。

 また、同じ沖縄県にある航空自衛隊の那覇基地に配備されているのはF-15J/DJなので、同じF-15シリーズの機種同士が一緒に訓練できることも理由として挙げられます。

訓練内容などは変わる?

――F-15EXは対地攻撃もできる複数の任務をこなすマルチロール戦闘機です。F-15C/Dから訓練の変更はありますか?

 空対空戦闘が任務だったF-15C/Dから変わりますので、操縦士と整備士の訓練はこれから調整していく必要があります。扱う兵装も空対地用がF-15EXでは加わります。これにも対応できるように訓練が必要です。

 ただし、これは大事なことですが、現在嘉手納基地に米国本国などからローテーションで配備されているF-15E、F-16、F-35Aはマルチロール戦闘機でもあり、既に嘉手納基地自体はマルチロールの任務に対応しているといえます。マルチロールの任務はF-15EXでも続くということになります。

――嘉手納基地周辺の自治体へは、F-15EXの配備にどのような理解を求める考えですか?

 司令官として、嘉手納基地周辺の自治体とは高い透明性を持って連携していくことが大切と考えています。F-15EXが配備されてもこれは変わりません。2024年に無人偵察機MQ-9が嘉手納基地に配備されましたが、MQ-9が到着した後はすぐに基地周辺の自治体議会関係者を招き見学してもらいました。

 F-15EXの到着時も自治体の首長や議会関係者を招待し、見学してもらいたいと考えています。我々は任務の遂行に際して、嘉手納基地周辺の自治体や住民と「良き隣人」として関係を保っていく必要があります。意思の疎通を常に保っていきたいと考えています。

Large 02嘉手納基地司令官のニコラス・B・エバンス准将(相良静造撮影)

※ ※ ※

 米国がF-15EXを嘉手納基地に配備しF-35Aを三沢基地に配備するのは、台湾有事などを意識して、北日本という離れた場所に相手国の防空網を突破できるステルス戦闘機を配備して温存性を高め、作戦の効率を向上させるためとの見方が日本のマスコミの中にはあります。

 それは的を射ていると考えられる一方、エバンス司令官が挙げたのは、航空自衛隊との同じ機種同士による連携の強化でした。

 F-15C/Dが空対空ミサイルを8発搭載するのに対して、F-15EXは1.5倍の12発を積むことができる強力な戦闘機であり、パワフルな運動性はC/D以上です。その一方で、非ステルス機ゆえにステルス機より脅威は高くないといえます。

 これは嘉手納基地へF-35Aを配備するといった、米国が進んで脅威を高めることはしないというメッセージになります。嘉手納基地周辺の自治体と住民にも、中身は進化しているとはいえこれまでと同じシリーズの機体の配備を示すことにもなります。

 今のアジア情勢下では、嘉手納基地が安全保障に果たす役割は重要です。その役割を果たすためにも、こうした対外的な均衡を図りながら、F-15EX到着後の練度を高めることが欠かせないのでしょう。

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