退役迫る「不死身」攻撃機には“ライバル”がいた! 「見た目違うも能力は同等」→でも製造2機のみ…なぜ?
- 乗りものニュース |

ついに退役が迫ってきた長寿機A-10 「サンダーボルトII」には、かつてライバル機がいました。それがわずか2機のみの製造で終わった「YA-9」です。なぜA-10に敗れてしまったのでしょうか。
わずか2機のみ製造のA-10ライバル機
近接支援攻撃機として40年以上の長い期間にわたり第一線で活躍してきたリパブリック・フェアチャイルドA-10 「サンダーボルトII」の退役がいよいよ来年、2026年に迫りました。A-10を運用してきた米空軍では、この機体の退役時期を何度も延期してきましたが、ついに全機退役させる方針を固めたようです。
ノースロップ「YA-9」(細谷泰正撮影)。
近接支援攻撃機の決定版ともいわれるA-10ですが、実用化までの段階でライバル機の競争試作と評価試験を経て採用が決まりました。今回はA-10に敗れてしまい、わずか2機の生産に終わってしまったノースロップ「YA-9」がどのような機体だったのか、光を当ててみたいと思います。
1960年代、ベトナムでは地上での戦闘を空から支援するための近接支援攻撃が行われていました。これは戦場の上空を低空飛行しながら敵の陣地に爆弾を投下することに加え銃弾を撃ち込む任務です。この任務には、F-100「スーパーセイバー」、F-4「ファントム」、F-105「サンダーチーフ」なども投入されていましたが、どれも低空における近接支援任務には不向きであると同時に対空砲火による減耗も増えていました。
当時、米空軍が保有していた主力の近接支援攻撃機がA-1「スカイレイダー」攻撃機でしたが、設計が古いピストン・エンジンの同機は飛行速度や搭載量が限られていました。この分野で高性能な作戦機を持ち合わせていなかったことに対する批判もあり、米空軍では急遽、新型近接支援攻撃機(A-X)を開発することになりました。
A-X計画の仕様決定に先立ち、ベトナムで実戦を経験しているA-1攻撃機のパイロットからヒヤリングが行われました。また、A-Xには低燃費、低騒音のターボファンエンジンを採用することも決定します。
1970年5月に最終的な仕様に基づいた提案要求書が航空機メーカー各社に出されましたが、東西冷戦下の当時、ソ連軍への脅威にも対処するため、A-Xには新開発の30mm機関砲を搭載することも決定しました。そのため、機体と並行して30mm機関砲も開発されることになり、こちらもメーカー各社に対して仕様書が提示されました。
早くも同年12月には試作を行う2社が選定されノースロップがYA-9を、リパブリックがYA-10(のちのA-10)を製作することになりました。30mm機関砲も同様に試作メーカーが選定され、ゼネラル・エレクトリックとフィルコ・フォードが選ばれました。
「スペックは十分」だったのに…「YA-9」はなぜ敗れた?
YA-10が垂直尾翼を2枚備えてエンジンを胴体後部に取り付けた特色ある配置であることに比べると、YA-9は高翼配置でエンジンを主翼の付け根に配置した比較的平凡なスタイルでした。一方でエンジンはYA-9のほうが特徴的で、YA-10 がすでに米海軍のS-3「バイキング」対潜哨戒機で採用されていたTF-34を採用したのに対し、YA-9は当時としては新しい、エンジンの一部回転軸にギヤを組み込むことで、燃費向上などの効果が見込まれる「ギヤード・ターボファンエンジン」のF102を搭載していました。
2020年6月、「自由の番人作戦」を支援するため、アフガニスタン上空を飛行するA-10「サンダーボルトII」(米空軍パブリックドメイン)
YA-9の1号機は1972年5月に、2号機は同年8月に初飛行に成功し、10月からはYA-9とYA-10が揃い、米空軍のパイロットによる評価試験が2か月間にわたって行われました。
飛行試験では両機ともに空軍の要求仕様を満たしていることが確認されましたが、1973年1月米空軍はYA-10 の採用を発表しました。空軍の説明によると、YA-10採用の理由は、エンジン位置と尾翼の配置によりエンジン排気の赤外線拡散が抑えられるため、赤外線捜索追尾システムから探知されにくくなることに加え、垂直尾翼が二枚あることによる生存性の高さ、エンジン出力が大きいことなどが挙げられていましたが、生産面の事情として当時、ノースロップはF-5E「タイガーII」戦闘機の受注が好調で工場の生産余力がなかった反面、リパブリックは航空機の受注がなく、YA-10の採用がなければ航空機部門廃業の危機にあったという状況も空軍の判断に影響したとされています。
ただ、テストパイロットのなかではYA-9は評価を得ていたようで、感想ではYA-9の飛行性能は戦闘機のような操縦性であったと述べています。
ちなみに、YA-9 とYA-10の比較審査から3年後の1975年にソ連でSu-25攻撃機が初飛行していますが、同じ目的で開発されたこの機体がYA-9と同じエンジン配置を採用し、しかもほぼ同じ機体規模で登場していることはとても興味深いと感じます。
なお、空軍では不採用となったYA-9はその後、NASA(アメリカ航空宇宙局)に引き取られ、飛行試験が続けられました。のちに、エンジンが取り外されてQSRA(静粛短距離研究航空機)の実験に流用されました。2025年現在は、1機がエドワーズ空軍基地、もう1機がマーチ空軍基地の博物館で保存されています。
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