あれ、この“釜”は…! 超人気駅弁からの「新業態&派生メニュー」東京で拡大する思い 「チャレンジしていきたい」
- 乗りものニュース |

日本屈指の人気駅弁の製造元が、そのノウハウを活かし東京都心で飲食店を拡大しています。駅弁の看板を背負ったメニューが「どこかで食べた」記憶を呼び覚ます飲食店の数々。出店拡大の狙いを聞きました。
「峠の釜めし」荻野屋の新店は「東京のオフィス街のうどん店」
日本屈指の知名度を誇る名物駅弁に、JR信越本線横川駅(群馬県安中市)の駅弁「峠の釜めし」(1400円)があります。益子焼の土釜に、北海道・利尻島産のコンブを使った出汁(だし)と数種類のしょうゆで味付けした炊き込みご飯、鶏肉やシイタケ、タケノコ、クリ、ウズラの卵、アンズなどの具材を載せた釜めしは長年支持されてきました。
荻野屋伝統の出汁を使った「釜あげうどん」。「荻野屋 回 -kai-」で提供(画像:荻野屋)
現在は土釜入りのほか、植物由来の原料を使ったパルプモールド容器入りも同じ価格で販売されています。横川駅前に本舗を構える製造元の荻野屋によると、1958年2月の発売から累計販売個数が1億8000万個を超えています。
荻野屋は看板商品の「峠の釜めし」を“広告塔”として活用しながらも、駅弁の製造のほか、横川駅や北陸新幹線軽井沢駅などで展開している駅そば店で培ったノウハウを生かして、近年は東京で飲食店を広げてきました。
その一つが、東京都品川区西五反田に2025年1月17日オープンした新業態「荻野屋 回 -kai-」です。東急電鉄池上線の大崎広小路駅に隣接した複合ビル「五反田JPビルディング」1階のフードホール「五反田食堂」に入居しており、オフィス従業員らの昼食向けのうどんや、「アフター5」にアルコールなどと共に味わえる一品料理を提供しています。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)のインタビューに応じた荻野屋首都圏事業部の浦野恵造部長(42)は「回」を出店するにあたって「荻野屋が運営する店舗なのを意識し、原点回帰の意味を込めた」と説明。看板商品「峠の釜めし」の“持ち味”を生かしたメニューを用意したことを明らかにしました。
土釜もミニな「釜めしミニ」付き
「回」の主力メニューのうどんには、「峠の釜めし」にも使われている伝統ある出汁を活用しています。うどんのめんつゆに使っている「かえし」(しょうゆ、みりん、砂糖で作る調味料)は、「回」のために新開発しました。
かつての「峠の釜めし」の駅売り風景。特急の廃止とともに見られなくなった(画像:荻野屋)
メニューも看板商品をほうふつとさせる名称が目立ち、「峠の釜めし」に使っている具材のかき揚げを載せた「峠のかき揚げうどん」(780円)、同じく「釜」をネーミングに採り入れた「釜あげうどん」(580円)、味付け鶏肉が入った「特製釜玉うどん」(780円)、冷やしつけうどんの「釜ざるうどん」(580円)があります。
浦野部長は「うどんを食べたい一方で、やはり釜めしを食べたいという人も多いだろうと考えた」と話します。それらの両方を味わえるオリジナルのセットが「峠の釜めしセット(釜あげうどん×峠の釜めしミニ)」(1280円)です。
うどんが付いている分、「峠の釜めし」が通常より一回り小さい土釜に入っています。「峠の釜めしミニ」は、他のメニューにも700円を追加すればセットにすることができます。容器の小型の土釜はなかなか魅惑的ですが「食後に返却していただいています」(浦野部長)。
オリジナルメニューとして用意した「峠のいなりずし」(1個220円)は、「峠の釜めし」に使っている茶めしに米酢をブレンドし、シイタケやゴボウ、クリの甘露煮を加えたほのかな味わいが特色です。
17時以降に提供する「夜の一品」には、かき揚げとちくわ天、たまご天を組み合わせた「天ぷら盛り合わせ」(900円)や、から揚げ南蛮(880円)などがあり、アルコール飲料とともに味わうおつまみにも適しています。
「釜めし以前」まで原点回帰の店も
荻野屋が京王電鉄笹塚駅(東京都渋谷区)に直結した商業施設「京王クラウン街笹塚」に2024年8月8日開業した「おこめ茶屋 米米-めめ-」も、原点回帰を体現した店舗です。
「荻野屋 回 -kai-」に置かれた土釜(大塚圭一郎撮影)
1885年、おにぎり2個とたくわん2切れを竹の皮に包んだ弁当を横川駅で売り出したのが荻野屋のルーツです。「米米」の主力商品のおにぎりは「峠の釜めし」と同じように長野県・安曇野産のコシヒカリを中心にブレンドしており、茶めしも用意しました。
浦野部長は「荻野屋にしかできない茶めしにフィーチャーしながらも、白飯のおにぎりを求める顧客も多いかなと思ったため、開店当初は全体の約3分の2を茶めしのおにぎりにした」ものの、実際の売れ行きは「茶めしのおにぎりがほとんどを占めている」と打ち明けました。中でも「峠の釜めし」の味わいに似ている「鶏ごぼうおにぎり」などが人気商品になっています。
他にも東京都心部では、昼は定食、夜は群馬県と長野県を中心とする地酒とおつまみを提供する飲食店として「荻野屋 弦 有楽町」をJR有楽町駅の高架下に、「おぎのや食堂」をJR神田駅の高架下に展開するなどしています。
浦野部長は「『峠の釜めし』だけに頼っていてはいけないというところもあり、歴史を守ると同時に『峠の釜めし』以外の荻野屋の魅力を伝えていかないといけない」とした上で、「情報発信力が高い東京での新業態を通じ、新しい荻野屋を知っていただくことに注力していきたい」と強調しました。
今後もさらに、「求められれば開発した業態の多店舗展開もしたいし、荻野屋が持つノウハウやリソースを使える新業態を出店する機会があれば積極的にチャレンジしていきたい」と意気込んでいます。
荻野屋は4代目社長の故・高見澤みねじ氏らが横川駅を通る列車に乗った旅行者の要望を聞き、それまでの駅弁の常識を覆す土釜入りの「峠の釜めし」を開発して大ヒットさせた歴史を持ちます。東京に出店した新業態からどのような人気メニューが生まれるのか、「積極的なチャレンジ」の行方が楽しみです。
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