日本では見ない「ボーイング717」どんな飛行機?実はダグラス系 T字尾翼 後部エンジン
- 乗りものニュース |
「ジャンボ」747や、777、737などボーイング機が多く飛ぶ日本で、馴染みが薄いもののひとつが「717」です。海外では一部航空会社で主力級の活躍をしていますが、日本ではほぼその姿は見られず、そしてその経歴は波乱万丈なものでした。
日本で未採用のボーイング717 祖先は「DC-9」
「ジャンボ」こと747シリーズや、世界中で運航されている737シリーズなどを手掛け、日本の空にその飛行機が数多く飛び交うボーイングですが、そうしたなかでも、日本とはあまり縁のないシリーズのひとつに「ボーイング717」があります。
717は、横3-2列とユニークな座席配置で、標準座席数106席を持つナローボディ(単通路)機です。ボーイングのなかでは胴体が一番細いモデルで、外観の特徴は、2機のエンジンが胴体最後尾に備わり、水平尾翼が垂直尾翼の上部についたT字型の尾翼デザインでしょう。航続距離は2645kmと、短距離仕様になっています。
カンタスリンクのボーイング717型機(2019年9月、乗りものニュース編集部撮影)。
2020年1月現在717は、アメリカのデルタ航空やハワイアン航空、オーストラリアのカンタス航空子会社、カンタスリンクなどで導入されています。一方で、日本国内の航空会社での導入がないため、通常の旅客便運航を日本で見ることは、まずありません。
日本で、ほかのボーイングのモデルは馴染み深いものが多いなか、なぜこの717はここまで日本と縁がないのでしょうか。これには、このモデルがもつ歴史も関わっています。
実は717は違う会社で作られたものが、ボーイングの旅客機として製造されたという、ほかのモデルとは大きく異なる経歴を持っているのです。717の祖先は、1965(昭和40)年に初飛行をしたダグラス(1967年に併合しマグダネル・ダグラスへ)製の「DC-9」シリーズです。
DC-9シリーズは、ボーイング717と「瓜二つ」といった外観です。エンジンを三発搭載した当時のライバル「ボーイング727」に対し、DC-9はエンジン二発。そのぶん経済性の良いDC-9シリーズは、売れすぎて生産が全くもって追いつかず、結果ダグラス社の経営を傾かせ、マグダネル社との統合要因になるほどの受注を獲得します。
DC-9発展形も好調だったものの… 717となった経緯とは
マグダネル・ダグラスとなり、型式のアルファベットが「MD(マグダネル・ダグラス)」となったあとも、同社はDC-9の系譜をもつシリーズを次々をデビューさせます。エンジン、機体設計の変更などを行った、当時の先端技術を盛り込んだ発展形の「MD-80シリーズ」は5つの型式で、計1100機以上を売り上げます。
ついで低燃費で低騒音なエンジンを導入し、座席数や機内装備に変更を加えた「MD-90」をデビューさせ、そして現代のリージョナルジェットのような100席クラスで、MD-90の短胴、短距離型である「MD-95」を発表しますが、このとき同社は大きな転換点を迎えます。
マグダネル・ダグラスは、同社が手掛ける三発エンジンのワイドボディ(複通路)機であるDC-10の発展形、MD-11の売れ行きが芳しくありませんでした。またDC-9の系譜をもつこれらのシリーズにも、エアバスA320シリーズや、新仕様のボーイング737シリーズといった、同クラスのライバルが他社に出現します。加えて、当時の景気の低迷を受け、軍用機の部門業績も良くなく、苦しい状況が続いていました。
ファーイースタン航空のMD-82型機(2019年7月、乗りものニュース編集部撮影)
そして1996(平成8)年、マグダネル・ダグラスはボーイングとの合併を発表します。このときまだ開発途中だった「MD-95」は取りやめとなる流れもありましたが、航空会社側がこれを拒否します。この結果生まれたのが、ボーイング717シリーズです。
ボーイング717として生まれ変わったMD-95は、1998(平成10)年に初飛行を迎えます。しかし、このとき徐々に他社でリージョナルジェットが台頭していたほか、ボーイング737の一部型式とは客席数が重複しており、かつてあった「二発ジェットの短距離型機」という強みもすっかり薄れてしまい、2006(平成18)に155機で生産終了となりました。
現在717は先述のアメリカ、オーストラリアなど海外の限られた航空会社でしか運航されておらず、そして短距離モデルであることから、それぞれの国での近距離路線運航がメインのため、遠く離れた日本ではなかなかお目にかかれない、といった状況なのです。
717はないがDC-9の系譜は日本にも 時系列順ではない型式名のワケ
ボーイング717の導入実績はなかった日本ですが、前身であるDC-9シリーズや、MD-80シリーズのMD-81、87、そしてMD-90を、TDA(東亜国内航空)、そして同社の国際線開設にともなって社名変更をしたJAS(日本エアシステム)で導入していました。しかしJASは2002(平成14)年に、ボーイング737を多数保有するJAL(日本航空)と合併、そののち経営上の理由や機材統一の観点から、これらのシリーズは全機退役しました。
JASのMD-90型機(画像:JAL)。
ちなみにボーイングでは1957(昭和32)に初飛行の「707」から、2009(平成21)年に初飛行「787」まで、シリーズ名が時系列順に付与されていますが、717のみ、この法則に当てはまらないモデルです。実はDC-9シリーズの「717」は、厳密には初代ではないそうです。
かつて717は、ボーイング707の軍用機バージョンといわれている「ストラトタンカー」ことKC-135シリーズの社内呼称でした。
初のジェット旅客機である707が商業的に成功した1959(昭和34)年、航空会社側の要望を受け、当時長距離路線用としてつくられた707をベースにした中距離用新モデルを開発し、707-020型機という仮型番をつけます。この進行中、これまでと仕様が異なることから、新型には707ではないモデル名を付与すべきという意見が出たそうです。このとき新モデルに一旦「717」を付与する意見もありましたが、KC-135が717を使っていたこともあり、最終的に新モデルは仮型番を縮めた「ボーイング720」として1961(昭和36)年に初飛行が行われています。
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