昼食後になぜか眠くなる…実は「糖尿病」の可能性も 専門医が説く眠気のメカニズム&改善法
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昼食後に眠気に襲われ、困ったことはありませんか。日頃から睡眠を取っているにもかかわらず、昼食後に眠くなる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。原因や改善法について、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(東京都江東区)院長で糖尿病専門医の澤口達也さんに聞きました。
血糖値の急上昇&急降下が原因
Q.そもそも、昼食後に眠くなってしまうのはなぜなのでしょうか。原因について、教えてください。
澤口さん「食後の眠気にはいくつかの生理学的要因が関与しています」
(1)血糖値の急上昇と急降下(血糖の乱高下)
炭水化物中心の食事を取ると血糖値が急激に上昇し、それに対応してインスリンが大量に分泌されます。この反動で血糖値が急降下すると、脳にエネルギー不足の状態が生じ、倦怠(けんたい)感や眠気の原因となります。このように血糖値が急上昇、急降下することを「血糖値スパイク」といいます。
(2)副交感神経の働き(自律神経のバランス変化)
食事をすると自律神経のうち、副交感神経が優位になります。これは「休息と消化」を促す神経で、心拍数や血圧を下げてリラックス状態をつくり、眠気を誘発します。特に食事量が多いと、この作用が強まります。
(3)脳内ホルモンの変化
食後に体内でインスリンが分泌されることで、脳に取り込まれるトリプトファンが増えます。トリプトファンはセロトニンやメラトニンといった眠気を誘うホルモンに変換されます。
(4)消化管ホルモンの「コレシストキニン」(CCK)が作用
コレシストキニンは脂肪やタンパク質の摂取で分泌され、満腹感とともに眠気を促す効果があります。
(5)脳内の覚醒物質「オレキシン」の抑制
食事の際に糖質を摂取すると脳内の覚醒物質のオレキシンの活動が抑えられ、眠気を感じやすくなります。
特に糖尿病の人、2型糖尿病になる前の状態である境界型糖尿病(俗称は糖尿病予備軍)の人の場合、インスリンの分泌やインスリンの作用の異常により血糖値の乱高下が起こりやすく、強い眠気を引き起こすことがあります。習慣的に食後に強い眠気が生じる場合は、糖尿病の可能性も考慮し、医療機関で検査を受けることが重要です。
Q.昼食後の眠気を抑えるには、どうしたらよいのでしょうか。具体的な対策について、教えてください。
澤口さん「『低GI食品を選ぶ』『食物繊維を多く含む食べ物を先に食べる』などの対策が有効です。順番に紹介します」
■低GI食品を選ぶ
GIとは「グリセミックインデックス」の略で、血糖値の上昇速度を表す指数です。GIが高い食品ほど食後に血糖値が上がりやすく、眠気を催しやすいので、食事の際は血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を選ぶようにしましょう。例えば低GI食品として全粒穀物や豆類、野菜、乳製品などが挙げられます。これらの食品は血糖値の上昇が緩やかで、食後の眠気を抑えます。
■食物繊維を多く含む食べ物を先に食べる
食事の際に野菜や海藻類、キノコ類など食物繊維を多く含む食べ物を先に食べることで、血糖値の上昇を抑えられます。
■タンパク質や適度な脂質を摂取
魚や大豆製品、ナッツ類など、タンパク質や脂質が含まれている食べ物を適度に取り入れることで、血糖値の安定につながります。
■食べ過ぎない、よくかむ
腹八分目を意識し、ゆっくり食べることで血糖の急変動を防ぎます。
■食後に軽く体を動かす
10〜15分程度の散歩やストレッチは血糖値のコントロールに有効です。
■規則正しい生活と十分な睡眠
睡眠不足や生活リズムの乱れは血糖コントロールに悪影響を及ぼすため、日々のリズムを整えることが大切です。
Q.昼食後に眠くなるという理由で、あえて昼食を取らない人もいるようです。この取り組みは有効なのでしょうか。それとも、逆効果なのでしょうか。
澤口さん「一時的には食後の血糖変動を回避できるため、眠気を感じにくくなることがあります。しかし、長期的にはさまざまなリスクがあります。昼食を抜くメリット、デメリットは次の通りです」
■昼食を抜くメリット
・食後の眠気を避けやすい
・総摂取カロリーが減少し、体重管理に役立つ可能性
・胃腸を休める機会になる
■昼食を抜くデメリット
・エネルギー不足により、集中力が低下したり疲労感が出たりする可能性がある
・次の食事で過食しやすくなったり、血糖値が上昇しやすくなったりする
・栄養バランスが偏る可能性
・基礎代謝の低下やリバウンドのリスク
一時的な対策ではなく、適切な食事内容で昼食を取ることが推奨されます。
Q.ちなみに、昼食後に低血糖の状態に陥ってしまうことはあるのでしょうか。
澤口さん「食後に低血糖の状態に陥ることはあります。食後にインスリンが過剰に分泌されたり、遅れて分泌されたりすると、食後に血糖値が急激に下がる『反応性低血糖』が生じます。また、先述の血糖値スパイクでも低血糖になることがあります。
食後に強い眠気やめまい、冷や汗、震え、動悸(どうき)、強い空腹感などの症状が出たり、『集中力が低下』『意識がぼんやりする』といった状態に陥ったりした場合は反応性低血糖や血糖値スパイクに該当する可能性があるため、注意が必要です。
他には、胃の手術後に食べ物が胃にとどまらずに腸に流れ込む『ダンピング症候群』や、膵臓(すいぞう)内でインスリンを過剰に分泌する腫瘍(インスリノーマ)が原因で食後の低血糖を引き起こすこともあります。
食後に低血糖になるかどうかを調べるには、症状時の血糖値を測定したり、糖尿病かどうかを調べる検査である『経口ブドウ糖負荷試験』(OGTT)を受けたりする必要があります。
まずは低GI食品を選んだり、食物繊維を多く含む食べ物を先に食べたりするなど、日頃の食生活を見直し、それでも先述の症状が繰り返される場合は糖尿病専門医が在籍する医療機関を受診するのをお勧めします」
オトナンサー編集部
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