東九州新幹線「新八代ルート」とは 宮崎県が整備効果を公表 「鹿児島中央先行ルート」も
- 乗りものニュース |
日豊本線ルートのほか構想が明らかに。
「整備計画」からは外れた東九州新幹線
JR日豊本線の特急「にちりん」などに使われる787系電車(画像:PIXTA)。
福岡県から九州の東側を通って、大分県や宮崎県とを結ぶ「東九州新幹線」構想。かねてからそのルートや費用対効果などが議論されてきましたが、宮崎県は2024年12月4日(水)、改めて調査結果を公表しました。従来の「日豊本線ルート」に加え、新たに「鹿児島中央先行ルート」「新八代ルート」が加わっています。
日豊本線ルートは、既存のJR日豊本線(小倉~鹿児島)に沿って小倉~鹿児島中央間を結ぶもの。3ルートの中で最も整備区間が長いものの(379km)、本州~宮崎間の時間短縮効果は大きくなります。整備費は3兆8068億円です。
新幹線の平均表定速度を210km/hとした場合、北九州市~宮崎市間の所要時間は220分短縮の「79分」に。福岡市~都城市間は87分短縮の「109分」です。
建設開始を2045年度、運行開始を2060年度とし、開業後50年間の費用便益比を試算すると、数値は「0.5」。費用便益比は一般的に「1.0」を上回ると、得られる便益のほうが費用より大きい妥当な事業と評価されます。ただし実際は、観光客の増加や経済波及効果、CO2の削減といった環境などの改善便益も加味されるため、数値はあくまで目安です。
では、残る鹿児島中央先行ルートと新八代ルートについても同じ条件での調査結果を見ていきます。
鹿児島中央先行ルートは、鹿児島中央~宮崎間103kmを結ぶもの。整備区間が最も短い反面、時間短縮効果の最大化には全線開業が必要となります。整備費は1兆642億円です。
北九州市~宮崎市間の所要時間は151分短縮の「148分」に。福岡市~都城市間は75分短縮の「121分」です。費用便益比は「0.4」と試算されました。
新八代ルートは、新八代駅から分岐し宮崎駅を目指すもの。路線延長は141km、整備費は1兆4978億円です。3ルートの中で、路線に占めるトンネルの割合が最も高い59%となります。
北九州市~宮崎市間の所要時間は196分短縮の「103分」に。福岡市~都城市間は130分短縮の「66分」です。費用便益比は「0.5」と試算されました。宮崎県は新八代ルートについて、「九州の中心である福岡からの時間短縮効果が大きいが、基本計画路線としての位置付けに課題がある」としています。
今日まで至る新幹線の整備計画は、1973(昭和48)年の「全国新幹線鉄道整備法」とそれに基づく基本計画、そしてその中から実行段階へ移される整備計画が元になっています。東九州新幹線は基本計画には挙げられたものの整備計画からは外れ、追加決定を待っている状況です。ちなみに、リニア中央新幹線は2011年(平成23)年に整備計画へ追加され、工事着手に至っています。
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