レム睡眠＆ノンレム睡眠を理解すると、快眠につながる！？　専門家が説く“眠りのメカニズム”

　「レム睡眠」や「ノンレム睡眠」といった言葉を聞いたことがある人は多いと思います。就寝中は「ノンレム睡眠→レム睡眠」というサイクルを複数回繰り返すといわれていますが、両者はそれぞれどのような役割があるのでしょうか。睡眠のメカニズムについて、上級睡眠健康指導士の山本智子さんに教えていただきました。

ノンレム睡眠で脳と体を休める

Q.そもそも、レム睡眠、ノンレム睡眠の違いについて、教えてください。両者にはそれぞれどのような役割があるのでしょうか。

山本さん「レム睡眠は『Rapid Eye Movement（急速眼球運動）』の頭文字を取ったもので、寝ているけれども眼球は急速に動いているのが特徴で、体を休める睡眠とされています。レム睡眠中も脳は活発に動いており、記憶の整理や定着が行われます。

一方、ノンレム睡眠は、レム睡眠以外のすべての睡眠を指し、脳と体を休める睡眠です。ノンレム睡眠中は大脳自体も休んでいるので、脳や体の疲労を回復する上で非常に重要です。

睡眠初期には深いノンレム睡眠が多くなり、後半で浅いノンレム睡眠が多くなります。入眠後に最初に訪れる深いノンレム睡眠のときに成長ホルモンが大量に分泌されます。

成長ホルモンは肌のターンオーバーに関係しているため、かつて『お肌のゴールデンタイムは午後10時～翌日午前2時』といわれることがありましたが、それは誤解です。正確には、成長ホルモンが大量に分泌されるのは、入眠後最初に現れる深いノンレム睡眠のときなので、仮に午後10時に寝たとしても深いノンレム睡眠が得られなければ成長ホルモンの分泌は少なくなります。

通常、ヒトは深いノンレム睡眠から始まり、徐々に眠りが浅くなってレム睡眠に移行し、再びノンレム睡眠に移行します。一般的に、その周期は一晩に3～5回繰り返されるとされています」

Q.睡眠の質を向上させる上でレム睡眠、ノンレム睡眠はどの程度、重要なのでしょうか。レム睡眠、ノンレム睡眠の周期に合わせて睡眠時間を確保すべきなのでしょうか。

山本さん「そもそも睡眠は動物にとって一番無防備な状態です。しかし進化の過程でレム睡眠もノンレム睡眠も残っているということは、どちらの睡眠にも意味があるからということになります。

レム睡眠、ノンレム睡眠が睡眠の質に関わっているのではなく、生体リズムを整えた生活を送ることで睡眠の質が向上し、その結果、レム睡眠とノンレム睡眠の役割がしっかり果たされることになります。

ヒトの睡眠は90分周期といわれていますが、これはあくまで目安であり、個人差があります。一晩の睡眠の移り変わりの中でもレム睡眠、ノンレム睡眠の長さが変わることもあるため、レム睡眠とノンレム睡眠のリズムに合わせて睡眠時間を確保するという考え方はあまり意味がありません。1つの目安として考えてもよいですが、そこに合わせようとするのはなかなか難しいといえます。

睡眠は入眠から覚醒までの全体で見るもので、一晩の中でも移り変わりがあるものです。時間がないため90分周期の2回分の180分寝ようとしても、睡眠時間がその人に合っていないと睡眠不足になるだけなので、自分に合った睡眠時間を見つけて、それを維持することが大切です」

Q.睡眠時にレム睡眠、ノンレム睡眠をうまく活用するコツはありますか。

山本さん「レム睡眠、ノンレム睡眠をうまく活用するには、生体リズムを整えることが大前提となります。『毎朝決まった時間に起き、日光を浴びる』『日中は活動的に過ごして午後3時以降は居眠りしないようにする』『就寝の2時間前には部屋の明かりを落とす』などの工夫をして、生体リズムを整えることで睡眠の質が向上し、レム睡眠、ノンレム睡眠の働きが最大限発揮されます」

オトナンサー編集部

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