もうすぐ水没… 日本唯一「幻の橋」渡ってみた “圧巻の絶景” 味わえるのは今だけ! 世界でも現存3つだけの激レア構造
- 乗りものニュース |

世界で現存3つだけ 激レア橋を見に行ってみた!
岐阜県加茂郡八百津町は、名古屋駅からクルマで1時間ほどの場所にある自然豊かな町です。また、ナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人を救うため、大量のビザを発行したことで知られる外交官・杉原千畝氏の出身地でもあり、地元には記念館も建てられています。
岐阜県にある旅足橋(鈴木伊玖馬撮影)。
そんな八百津町の隠れた人気スポットの1つが旅足(たびそこ)橋です。木曽川とその支流である旅足川が合流する地点に架けられており、一見すると何の変哲もない普通の鉄橋に思えますが、世界で3つしか残っていない大変珍しい橋です。
旅足橋の特徴は、橋側面の形状です。側面下は三角トラスのように鋼鉄が組まれていますが、その上部分にはケーブルが通され、まるで吊り橋のような構造になっているのです。
この形状は、アメリカの構造エンジニアであるデビッド・スタイマンが考案しました。最初にこのタイプの橋が作られた都市名から「フロリアノポリス型」などと呼ばれます。同様の構造で作られたのは世界で5橋のみ。現存しているものに至ってはわずか3橋という、大変貴重な橋となっています。
この構造を採用するメリットには、鉄鋼を節約できるというのが挙げられます。構造的にはかなり古いデザインで、旅足橋以外の4橋が作られたのは、1920年代から1930年代のことでした。
一方、旅足橋が完成したのは1954年4月29日です。想像するに、太平洋戦争が終戦してまだ10年も経過していない時期ですので、鉄鋼を節約できるのが魅力的だったのではないでしょうか。しかし、その後は世界各国で橋梁技術が急速に進歩し、採用されなくなり、日本においても旅足橋が唯一で終わっています。
このように、世界的に見ても極めてレアな旅足橋ですが、数年後には姿を消すかもしれません。じつは現在、木曽川の中流部に新丸山ダムが建設中です。こちらが完成すると、旅足橋も含めた一帯が貯水域となるため、満水時などには水の中に沈む可能性が高いのです。
間もなくダムの底へ… 奇跡の橋のいま
愛知県在住の筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)が旅足橋を訪れたのは2026年5月30日。天気も良く晴れており、散策には絶好のタイミングでした。周辺では工事が進められていますが、国道418号からアクセスすることで、今でもクルマで旅足橋を渡ることができます。
奥には建設予定の新丸山ダムが見える(鈴木伊玖馬撮影)。
今から半世紀以上前に作られた橋ではありますが、その迫力はかなりのもの。1車線の細い道を通った先にあるため、橋の前まで来ると一気に視野が広がります。
とにかく魅力に感じたのが、その眺めの良さです。全面がトラス構造になっていないのもあって開放感があり、橋を通っている際にも周囲の山や川の様子を一望できます。特に気に入ったのが、橋から旅足川を見た時の風景。緑あふれた山の中からすーっと出てくる川を見ていると、とても気持ちがよかったです。
断っておくと、筆者は決してアウトドアなタイプの人間ではありません。しかし、それでもこの旅足橋の風景には、思わず見とれてしまう魅力がありました。
その魅力を感じたのは、筆者だけではないようです。1車線の道路には、何組もの見学者が訪れていました。
2026年現在、周辺の交通網は2010年に開通した新旅足橋が担っており、道幅も狭い旅足橋の交通路としての価値は低下しているようです。しかし、周辺の風情は名古屋から行く価値があると思います。それだけに、ぜひ橋自体も存続してほしいと感じました。
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