砂漠に「船の墓場」!? 錆びた船体が「湖底」にゴロゴロ…20世紀“負の遺産”の異様な光景
- 乗りものニュース |

アラル海「だった」場所が砂漠に
中央アジアの内陸国ウズベキスタンは、紀元前よりシルクロードの交易中心地となり、ロシア革命後はソビエト連邦のウズベク・ソビエト社会主義共和国へ、そしてソ連崩壊によって1991年9月1日、ソ連からウズベキスタンへと独立しました。2026年9月は建国35周年にあたります。
ズラッと並ぶ船の一群は遊歩道に囲まれている。とはいえ、遊歩道も砂嵐によって埋もれそうだ(2026年9月、吉永陽一撮影)
首都のタシュケントから西へ約1100kmの都市ヌクス、そこから北へ約200kmの町モイナクには、かつて面積世界第4位の湖「アラル海」が面していました。
アラル海は内陸の塩湖で、カザフスタンとウズベキスタンにまたがり、古来よりチョウザメなどの漁業が盛んでした。水源となるシルダリヤ川とアムダリア川の川岸などは湿地帯となり、渡り鳥の飛来地や豊かな生態系を形成していました。
しかし、世界第4位の姿は現在ありません。第二次世界大戦が終了したあとソ連の「自然改造計画」という農地改革に基づき、乾燥地帯の砂漠を綿花栽培の農地に変えるため、大規模な灌漑事業が行われました。アラル海に注ぐシルダリヤ川とアムダリア川を灌漑用水として使用し、水路を引いて大規模な綿花栽培を展開したのです。
その代償は大きく、水源を失ったアラル海はみるみるうちに干上がってしまいました。湖の面積は1960年代に約6万8000平方キロメートルありましたが、現在は10分の1から20分の1の面積へと縮小してしまいました。
アラル海に面したモイナクなどの町は、漁業を主産業としていましたが、湖が遠ざかった現在はその面影もありません。船舶は急激な湖面の後退によって湖底へと着底してしまい、解体か遺棄せざるを得なくなりました。
モイナクの町外れの湖岸跡には、遺棄された漁船によって「船の墓場」ができています。20世紀の負の遺産は新たなダークツーリズムの目的地となり、世界中から観光客が訪れ、1960年代からたった半世紀あまりで消え失せていった“海”の現状を目に焼き付けています。
この場所には、10数隻の漁船などが錆びた状態で放置され、アラル海の象徴となっています。船のある場所は塩分を含んだ白い砂漠となり、低木が点在する荒涼とした光景です。この砂漠が湖底だったのです。
荒涼とした砂漠の“湖底”に、無造作に横たわる船の数々。廃墟として“映える”姿ですが、同時に人間が強引に進めてきた事業の代償の姿といえましょう。
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