「ただの練習機じゃないですよ」三菱の空自向け新型に、妙な“穴”があいていたワケ
- 乗りものニュース |

三菱重工業がDSEI Japan 2025にて、航空自衛隊向けの新型練習機「T-X」のコンセプトを発表。その機体には妙な“穴”がありました。T-Xは他にも候補機がありますが、この穴から、ある“トレンド”が見えてきます。
DSEIで初披露 三菱の「次期練習機」コンセプト
三菱重工業は2025年5月21日から23日に千葉県の幕張メッセで開催された大規模な防衛・安全保障イベント「DSEI Japan 2025」の会場で、航空自衛隊のT-4練習機を後継する次期練習機「T-X」のコンセプトモデルを公開しました。
三菱重工業がDSEI Japan 2025に出展したT-Xのコンセプトモデル(竹内 修撮影)
同社の説明担当者は筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)に対して、「航空自衛隊から具体的な要求は発出されていませんが、将来、航空自衛隊が必要とするであろう能力を鑑みて、その要求を充たせる航空機をモデルにしたものです」と話しました。
ただ、このコンセプトモデルはイタリアのレオナルドが製造しているM-346練習機によく似ています。
三菱重工業も、DSEI Japan 2025にM-346のシミュレータを出展していたレオナルドも公式には認めていませんが、三菱重工業とレオナルドはT-Xの開発でタッグを組んだ、ないしはタッグを組むための交渉を行っているという報道も散見できます。
現在の三菱重工業は、F-2戦闘機を後継するGCAPの共同開発への参加や、F-15Jの能力向上改修などの仕事が山積しており、単独で一から練習機を開発できる余裕があるとは筆者には思えません。他方、M-346は航空自衛隊の主力戦闘機であるF-35の訓練に最適化された練習機であり、航空自衛隊の一部の戦闘機パイロットが教育を受けているイタリアのIFTS(国際飛行訓練学校)で運用されている機体です。
そのM-346のライセンス生産、またはM-346をベースにした新型練習機の開発を志向したとしても、それは合理的な判断なのではないかと筆者は思います。この三菱重工業のT-XコンセプトモデルとM-346の関係は今後の推移を見守るほかありません。
ただ、筆者はこのモデルの胴体左舷に、機関砲の発射口と思しき開口部があることに注目しました。これが、T-Xの従来と異なる性質を象徴しているようにも思います。
「攻撃もできます」もしくは「攻撃機型もあります」がキモに?
三菱重工業の説明担当者は、「この開口部は機関砲の発射口です。航空自衛隊はT-Xを単なるT-4練習機の後継機と考えておらず、UAS(無人航空機)や情報収集機などの脅威度の低い航空機への対処などにも使用することも考えていると見て、機関砲の発射口を設けました」と話しました。
韓国空軍のT-50(画像:KAI)
同じようなコンセプトを持つ機体は、DSEI Japan 2025で他にも出展されています。ロッキードマーチンが展示したTF-50の大型模型です。これは同社と韓国のKAI(Korea Aerospace Industry)が共同開発した超音速練習機T-50をベースに開発されたものです。
純粋な練習機型のT-50は非武装ですが、ロッキード・マーチンのTF-50は練習機としてだけではなく、軽戦闘機/攻撃機としても運用できます。
KAIはDSEI Japan 2025でT-50の大型模型を出展していましたが、防衛省・航空自衛隊へ正式提案することになれば、正面に立つのはロッキード・マーチンです。その同社がT-50ではなくTF-50のアピールを行っていたのは、同社も航空自衛隊がT-Xに脅威度の低い航空機への対処能力を求めていると見ている、と考えるべきでしょう。
DSEI Japan 2025での関連展示はありませんでしたが、T-Xの有力候補機と目されているボーイング/サーブのT-7A「レッドホーク」練習機も、軽戦闘/攻撃機型の開発が検討されています。
UASなどの脅威度の低い目標に対し、F-35のような高価な戦闘機ではなく軽戦闘機で対処すること、さらにそれが練習機を兼ねられるのならば、運用コストのみならず調達コストの抑制にもつながるでしょう。
しかし、たとえ相手がUASであれ、対処する機体には機関砲や空対空ミサイルなどの制御に使用する「火器管制レーダー」の搭載が必須となります。従来のレーダーは大型であることから、軽戦闘機には搭載が困難で、それが軽戦闘機の実用性を疑問視する根拠の一つとなっていました。
もしかしたら“かなりマルチ”な軍用機に…?
現在では軽戦闘機に搭載できるレーダーも高性能化が進んでいます。ポーランドとマレーシアは、前に述べたT-50の軽戦闘/攻撃機型であるFA-50の導入を進めていますが、両国のFA-50にはRTXコーポレーション(旧レイセオン)が開発した「ファントムストライク」レーダーの搭載が決まっています。
航空自衛隊のT-4。写真はブルーインパルス仕様(画像:航空自衛隊)
ファントムストライクはF-2やF-35戦闘機などに搭載されているのと同じ、探知距離の長いAESAレーダーで、小型であることからUASやヘリコプターなどにも搭載できます。
DSEI Japan 2025の開催期間中、RTXコーポレーションは幕張でファントムストライクのメディア向け説明会を開催しています。この説明会で筆者は、「T-Xにファントムストライクを搭載するための話し合いを防衛省・航空自衛隊と行っているのか」と質問しました。
RTXコーポレーションの担当者は、防衛省・航空自衛隊から具体的な要求は発出されていないと断った上で、「話し合い自体は行っている」ことを明らかにしています。
前に述べた三菱重工業の説明担当者は、T-Xは脅威度の低い目標への対処だけでなく、現在はF-15DJ戦闘機が行っている、高度な戦闘訓練にも使われる可能性があるとの見通しを示していました。
現在運用されているT-4は、新人パイロットの教育訓練や基地間の人員の移動などに使われる航空機ですが、DSEI Japan 2025での展示を見る限り、主要な航空機メーカーはT-Xについて、T-4とはかなり毛色の異なる航空機になると見ているようです。
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