【梅雨】自律神経が乱れ「不眠」になりがち 精神科医が教える“睡眠の質”高めるコツ
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梅雨は自律神経が乱れやすい時期といわれています。そのため、夜になかなか眠れない人もいるようです。Xでは「眠い」「梅雨は不眠になりがち」「眠りが浅い」などの声が上がっています。梅雨の時期に睡眠の質を高めるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。神谷町カリスメンタルクリニック(東京都港区)院長で精神科医の松澤美愛さんに聞きました。
夜も交感神経が優位な状態が続き不眠に
Q.そもそも、梅雨の時期は心身ともに異変が生じやすい時期なのでしょうか。梅雨の時期に生じやすい症状はありますか。
松澤さん「最近は、天気によって体調に変化が起きる症状を‘気象病’として捉えるケースが増えています。正式な病名ではありませんが、日本では季節や天候の変化が大きく、また年々その変化が激しさを増しているため、気圧や湿度、気温差などの影響を受け、体調を崩してしまう人が増加しているのです。
そんな中、梅雨の時期は湿度が高い状態が続き、気圧や気温が変化しやすいため、まさに心身ともに不調を感じやすい時期となります。そのため、精神科では患者が大きく増える時期となります。
今までも気圧や湿度、気温の変化が心身に影響を与えることは知られていましたが、最近ではその中でも特に気圧の変化が大きな引き金となることが分かってきました。
体調変化に影響を与える重要なメカニズムの一つとして、内耳が気圧の変化を感知すると中枢神経系に影響を及ぼすというプロセスがあるのですが、気圧が下がると前庭神経系の神経活動が高進することが確認され、この前庭系の興奮が視床下部や脳幹を介して自律神経系のバランスを乱れさせることが分かってきたのです。
自律神経の乱れによる主な症状は、『頭痛』『倦怠(けんたい)感』『不眠』『息苦しさ』『めまい』『耳鳴り』『首や肩の凝り』『関節痛』『耳の詰まり感』『吐き気』『古傷の痛み』『気管支炎やぜんそくの悪化』『気分の落ち込み』『イライラ』です。
身体的な症状もこころの症状もあり、多彩な症状を引き起こすことが分かります。これらの症状は特にホルモンの影響を受けやすいとされる女性、頭痛や肩こり、神経痛など慢性的な痛みを抱えている人、精神疾患の既往がある人、性格的に不安が強い人に出やすいとされています。これらの症状の中で梅雨の時期に特に多いのは頭痛(80~90%)、倦怠感(約70%)、不眠(約60%)、息苦しさ(約50%)です」
Q.梅雨は自律神経の乱れにより、睡眠の質が下がりやすい時期とのことですが、なぜ自律神経が乱れると睡眠に影響が及ぶのでしょうか。
松澤さん「私たちの体は、日中には行動を活発にする『交感神経』が優位となり、仕事や学業などの日常生活をこなせるように調整されていますが、夜になると、休養するために心身をリラックスさせる『副交感神経』が優位になるように調整されます。
しかし、このバランスが乱れてしまうと交感神経が優位なままとなり、興奮状態のためなかなか寝付けず、眠りにくくなり、深い睡眠に入ることができません。その結果、眠りが浅くなり、睡眠の質が下がってしまうのです。
また気圧の変化により、神経伝達物質の一つである『セロトニン』の分泌が減ってしまうことも、睡眠の質が下がる原因の一つとなります。セロトニンは『幸せホルモン』ともいわれており、精神の安定に関わる重要な神経伝達物質です。セロトニンが減少すると気分が落ち込みやすくなるほか、不安が生じるようになり、睡眠の質に影響を与えてしまいます。すると、不眠や過眠といった症状が出ます」
梅雨の時期に睡眠の質を上げるには?
Q.梅雨の時期に睡眠の質を上げるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。寝室の環境や生活習慣などで見直すべき点について、教えてください。
松澤さん「睡眠の質に影響を与える自律神経の乱れは、先述のように気圧や湿度、気温の変化により起こります。そのため寝室内の湿度や温度をできるだけ一定に保つように心掛けましょう。エアコンが苦手という場合は、除加湿空気清浄機や扇風機などの使用がお勧めです。
同じ温度の環境下では湿度が高いと覚醒しやすくなり、深い睡眠が得られにくくなるといわれています。また、夜間の睡眠にちょうど良い温度は15~21度といわれており、恐らく皆さんが思うよりも低い温度が快適であるとされています。冷房の室温設定だけでは体が冷えてしまう可能性があるため、湿度設定とともに、寝具でうまく調整しましょう。
良い睡眠のためにはリラックスして落ち着くことができる寝室の雰囲気(空間づくり)と光と音の調整も大切です。空間づくりについては、寝室は休息を取るための場所であることを意識して、ワークスペースとの併用は避けるなど、安心感を持てる空間を整えましょう。
また、寝室内に余計な物を置かず、シンプルな空間になるように心掛けるとともに、寝具は落ち着いた色合いでそろえ、枕やマットレス、布団などの高さや硬さ、素材などは自分好みのものを選ぶのがお勧めです。好きなアロマを使用したり、ぬいぐるみを置いたり、抱きしめたりすることで安心感を得るのもよいでしょう。
光については、入眠の際は明かりを感じない状態が推奨されますが、起床時に日光が室内に入り込むと良いでしょう。入眠前にリラックスする目的で音楽をかけるのは良いですが、かけっ放しで寝てしまうと睡眠中に覚醒が促されてしまうため注意が必要です。
このほか、自律神経を整える生活習慣を意識しましょう。具体的には、次のような取り組みが大切です」
【自律神経を整える生活習慣】
■朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びる
■毎日決まった時間に起床、就寝することで生活のリズムをつくる
■散歩やストレッチなどの適度な運動でリフレッシュし、血流を促進させる
■入浴習慣をつけてリラックスする
■カフェインやアルコール、刺激物を摂取する際は常に適量を心掛ける
■バランスの良い食事を取る
■GABAやトリプトファンなど、睡眠の質を上げるのに効果的な栄養素を積極的に取る
・GABA
穀物や野菜、果物、発酵食品に含まれている。
・トリプトファン
大豆製品や乳製品に含まれている。
・グリシン
肉類や魚介類、野菜に含まれている。
・マグネシウム
海藻類や豆類に含まれている。
・オメガ3脂肪酸
青魚やクルミに含まれている。
・ビタミンD
魚介類やキノコ、卵黄に含まれている。
Q.もし梅雨の時期にどうしても眠りが浅くなる場合、医療機関を受診した方がよいのでしょうか。
松澤さん「寝室の環境を調整し、生活習慣の見直しを行っても睡眠の質が上がらない場合は早めに医療機関を受診した方が良いでしょう。『たかが睡眠』と思って後回しにしてしまいがちですが、睡眠は人生の3分の1を占めるとても大切なものです。眠りが浅いなど、質が悪い睡眠を取り続けてしまうと記憶力や集中力などが低下するほか、気分の落ち込みが起き、うつにつながるなど、心に影響を及ぼします。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やがんにかかりやすくなるなど、体にも大きな影響を及ぼします。
受診の目安としては、『朝、起きにくい』『日中に眠くなる』など生活に支障が出ている場合や、睡眠以外にも頭痛や倦怠感など、気になる症状が出始めた場合などが考えられます」
(オトナンサー編集部)
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