雨の日ほど要注意！？　「梅雨型熱中症」の“恐ろしさ”を医師解説

　熱中症といえば、気温が高い真夏になりやすいイメージがあります。一方、湿度が高い梅雨の時期に熱中症にかかるケースも珍しくありません。このように真夏ほど気温が高くなく、湿度が高い梅雨の時期に発症しやすい熱中症は「梅雨型熱中症」と呼ばれていますが、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。みかわ整形外科クリニック（大阪市平野区）理事長で整形外科医の三河聡志さんに聞きました。

気付かぬうちに熱中症に

Q.「梅雨型熱中症」の主な症状、原因について教えてください。

三河さん「梅雨型熱中症とは、気温がそれほど高くないにもかかわらず、湿度が高いことが原因で体温調節がうまくいかなくなり、熱中症に陥る状態のことです。通常の熱中症と同じ初期症状が出ますが、梅雨の時期に発症することから、梅雨型熱中症と呼ばれています。梅雨型熱中症の主な初期症状、主な原因は次の通りです」

【梅雨型熱中症の主な初期症状・注意点】
・倦怠（けんたい）感や疲労感
・めまい、立ちくらみ
・頭痛
・吐き気
・発汗過多または汗が出ない
・筋肉のけいれん（こむら返り）
・意識がぼんやりする、集中力が低下
重症化すると、意識障害やけいれん、ショック状態に陥るので注意

【梅雨型熱中症の主な原因】
（1）湿度が高く、発汗が妨げられる
人間の体には、体温上昇時に汗をかいて蒸発させることで、体温を下げる機能が備わっています。しかし、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体に熱がこもりやすくなります。

今年は6月中旬以降、全国的に気温が高い状況が続いていますが、梅雨の時期はまだ夏本番ではなく、雨の日は気温が下がることもあります。そのため、体が暑さに慣れていない、いわゆる「暑熱順化が不十分」なことが多く、熱中症になりやすい傾向にあります。

（2）屋内でも意外と熱がこもりやすい
雨天が続く梅雨の時期は屋内で過ごす時間が増えますが、風通しが悪い場所やエアコンを使わない環境では、意外と熱がこもります。そのため、気付かぬうちに熱中症にかかることがあるので注意が必要です。

（3）自律神経の乱れ
梅雨の時期は気圧の変化や湿度による不快感で、自律神経が乱れやすくなります。その結果、熱中症にかかりやすくなります。

Q.梅雨型熱中症を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。注意点や必要な対策について、教えてください。

三河さん「先ほどの説明と重なる部分もありますが、次の4点に注意した上で必要な対策を行ってください」

【梅雨型熱中症の注意点】
（1）気温がそれほど高くない日でも油断しない
梅雨の時期は最高気温が25〜30度程度の日が多く、真夏に比べて気温がさほど高くありません。そのため、「今日はそこまで暑くないから大丈夫だろう」と熱中症対策を怠りがちになります。ただ、先述のように梅雨の時期は湿度が非常に高いため、汗が蒸発せず、体温調節が効かなくなるリスクが高まります。

（2）梅雨の時期は暑熱順化が不十分
梅雨は、体が本格的な暑さに慣れていない時期です。そのため、同じ環境でも真夏より熱中症にかかりやすく、症状が出やすい傾向にあります。

（3）室内での発症が多い
梅雨の時期は雨の日が多く外出を控えがちになります。一方、湿度が高く、風通しが悪い場所では熱がこもるケースが増加します。特に調理中の台所、入浴中の脱衣所・浴室、閉め切った寝室などは要注意です。

（4）高齢者や基礎疾患がある人は特に注意が必要
高齢者は暑さや喉の渇きに対する感覚が鈍くなるため、気付かぬうちに脱水症状や熱中症に至るケースが見られます。同様に、基礎疾患がある人も熱中症を発症しやすい傾向にあります。

【梅雨型熱中症を予防するポイント】
・気温だけでなく、湿度にも注意する。特に湿度が60％以上だと熱中症の発症リスクが上がる。

・エアコンや除湿機を上手に活用する。

・水分や塩分を小まめに補給する。

・暑さに慣れるため、ウオーキングやジョギングなどの軽い運動をする。

・睡眠と栄養をしっかり取る。

例年、梅雨の時期になると、整形外科でも脱水症状や筋肉けいれんを訴える患者さんが増える印象があります。何度も強調しますが、高齢者や持病のある人は特に熱中症を発症するリスクが高いため、天気や気温だけでなく、「湿度」を意識した生活管理が非常に重要です。

オトナンサー編集部

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