【30周年】「森永アロエヨーグルト」　66億個販売も当初は鳴かず飛ばず！？　大ヒットの裏にあった意外な“苦戦秘話”

　12月10日は「アロエヨーグルトの日」です。森永乳業（東京都港区）が1994年12月10日、日本で初めて、アロエ葉肉入りのヨーグルト「森永アロエヨーグルト」を発売したことを記念して制定しました。ちょうど今年で発売30周年を迎えた同商品を好んで食べている人は多いと思います。

　ところで、ヨーグルトと、薬の原料として有名なアロエの組み合わせは当時としては画期的だったようですが、なぜ、これらを組み合わせたのでしょうか。商品開発の経緯やヒットの裏側などについて、同社ヨーグルト・デザート事業マーケティング部の鈴木優太さんに聞きました。

ナタデココに代わる素材を探し…

　鈴木さんによると、ヨーグルトとアロエを組み合わせるきっかけとなったのは、1990年代前半に一世を風靡（ふうび）したナタデココブームが下火になったことだといいます。

　そこで、同社は「食べたことがない」「食感がおもしろい」「話題性がある」の3点を条件にナタデココに代わる新たな素材を探し、「アロエ葉肉のシロップ漬け」を発見したということです。

　当時の日本では、アロエは家庭でも栽培されている親しみのある植物でしたが、主に民間療法でやけどや切り傷などの治療、シャンプー、石けんといった美容製品の素材として使われており、食用としてのイメージは一般的ではなかったといいます。

　しかし、ビタミンやミネラルなどの成分をバランスよく含む自然素材であることから、一部のナチュラル志向の人々の間で、アロエ葉肉のシロップ漬けは支持されていたということです。そこで、美容や健康を意識する若い女性のための「食べるコスメ」というコンセプトのもと、同社は開発を始めました。

　その後、1994年12月10日に商品を発売しましたが、当初の売り上げは1日2～3万個程度で、あまり華々しいものではなかったといいます。鈴木さんはその原因について、発売時期が季節外れだったことや、アロエの健康感を出すためにあえて採用した緑色のパッケージが不評だったことを挙げました。

　また、発売当初の評判について、「発売当初、営業担当からは『売り込むのが難しい』と言われたほか、販売店さまからは『もっとおいしそうなデザインにできないのか』と難色を示されたようです。発売時に積極的だったのは大手コンビニ1社のみで『すぐに売れなくなるだろう』と冷ややかな反応が多かったと聞いております」と教えてくれました。

　ところが1995年1月ごろから、たまたま商品を食べた女性たちの口コミ効果で、販売数量を伸ばすコンビニが続々と現れ始め、同年には1日平均10万個の販売を達成したということです。

　その後、森永乳業は、森永アロエヨーグルトのヒットを機に発売日である12月10日を「アロエヨーグルトの日」として申請し、認定されました。現在、森永アロエヨーグルトは1994年12月の発売以降、累計で約66億個を販売し、容器を横に並べると、地球およそ11周分になるということです。

　アロエをおいしく食べてもらうためにヨーグルトにもこだわっているといいます。鈴木さんは、「ヨーグルトの味の決め手は乳原料と乳酸菌です。森永アロエヨーグルトでは、良質な乳原料と選び抜かれた乳酸菌を使用し、酸味の少ない、なめらかでコクのあるヨーグルトに仕上げています」と説明。

　その上で、「このヨーグルトは発酵臭が控えめで、森永アロエヨーグルトの爽やかな風味をより一層引き立てます。また、このヨーグルトをアロエ葉肉が均一に混ざる適度なやわらかさに仕上げることで、ヨーグルトとアロエの一体感を実現しているのです」と、アロエとヨーグルトをうまく組み合わせる秘訣（ひけつ）について、明かしてくれました。

　アロエヨーグルトのおいしさを届けることができるように、研究成果や時流に合わせて、パッケージや味のリニューアルを重ねているほか、アロエの粒をさらに大きくした「3倍大粒」タイプや「脂肪0（ゼロ）」タイプなど、バラエティー豊かな商品ラインアップを取りそろえているということです。

　実際に、同社は2024年10月に「森永アロエヨーグルト」と「森永アロエヨーグルト 2個パック」をそれぞれリニューアル。森永アロエヨーグルトはアロエ葉肉量を従来品比で15％増量したほか、森永アロエヨーグルト 2個パックもアロエ粒数を従来品比（等量当たり）で50％増量し、アロエ葉肉の食感が楽しめる味わいに仕上げたといいます。

　さらに、森永アロエヨーグルトシリーズ初の食べるタイプの機能性表示食品「森永アロエヨーグルト W 2個パック」を10月1日に発売。プレバイオティクス素材であるイヌリン（食物繊維）を配合し、肌の保湿力（バリアー機能）を高め、腸内環境を改善するという2つ（W）の機能が期待できるということです。

　好みに合わせて、ぜひ森永アロエヨーグルトを食べてみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

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