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「ミサイルが足りない」 世界が欲しがる“主力装備”日本も国内製造へ 輸入に頼れない“背に腹代えられぬ”事情

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「撃ちっぱなしOK」自由主義陣営の“標準ミサイル” なぜ日本は国産化?

 防衛省は令和8(2026)年度予算案に、AIM-120「アムラーム」中射程空対空ミサイルを日本国内で生産するための基盤整備費として3億円を計上し、令和8年度に国内製造基盤整備に着手する方針を明らかにしました。輸入に頼っていた主力ミサイルを国産化する背景には何があるのでしょうか。

Large figure1 gallery7アムラームの発射実験を行う試作機時代のF-35(画像:RTX)

 アムラームは1970年代末期から1980年代前期に、アメリカの防衛企業「ヒューズ」(現RTX)によって開発された空対空ミサイルです。アムラームの実用化まで、アメリカ軍などで使用されていた中射程空対空ミサイルAIM-7「スパロー」は、目標に命中するまで発射母機から目標まで母機のレーダーで誘導する必要がありました。

 このため発射後にすぐ発射空域から離脱することができず、誘導中に母機が反撃を受けてしまうこともあったのですが、アムラームはミサイル自体に標的を追尾する機能を備えているため、母機から誘導する必要がなく、発射後に母機が空域をすぐ離脱できる「撃ちっ放し」能力を備えています。

 アムラームは1992年のイラク飛行禁止区域における多国籍軍の警戒活動以降、様々な戦場で信頼性の高さを実証してきました。また段階的に能力が向上されているほか、戦闘機への火器管制システムとの統合も容易なため、開発国のアメリカ製戦闘機だけでなく、ユーロファイター・タイフーンやサーブ・グリペンといったヨーロッパ製の戦闘機にも統合できることから、2025年1月の時点で日本を含めた40か国以上の空海軍や海兵隊に採用されています。言わば自由主義陣営諸国の戦闘機の、標準的な空対空兵装です。

 日本は1999年にアムラームと同等の能力を持つ99式空対空誘導弾(AAM-4)を制式化して、F-15J/DJやF-2戦闘機に搭載してきました。このためアムラームは評価試験用に少数を調達したのみでしたが、2014(平成26)年度から、大量調達に切り替えています。

 その理由は、今後、数の上で航空自衛隊の戦闘機の主力となるF-35A/Bには、99式空対空誘導弾をはじめとする日本で開発された兵装の搭載が不可能なためです。

 F-35に国産兵装が搭載できないのは、ウエポンベイのサイズに合わないからだと説明されていることもありますが、それ以前に国際共同開発機であるF-35には、開発を主導したアメリカと、開発プログラムに参加したイギリスやノルウェーなどが開発した兵装以外は、統合できない国際的な取り決めが存在しているからです。

 このため開発パートナー国ではなく、FMS(対外有償軍事援助)を利用してF-35を購入した国は、日本のように同等の製品を国内開発・生産する能力があっても、アムラームをはじめとする国際的な取り決めで統合が承認されている兵装を購入するほかありません。

「アムラーム不足」顕在化 背に腹は代えられない?

 前に述べたように航空自衛隊向けアムラームの大量調達は2014年度から開始されていますが、物価高と終わりの見えない円安の影響で、アメリカからの輸入価格は右肩上がりに上昇しています。

Large figure2 gallery8防空システム「NASAMS」のミサイル発射装置。写真のアムラームのほか、短射程空対空ミサイル「サイドワインダー」なども発射できる(竹内 修撮影)

 国内生産を行うことで、アムラームの調達価格がどの程度下がるのかを予測するのは困難なものの、輸入の場合より出費を抑えられる可能性もあります。日本は万が一有事が発生した場合の継戦能力を高めるため、ミサイルだけでなく砲弾などの調達数を増やしていますが、航空自衛隊の戦闘機戦力の要であるF-35に搭載するアムラームの国内生産は、継戦能力を高める上でプラスになるのは間違いないでしょう。

 アムラームはウクライナにも供与されています。ウクライナ空軍の主力である旧ソ連製の戦闘機には統合できませんが、オランダなどから無償供与されたF-16戦闘機にとって欠くことのできない空対空兵装ですし、またアメリカ、カナダ、ノルウェーから供与された防空システム「NASAMS」(National Advanced Surface-to-Air Missile System)でも使用されています。アムラームの国産化は、日本からの“輸出”の道も切り開く可能性があるのです。

 NASAMSはロシア連邦軍の弾道ミサイルや巡航ミサイルの迎撃で大きな成果を上げていますが、多くのアムラームを消費しています。ウクライナへのアムラームの供与は、供与した国の在庫を取り崩す形で行われています。供与国、とりわけヨーロッパ諸国は在庫の補充に加えて、ロシアの軍事的脅威に対抗するため、アムラームの拡充を希望していますが、現在生産を担当しているRTXの生産能力も限界に近づいており、希望に応えきれていないのが現状です。

 ミサイルのような殺傷能力を持つ防衛装備品の輸出には防衛装備移転三原則の緩和が必要になります。日本でアムラームの生産が行われた場合、アメリカとの共同生産という形になりますから、アメリカの承認を得る必要もありますが、これらの条件がすべてクリアになるのであれば、同盟国のアメリカだけでなく、自由経済や海洋の自由利用といった日本と価値観を共有する「同志国」に対しても「日本産アムラーム」を輸出すべきなのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

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