鼻詰まりに効くけど…市販の「点鼻薬」多用で症状悪化も　最適な使用頻度とは　薬剤師が解説

　スギ花粉が原因で鼻水や鼻詰まりなどの症状に悩む人は多いと思います。こうした鼻の症状を緩和させるために市販の点鼻薬を使う人がいますが、使用時はどのような点に注意する必要があるのでしょうか。点鼻薬を使う際の注意点や最適な使用頻度などについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。

長期使用で「薬剤性鼻炎」を引き起こす恐れ

Q.鼻水や鼻詰まりがひどいときに市販の点鼻薬を使う人がいますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

真部さん「市販の点鼻薬は、鼻水や鼻詰まりを一時的に緩和するのに効果を発揮します。点鼻薬は主に2種類あります。血管収縮剤を含むものとステロイドを含むものです。特に血管収縮剤を含むものは、鼻腔（びくう）内の血管を収縮させて、鼻詰まりを素早く解消してくれます。そのため、呼吸が楽になったり、睡眠の質が向上したり、日中の活動がしやすくなったりというメリットがありますよ」

Q.市販の点鼻薬を使うときの注意点はありますか。例えば、何日程度使い続けてもよいのでしょうか。また、持病の関係で使用を控えた方がよい人、医師や薬剤師に相談する必要がある人について、それぞれ教えてください。

真部さん「使い続けても問題がない日数は、点鼻薬のタイプによって異なります。

まず、鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻詰まりを即効で改善する『血管収縮剤入りのタイプ』は、一般的に1日6回程度で3～5日以内の使用が推奨されます。長期間使用すると『薬剤性鼻炎』という依存症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

アレルギー性鼻炎などに効果的で、炎症を抑える作用がある『ステロイド入りのタイプ』は、1～2週間の使用が目安になります。それだけ使っても効果がない場合は医師に相談してください。また市販のステロイド入り点鼻薬は1年間のうち、合計3カ月を超えて使用しないよう注意書きがあります。厳密な使用期間は点鼻薬によって異なるため、添付文章を確認してくださいね。

鼻を洗浄するための『生理食塩水タイプ』のものは、副作用がないため日常的に使用しても問題ありません。

いずれのタイプも、用法用量を守ることが重要です。また、清潔を保つため、スプレーの先端は毎回清潔にし、他人と共有しないようにしてください。症状が長引く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。

次の項目に該当する人は、使用を控えるか使用前に医師や薬剤師に相談してください」

・高血圧、心臓病、糖尿病、甲状腺機能障害、緑内障の持病がある人
・医師の治療を受けている人
・妊婦、妊娠の可能性がある人
・授乳中の人
・併用薬がある人
・薬にアレルギーがある人

Q.開封した市販の点鼻薬は何カ月程度使用できるのでしょうか。

真部さん「使用期限は、細菌感染や保管状態を考慮し、基本的に『開封後約1カ月』を目安にしていただきたいです。各点鼻薬の外箱に使用期限が書いてありますが、それは未開封の場合の期限なので注意しましょう」

＊　＊　＊

　点鼻薬のうち、「血管収縮剤入りタイプ」は1日6回程度で3～5日以内の連続使用、「ステロイド入りタイプ」は1～2週間程度の連続使用を目安にするとよいことが分かりました。点鼻薬は自身の症状に合ったタイプの製品を使用し、日常生活を快適に過ごせるようにしたいですね。もし使用しても効果がみられない場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

（オトナンサー編集部）

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