仕事から解放されるけど…年末年始はうつになりやすい? メンタル悪化を招く“NG行為”とは【精神科医に聞く】
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年末年始に旅行や帰省を計画している人は多いと思います。長期休みは基本的に仕事から解放され、自由に時間を使えるため、ストレスを発散できる印象がありますが、ネット上では「うつになりやすい時期」という内容の声があります。実際に、年末年始はうつになりやすい時期なのでしょうか。年末年始にメンタルヘルスに悪影響を及ぼす行為や、心身共に健康に過ごす方法などについて、神谷町カリスメンタルクリニック(東京都港区)院長で精神科医の松澤美愛さんに聞きました。
疲れをためたまま長期休暇に入るため疲労が出やすい時期
Q.年末年始について、ネット上では「うつになりやすい時期」という内容の声がありますが、本当なのでしょうか。
松澤さん「本当だと言えるでしょう。年末年始にうつになりやすい理由について、解説していきます。
もともと冬は日照時間が少ない時期でうつになりやすい時期です。日照時間の減少により幸せホルモンと呼ばれるセロトニン分泌が減少し、夜が長くなることから睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが増加します。セロトニンはその別名通り、気持ちを明るく前向きにするホルモンであるため、減少することで抑うつ的となります。
一方、メラトニンは睡眠を調整し、良質な眠りには欠かせないホルモンですが、増加により分泌のバランスが崩れると、体内時計が乱れて睡眠の質が悪化し、重い、だるい状態が日中も続きやすくなります。
そんな中での12月はまさに師走の言葉通り、大忙しという人が多いのではないでしょうか。仕事では年末の締め日を前に日々やることに追われ、イベント事も多いこの時期、忘年会、クリスマス、帰省の準備と続き、気持ちは華やぐものの疲れがたまる日々が続きます。気が付けば年末年始を迎えているという状態で、心身共に余裕が持てない時期であると思います。
そして年末は総決算の時期、1年の振り返りをして来年を考えるというタイミングでもあり、やり残していることがあったりできなかったりしたことがあると心理的プレッシャーとして重くのしかかってきます。特に強い目標を持っていた人ほどその反動でつらく感じるでしょう。1年を通して頑張ってきた体にはすでに疲労が蓄積されており、そこに精神的な疲れも加わると余計に強い疲労感を覚えます。
ようやく迎えた年末年始、多くの人にとって特別な時間です。休みに入った安堵(あんど)感、しばらく続く休みに久しぶりに友達や家族と会ったり、いつもよりぜいたくな食事、外出、旅行など、今までの疲れを忘れて楽しんだりしますが、楽しい時間はあっという間です。年始を迎えると休日がまだ残っていても『気持ちが重い』『気持ちが沈む』という状態になりやすくなります。
私たちは休日を満喫している最中にも無意識に『この休みが終わったらまた忙しい日々が始まってしまう』という思いを持ち、心身にストレスを与えてしまっているのです。そして休暇後に憂鬱感が強くなり、『仕事に行きたくない、行けない』『仕事に行ってもできる気がしない』などと思ってしまう状態は『ポストホリデーシンドローム(ポストホリデーブルー)』とも呼ばれます。
ポストホリデーシンドロームは医学的に正式な診断名ではありませんが、休暇明けや長期休暇の終わりにしばしば覚える憂鬱感として多くの人が一般的に経験する状態であるとされます。これは年末年始に限ったことではないため、ゴールデンウイーク(GW)後、夏休みなど長期休暇の後にも同じ状態になることがあるでしょう。
このように年末年始は冬場の特性としてうつの傾向が出やすい背景があり、その上で非日常のイベント事も多く、日常生活でも心身の疲労がたまりやすい時期であること、その後に迎える長期休暇であり、体力消耗や生活リズムの乱れ、心理的ストレスなどにより、年末年始後には多くの人が一般的に憂鬱感を経験しやすい状態となると言えます」
Q.では年末年始にうつが悪化してうつ病につながってしまう行為、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすNG行為について、教えてください。
松澤さん「長期休みとはいえ、生活リズムの乱れはNGです。生活リズムの乱れは睡眠の質を悪化させ、感情的、認知的、社会的な健康リスクを高めるとされます。特に夜型の生活リズムはうつ病の発症リスクを高めます。多くの人が集まって食事をする機会などが多い年末年始ですが夜更かしは禁物です。
また飲酒の機会も増えがちな年末年始ですが深酒はNG。お酒を飲んでいる間は楽しく、普段のうつうつとした気分が紛れるように感じますが、その後にさらに強い抑うつや不安が出現するとされています。また、せっかくのお休みだからと1日をずっと同じ場所で過ごすといったように、極端に動かないこともNGです。蓄積されている緊張や不安が解消されずにたまったままになってしまうためです」
Q.年末年始にメンタルを健康に保つには、どのような対策が有効なのでしょうか。長期休み中に無理なくできる対策はありますか。
松澤さん「自律神経を乱れさせないこと、これが何よりも重要です。どうすれば乱れさせずに済むのかについては、できるだけ普段通りの生活を送ることです。そのポイントとして、以下いくつか例を挙げます。全て実践するのは難しくても、ご自身の生活の中で取り入れられそうなことを取り入れてみてください」
■規則正しい生活を心掛ける
就寝時間、起床時間を一定とすることは自律神経にかかる負荷を軽減し、余計なストレスを感じにくくさせます。自律神経を乱れさせないために最も大切なことです。
■日光を浴びる
日光を浴びることでセロトニンの分泌を促し、体内時計を正しい形にセットすることができます。意識的に日光を浴びるようにしてセロトニンを増やしましょう。まず起きたら朝日を浴び、日中は何か理由をつけて外に出て日光浴しましょう。外出が難しい人は、可能な限り窓辺で過ごし、日光に当たることでも効果はあります。
■運動やストレッチなどで適度に体を動かす
自律神経を整えるには、全身の血流を改善させる運動やストレッチなどがとても効果的です。冬場は冷えを感じやすくなりますが、冷えは血管を収縮させ、血流が滞りやすくなります。適度に体を動かすことで血流は改善し、自律神経を乱れにくくさせます。気分転換やストレス解消になりますし、セロトニンの分泌を増やすこともできます。セロトニンを増やすことで自律神経が整い、良い睡眠が得られやすくなるでしょう。
■入浴習慣をつける
忙しいとついついさっとシャワーを浴びる習慣となりがちですが、せっかくの長期休暇、ゆっくりと時間をかけてぬるめのお湯にしっかりとつかることが大切です。その時間に活動モードの交感神経からリラックスモードの副交感神経に切り替わり、良い睡眠に向けて自律神経の調整が行われます。
■睡眠環境の調整
スムーズな入眠のためには、静かで気持ちを落ち着かせることができる環境が大切です。明るい生活環境と暗い睡眠環境を意識して分け、睡眠時は室内の照明を消し、スマホやタブレットなどの余計な光を浴びず、眠りやすい環境を整えましょう。寝付くまでの時間でタイマーをセットしてリラックスできる音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを取り入れたりするのも良いでしょう。
スムーズな起床のためには起床時間に合わせて自然に太陽光を取り入れられるようにタイマー式カーテンを利用したり、起床時には自分にとってちょうど良い室温(暑いとも寒いとも感じない温度)になるようにタイマーをセットしたりするなど、快適な環境作りを意識すると良いでしょう。年末年始の時間を睡眠環境の調整に必要なものの買い出しに充てることなども有意義ですね。
オトナンサー編集部
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