生徒を救う愛と、教師を守る戦い──第10話に描かれた“学校の未来”【僕達はまだその星の校則を知らない#10】
- マイナビウーマン |

※本コラムは『僕達はまだその星の校則を知らない』第10話までのネタバレを含みます。
■『銀河鉄道の夜』のジョバンニのように──健治が示した愛のかたち
生徒会副会長の斎藤(南琴奈)が、大麻所持の容疑で逮捕された第10話。
たしかに、彼女は幼なじみの冬馬(本島純政)から預かった袋を、代理で女子中学生に渡しました。もちろん、その中身が大麻だなんて、知らなかった。それでも、冬馬から報酬と思われる電子マネー30万円が振り込まれていた“証拠”や、「彼女も中身を知っていた」という冬馬の“証言”、実際に大麻を運んでしまった“事実”があるため、斎藤の家族が雇った弁護士は、「保護観察処分が妥当だ」と言い出しました。
それに、“ムムス”を感じたのが、健治(磯村勇斗)です。
健治は、「巻き込まれただけなら、本来は不処分のはずだ」と主張しますが、濱ソラリス高校のスクールロイヤーである以上、利益相反になるので斎藤の付き添い弁護士になってあげることはできない。ここで、大抵の人は「なら、仕方ないかぁ……」と諦めてしまうと思います。
しかし、健治はスクールロイヤーを辞めて、斎藤の付き添い弁護士になると言い出しました。尾碕(稲垣吾郎)に、「解雇してほかの弁護士を雇いたい」と言われて、「この学校で働くことにやりがいを感じているんです。続けさせてください。力になりたいんです」と頭を下げるほど、この仕事が、学校が、大好きになっていたのに!
彼を見ていると、嫌な思い出は塗りつぶすのではなく、新しいページに色を加える過程で、少しずつ新しい景色に変わっていくものなのだな……と気づかされます。学校が大嫌いだったはずなのに、濱ソラリス高校で、心から大切にしたいと思える生徒たちや、尊敬できる教師、そして愛する珠々(堀田真由)に出会い、彼のなかの“学校”のイメージがどんどん変わっていった。
『僕達はまだその星の校則を知らない』というタイトルに重ねるとするなら──法律を知らなかった生徒たちに健治が知識を与えたように、学校という場所の魅力を知らなかった健治に、彼らが“生きた学び”を返してくれた。お互いに知らなかった世界を教え合うことができる出会いって、なんて素晴らしくて尊いものなのだろう……!
第10話のサブタイトル「さようなら、スクールロイヤー」にもあるように、健治は学校を去り、斎藤の付き添い弁護士に。彼女を信じ続けた健治のおかげで、斎藤は不処分になりました。この瞬間、彼はスクールロイヤーとしての肩書きは失いましたが、ただの喪失ではありません。
健治は、濱ソラリス高校のスクールロイヤーになり、心から大事にしたいと思える存在を得ることができたんです。「僕はもうあのサソリのようにほんとうにみんなの幸のためならば、僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」と思えるほどに。
健治が言っていたこの台詞は、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』のジョバンニの言葉です。ジョバンニは、他者の幸福のためなら、自分の身を犠牲にしてもかまわないという深い自己犠牲の精神を持った人物。そんなジョバンニのことを、健治は「子どものころは痛すぎて目を逸らしていた」と言います。
しかし、今では彼の言葉に深く共感するどころか、気づけば自分自身がジョバンニのように、他者の幸福のために身を差し出す選択をしている。これは、法律家としての使命を超え、ひとりの人間としての愛や責任に基づいた選択だったように思います。
■尾碕のことを『そういうことじゃないんだよ展』に飾ってほしい!
健治は、山田(平岩紙)から、「教師の負担は増える一方なのに、学校は改善するどころか賞与を減額しようとしている」と相談を受けていました。しかし、当時はスクールロイヤーだったので、「待遇改善のために組合を通して学校側と労使交渉するように」というアドバイスしかできなかった(というか、これだけでも尾碕は激おこでした)。
労使交渉を受けた濱ソラリス学園は、山田に人事異動として学年主任や顧問の業務を解除すると言い出しました。「役職を離れるので、そのぶん給料の額は減りますが、これでご家族との時間も作れるでしょう」とドヤ顔をする尾碕に、特大“ムムス”を感じたのはわたしだけではないと思います。今すぐ、『そういうことじゃないんだよ展』に飾りたいくらい……!
そもそも、山田はラクをしたいわけじゃないんですよね。教師の負担が増えるのは仕方がないし、責任ある立場を任されることも嫌ではない。ただ、「負担は増える一方なのに、減額はおかしくない?」と言いたいだけ。山田が求めていたのは、教師としての労働や責任が正当に評価されること。これは、働く人なら誰だって抱く真っ当な願いです。
それなのに、尾碕はただ役職を外すだけで帳尻を合わせようとする。問題の本質に向き合うのではなく、数字のバランスだけを表面的に整えるだけのやり方に、思わずため息が出ます。
もちろん、尾碕の気持ちも分からなくはないんですよ。彼は、理事長として、濱ソラリス高校を守らなければならない。責任ある立場だからこそ、健治のように綺麗なことだけを言っていられない時もあるし、現実的な数字や利害を優先しなければならない瞬間もある。
ただ、問題はその現実主義が、いつの間にか“学校を守る”という目的からズレてしまっていることなんですよね。尾碕のやり方は、学校という組織を存続させることには役立つかもしれないけれど、教師や生徒の幸せには結びついていない。彼は、人を数字でしか見ていないんです。労働力の“1”、在籍者数の“1”。そこには、その人の人生や物語が広がっているのに──。
ついに、「学校法人濱ソラリス学園を訴えます」と言い出した山田。しかも、彼女はその弁護人を健治に依頼しました。僕達はまだその星の校則を知らない。だからこそ、未来にはまだ見たことのない景色が広がっているのだと思います。健治と生徒たち、そして学校が向かう先に、どんな新しい風景が待っているのか。最終回が待ちきれません。
(菜本かな)
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