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総務省接待 便宜図れば「収賄罪」成立? 業者は「贈賄罪」に問われない?

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  • 2021年03月05日
山田真貴子氏(2021年2月、時事)
山田真貴子氏(2021年2月、時事)

 菅義偉首相の長男で衛星放送関連会社、東北新社に勤務する菅正剛氏らによる総務省幹部への接待問題で、同省は2月24日、11人に対して減給、戒告などの処分を科しました。また、総務審議官時代に正剛氏から1回当たり7万円を超える飲食の接待を受けた山田真貴子内閣広報官も3月1日に辞職。政府としてはこれで区切りというつもりのようですが、公務員が業者から接待を受け、便宜を図ったとすれば、収賄罪が成立するのではないでしょうか。また、正剛氏ら業者側は贈賄罪に問われないのでしょうか。

 贈賄罪、収賄罪が成立する基準などについて、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

理論上、単純収賄罪が成立

Q.そもそも、贈賄罪、収賄罪はどのような場合に成立するのでしょうか。また、賄賂の金額によって、立件されるかどうかが判断されることはあるのですか。

佐藤さん「収賄罪は『公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたとき』に成立し、5年以下の懲役に処すると定められています(刑法197条1項前段-単純収賄罪)。賄賂は金銭だけでなく、人の欲望を満たすあらゆるものが対象になります。単純収賄罪は、公務員がその職務に関する頼み事をされていなくても、また、公務員が実際に不正な行いをしていない場合でも成立します。

職務に関する頼み事をされた場合、刑罰が重くなり、1月以上7年以下の懲役が科されることがあります(刑法197条1項後段-受託収賄罪)。さらに、公務員が不正な行為をしたり、本来の職務をわざとしなかったりすれば、もっと刑罰が重くなり、1年以上20年以下の有期懲役となり得ます(刑法197条の3-加重収賄罪)。

このほか、刑法には『公務員になろうとする人』『公務員だった人』に関する収賄罪の規定や、『第三者に賄賂を受け取らせる』『他の公務員に不正な行為をするよう口利きする』というパターンの収賄罪の規定があります。そして、これらの法律が規定する賄賂を贈ったり、贈る申し込みや約束をしたりすると贈賄罪が成立し、3年以下の懲役、または250万円以下の罰金が科されることがあります(刑法198条)。

いずれにせよ、賄賂の金額に関係なく、要件を満たしていれば犯罪は成立しますが、賄賂の金額は実際に検察が立件するかどうか判断する上で影響を与えます。金額が低ければ、起訴されない可能性もあるでしょう」

Q.接待も賄賂に該当するのでしょうか。

佐藤さん「接待も人の欲望を満たすものであるため、『賄賂』に当たり、公務員が『職務』に関して接待を受ければ、それだけで理論上、単純収賄罪が成立します。ただし、接待の金額によっては立件されず、刑事責任を問われないこともあるでしょう。刑事責任とは別に、国家公務員倫理規程では、利害関係者から接待を受けることを禁じているため、接待を受けた相手が利害関係者であれば、倫理規程違反として懲戒処分やその他の処分を受ける可能性があります」

Q.公務員以外の人に対して接待をした場合、贈収賄罪は成立しないのでしょうか。

佐藤さん「刑法の贈収賄罪は公務員だけでなく、法律で『みなし公務員』とされている人にも適用されます。例えば、国立大学法人や日本年金機構など公務員の職務を代わりに担っている機関の役職員が職務に関して接待を受ければ収賄罪、また、接待した側の人は贈賄罪が成立する可能性があります。

さらに、みなし公務員に該当しない民間の業務であっても、一定の公益性がある職務の場合、個別の法律で特別な贈収賄罪を定めているものがあります。例えば、日本郵便株式会社法やNTT法などは贈収賄罪に関する規定を置いています。

会社法にも贈収賄罪の規定があり、例えば、企業の取締役などが不正な頼み事をされて、財産上の利益を受けたり、利益を受けることを要求したり約束したりすれば、5年以下の懲役、または500万円以下の罰金が科される可能性があります(会社法967条1項)。また、贈賄側は3年以下の懲役、または300円以下の罰金となり得ます(同法967条2項)。刑法以外のこうした法律に違反した接待であれば、相手が公務員以外の人であったとしても、贈収賄罪に問われる可能性があります」

Q.東北新社の菅氏らによる総務省幹部への接待問題について、刑事告発されてはいますが、「刑事事件への発展は難しい」とする報道もあります。なぜでしょうか。

佐藤さん「先述した通り、賄賂の金額が少ないと検察が起訴しない可能性があります。今回、総務省幹部らが接待でおごられた総額は60万円弱と報じられており、この金額では起訴されないのではないかという見方もあることから、『刑事事件への発展は難しい』とする報道があるのでしょう。

ただし、本件は首相の親族が関係していることもあり、国民の関心は高いです。たとえ検察が起訴しなくても、検察審査会が国民目線で不起訴の当否を審査することになるでしょう。それも見越して、検察は十分に捜査した上で、起訴するかどうかを慎重に検討すると思います」

Q.贈賄罪、収賄罪の時効を教えてください。

佐藤さん「贈賄罪の公訴時効は3年です。収賄罪の公訴時効については加重収賄罪のみ10年で、そのほかの収賄罪の時効は5年です(刑事訴訟法250条2項)」

Q.公務員が贈収賄に関わらないようにするためには、接待をすべて断るしかないのでしょうか。

佐藤さん「会食が外部の人との有意義な意見交換の場となる場合もあるでしょう。そのため、公務員だからといって、会食をすべて断らなければいけないわけではありません。職務に関して『接待』を受け、おごってもらうことに問題があるわけです。どういう行為が国家公務員倫理規程や、さらには収賄罪に当たるのかを理解し、特にお金の支払いについて気を付けることが大切だと思います」

オトナンサー編集部

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