ヨーグルトで「腸内環境が整う」は本当? 夜がお勧め? 管理栄養士が教える摂取時の“注意点”
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ヨーグルトを摂取すると「腸内環境が整う」などといわれていることから、食事の際に食べる人は多いと思います。SNS上では「毎日、ヨーグルトと納豆を食べて腸活している」「ヨーグルトは夜に食べるのがお勧め」「夜にヨーグルトを食べると、翌朝快腸」「朝からヨーグルト食べて腸内環境整えた」などの声が上がっています。
ヨーグルトを食べると、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。夜に食べるのがお勧めなのは本当なのでしょうか。ヨーグルトを摂取する際の注意点や摂取するのに最適な時間帯などについて、渋谷DSクリニック(東京都渋谷区)に在籍する管理栄養士の板橋瑠美(いたばし・るみ)さんに聞きました。
夜の時間帯に食べるのがお勧め
Q.そもそも、ヨーグルトを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。「腸内環境が整う」といわれていますが、本当なのでしょうか。
板橋さん「本当です。そもそも『腸内環境が整う』とは、腸内に存在する多数の腸内細菌のバランスが良い状態を指します。腸内細菌は大きく3つに分けられ、良い働きをする『善玉菌』、悪影響を及ぼす『悪玉菌』、優勢な菌の味方をする『日和見菌』という菌が存在しています。
善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスは『2:1:7』が理想的といわれており、このバランスを維持するためには、善玉菌を増やし、日和見菌を味方につけることが必要です。
そして、この善玉菌を増やすために必要となるのがヨーグルトです。発酵食品であるヨーグルトには、善玉菌の一種である乳酸菌が豊富に含まれているほか、ビフィズス菌も含まれている製品もあります。
善玉菌のエサとなる乳酸菌が豊富に含まれるヨーグルトを食べることで、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があるといわれており、さまざまなメリットが期待できます。主なメリットは次の3つです」
■整腸作用
善玉菌の一種である乳酸菌の摂取により腸内環境が整うことで、悪玉菌の増殖を抑えたり、腸のぜん動運動を活発にしたりするため、便通改善や便秘の予防にも効果的といわれています。さらに、整腸作用を高めるためには、甘味料としてオリゴ糖を加えるのもお勧めです。オリゴ糖はビフィズス菌のエサとなり、善玉菌を増やす効果が期待できます。
■免疫力を高める
腸は体の免疫機能を維持する上で重要な場所で、免疫細胞の約7割は腸内に存在するといわれています。ヨーグルトを食べて腸内環境が整うことで、免疫力を高め、ウイルスや細菌から体を守ることにつながります。
■ダイエット効果
エネルギー代謝や脂肪燃焼などを効率的に行うためには、腸内でさまざまな栄養素が正しく吸収される状態を維持することが大切です。便や老廃物がたまった状態では栄養素を正しく吸収できず、脂肪が減りにくくなり、やせにくい体になる可能性があります。また、一部のヨーグルトに含まれるビフィズス菌は、脂肪の吸収を抑えたり、脂肪を燃焼したりする「酢酸」を作るといわれており、近年注目されています。
乳脂肪分が高いタイプのヨーグルトや加糖タイプのヨーグルトを摂取すると、カロリーが高くなる可能性があります。健康を意識して食べる場合は、低脂肪タイプのヨーグルトや無糖タイプのヨーグルトがお勧めです。
このように、ヨーグルトを食べることで腸内環境を整えることにつながり、さまざまな効果が期待できますが、乳酸菌は腸内にとどまる常在菌ではないため、継続的に摂取するのが重要です。また、腸内環境を整えるためには、腸内細菌の数を増やすだけではなく種類を増やすことも大切なので、ヨーグルトだけを積極的に食べるのではなく、さまざまな食べ物をバランス良く食べるのがお勧めです。
Q.体質や持病の関係でヨーグルトの摂取を避けた方がよい人はいますか。
板橋さん「体質によっては、ヨーグルトを食べると下痢や腹痛の症状が生じやすい人がいます。例えば、乳糖不耐症の人はヨーグルトに含まれる乳糖を分解する力が弱いため、ヨーグルトを摂取すると下痢や腹痛の症状が出てしまう可能性があります。
また、乳製品にアレルギーがある人がヨーグルトを摂取するのはお勧めできません。乳製品に含まれるカゼインがアレルギーの原因物質であることが多く、摂取することで下痢や腹痛、じんましん、呼吸困難といったアレルギー症状が出てしまうことがあります。
場合によっては、アレルギー反応によって、複数の臓器に症状が強く現れる『アナフィラキシー』を引き起こす可能性があるため、体に合わないと思ったらヨーグルトの摂取を控えるのがよいでしょう。
このほか、ヨーグルトとの飲み合わせが悪い医薬品があるため、服用中の薬がある場合は注意が必要です。例えば、整腸作用のためにヨーグルトと一緒に便秘薬を飲むと、胃のpH値が上がるため、胃で便秘薬が溶けてしまい、本来得たい効果が発揮されにくくなってしまいます。あくまで一例であり、薬の飲み合わせが不安な場合は医師や薬剤師、登録販売者などに相談してみましょう」
ヨーグルトを食べ過ぎるとどうなる?
Q.ヨーグルトを食べ過ぎた場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。1日の適切な摂取量も含めて、教えてください。
板橋さん「ヨーグルトを多く食べても、より多くの効果を得ることはできません。1日の摂取目安量は、100~200グラムといわれています。よかれと思ってたくさん食べてしまっても、先述のように、体質によっては下痢や腹痛が生じやすくなります。また、加糖タイプのヨーグルトを食べ過ぎるとカロリー過多に陥る可能性があるため、注意が必要です。
ヨーグルトを1日2回以上食べる場合は、1回分を小皿に取り分けたり、小さめのサイズのヨーグルトを数回に分けて食べたりするなど、食べる量を調整するのがお勧めです」
Q.ヨーグルトを摂取するのに最適な時間帯について、教えてください。SNS上では、「ヨーグルトは夜に食べるのがお勧め」という声がありますが、本当なのでしょうか。
板橋さん「基本的には好きな時間帯に食べて問題ありませんが、ヨーグルトの効果を一番期待できるのは夜の時間帯です。午後10時から翌日午前2時までは『腸のゴールデンタイム』といわれており、1日の中で腸の動きが一番活発になるとされているからです。
ただし、寝る直前に食べてしまうと太りやすくなったり、睡眠の質を下げてしまったりするため、就寝の2~3時間前までに食べるのがお勧めです。
また、食前に食べるか、食後に食べるかでも効果が異なります。乳酸菌やビフィズス菌による整腸作用の効果を得たい場合は、食後に摂取するのがお勧めです。
乳酸菌やビフィズス菌は強酸性に弱いため、胃酸によって胃の中が酸性になりやすい食前にヨーグルトを食べた場合、菌が腸まで届かず死んでしまうことがあります。食後であれば、胃の中に食べ物があり中性に近くなるため、乳酸菌やビフィズス菌を生きたまま腸に届けることができます。
一方、血糖値の急上昇を抑えたい場合やダイエット目的でヨーグルトを食べる場合は、食前に食べるのがお勧めです。食前に食べることで満足感が向上し、食べ過ぎの防止につながります。さらに、空腹時の方がカルシウムの吸収率が高くなるといわれているため、目的に応じて食べるタイミングを調整してみるのもよいでしょう。
このように、ヨーグルトを食べることでさまざまなメリットがありますが、先述のように、バランスの良い食事をベースに、自分に合った方法やタイミングでヨーグルトを取り入れていきましょう」
オトナンサー編集部
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