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マッハ19の「爆速サンタ」イカれたスピード! 人類は迎撃不可能!? 実は「日本なら可能」かもしれないワケ

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ICBM並みの速度で飛翔!? フライトレーダーに出現したハイスペックサンタ

 世界で飛んでいる多くの航空機をほぼリアルタイムで追えるサイト「フライトレーダー24」上に日本時間2025年12月23日夕刻ごろ、「サンタクロース」の機影が出現しました。

Large figure1 gallery6海上自衛隊の護衛艦「あたご」から発射されるSM-3迎撃ミサイル(画像:アメリカミサイル防衛局)。

 この「サンタクロース」は、同サイト上にSANTA1便として出現。通常は飛行機のシルエットを模した旅客機アイコンが表示されるなか、SANTA1便のアイコンは「そりに乗るサンタとそれを引く3頭のトナカイ」となっています。また、通常では航空会社のロゴマークが表示される旅客機アイコンの上部には、「サンタクロースの顔」が表示されています。

 SANTA1便の詳細を見ると、機体写真が貼られるウインドウにはトナカイとサンタのそりのイラストが表示。飛行機のナンバープレートに値する機体番号は「HOHOHO」、型式は「Sleigh(ソリ)」で、機体年齢は1755年となっています。

 このサンタクロース、じつは協定世界時(UTC)2025年12月24日22時7分に高度6万フィート(18km)を時速1万3072ノット(2万4209km/h:マッハ19)で飛行するという、とんでもない数値をたたき出しています。マッハ19というと、大陸間弾道ミサイル(ICBM)が目標に向かって落下してくる速度に近い数値です。もちろん、これは実際に上空をサンタクロースが飛行していること意味しているわけではなく、サイト運営者の遊び心ですが、仮にこれを実際の出来事と仮定した場合、既存の兵器でこれを迎撃することは可能なのでしょうか。

 まず、マッハ19で飛翔する目標を迎撃するとなると、通常の対空ミサイルでは追いつくことができず、対応は不可能と言えるでしょう。そこで考えられるのが、弾道ミサイル迎撃用のSM-3による迎撃です。

 SM-3は、海上自衛隊も運用するイージス艦に搭載されている弾道ミサイル迎撃専用のミサイルで、宇宙空間を目標に向かって飛翔する弾道ミサイルの弾頭を、SM-3の先端部から分離される「キルヴィークル」と呼ばれる迎撃体により直撃破壊します。SM-3にはいくつかの種類がありますが、なかでも日米共同開発により生み出された最新鋭のバージョンであるSM-3ブロック2Aは、射程距離2000km、最大射高1000kmを誇り、限定的ながらもICBMへの対応能力を有しています。

SM-3ですら迎撃不可能! そんな人類の切り札とは

 しかし、このSM-3による迎撃には問題があります。まず、弾道ミサイルの場合、一度発射されてミサイルから弾頭が分離されると、弾頭は目標に向かって単純な楕円軌道を描いて飛翔していきます。つまり、弾頭が切り離されても、しっかりとレーダーなどで追尾さえできていれば、それ以降は「いつどこを通るか」という弾道の予測ができるわけです。従って、迎撃ミサイルをその地点へ誘導すれば、見事命中するということになります。

Large figure2 gallery7 日米共同開発の新型迎撃ミサイルGPI(画像:ノースロップグラマン)。

 ところがサンタクロースは、上空を自在に移動しながら目的地へと飛翔していくため、弾道ミサイルと比べて飛翔経路の計算と把握が困難となります。さらに、大気圏外を飛翔してくる弾道ミサイルと比べると、サンタクロースは大気圏内の比較的低高度を飛翔します。じつは、SM-3には最低射高、つまりそれ以上低い高度を飛んでいる目標は迎撃できないラインがあり、それが約70kmとされています。そのため、サンタクロースに対してSM-3では対応が困難なのです。

 それでは、一体どのような兵器であれば、このような低高度を超高速で飛翔するサンタクロースに対抗することが出来るのでしょうか。じつは、それが可能かもしれない新型ミサイルを、現在日本とアメリカが共同開発しています。それが、「グライドフェーズインターセプター(GPI)」です。

 GPIは、近年その脅威が高まりつつある 極超音速兵器 (マッハ5以上で飛翔する兵器)に対処するための迎撃ミサイルです。極超音速兵器には、発射後しばらくは弾道ミサイルと同様に上昇していき、その後切り離された弾頭が大気上層部をグライダーのように滑空して飛翔する「 極超音速滑空兵器(HGV)」と、 ラムジェットもしくはスクラムジェットという特殊な構造のエンジンにより巡航する「極超音速巡航ミサイル」という、2つのタイプがあります。

 GPIは、おもにHGVへの対処を念頭に起きつつ、極超音速巡航ミサイルの迎撃も視野に入れた迎撃ミサイルです。名前に「グライドフェーズ(滑空段階)」とあるように、目標が滑空しているところを、キルヴィークルによる直撃破壊で迎撃することを目指しています。イージス艦に搭載して運用される予定で、アメリカではノースロップ・グラマン社、日本では三菱重工が中心となって開発を進めており、2030年代の開発完了を目指しています。

 このGPIは、キルヴィークルに姿勢制御用のサイドスラスターに加え、操舵翼も有しています。これにより、SM-3のそれとは異なり、大気圏内であっても軌道が変化する目標を正確に捉え、迎撃を行うことが出来るわけです。これならば、大気圏内を高速かつ自在に飛翔するサンタクロースであっても、迎撃できる可能性が見えてきます。

 ただし、これだけの速度で大気圏内を飛び回る目標となると、現在GPIでの対処が予定されている極超音速兵器と比較しても、格段に迎撃困難な代物です。やはり、サンタクロースは我々人間の科学力のさらに上をゆく、超人的な存在と言えるでしょう。

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