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日産の追浜工場も「防衛用ドローン工場」に? 世界で近づく自動車メーカーと“軍事” その強みとは?

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  • 乗りものニュース
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軍事とは浅からぬ関係の追浜だが…

 2026年6月25日、ロイターなど複数のメディアが、アメリカの新興防衛企業であるアンドゥリル・インダストリーズが日産自動車の追浜工場を取得し、ドローンの生産拠点とすることを検討していると報じました。

Large figure1 gallery11アンドゥリル・インダストリーズの大型UAS FQ-44「フューリー」の実大モックアップ(竹内 修撮影)

 神奈川県横須賀市の追浜工場が所在する地域には、第二次世界大戦で敗北するまで、旧日本海軍の横須賀海軍航空隊と、その飛行場が置かれていました。このように追浜はもともと軍事と浅からぬ縁のある場所なのですが、第二次世界大戦の敗戦で旧日本海軍が解体されて以降、スクラップヤードと、消滅した自動車メーカーである富士自動車の工場を経て、1961年に日産自動車が取得しています。

 日産は170万7000平方メートルという広大な敷地面積を活かしてテストコースを設置するなど、60年以上に渡って自動車の生産を行ってきました。しかし経営状況が悪化し、工場を再編する必要性が生じたことから売却が噂されるようになります。2025年7月、日産は追浜工場を2027年度末に閉鎖して、その機能を九州に移すと発表していました。

 2026年7月現在、追浜工場ではSUV「キックス」などの生産が行われており、前に述べたように2027年度末までは自動車の生産が継続されます。ただ、敷地の広大さなどの好条件が高く評価されており、閉鎖の正式決定以前から、アンドゥリル・インダストリーズ以外の企業からも関心が寄せられていたようです。

 ロイターは事情に詳しい関係者の話として、まだ正式に決定したわけではなく、取得する場合でも対象が工場全体なのか一部なのかも明らかになっていないと報じています。ただ、平和国家を標榜している日本の象徴であった自動車の工場が防衛用途のドローンの工場に転用されれば、そのインパクトは小さなものではないと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

世界で進む自動車メーカーの「防衛産業化」

 実のところ日産自動車だけでなく、世界の自動車メーカーはドローンなどの防衛装備品の生産に乗り出しています。

Large figure2 gallery12ルノーとタレスは本格的な提携に進んでいる(画像:タレス)

 複数の企業が、EV(電気自動車)への投資回収の遅れ、中国市場での現地勢との価格競争、アメリカの関税政策による北米販売の低迷による巨額の赤字や減益に直面し、車種のリストラなどを含めた構造改革を余儀なくされています。防衛装備品の生産はその構造改革の一環です。

 いち早くドローンの生産に進出したフランスのルノーは、中堅防衛メーカーのタージス・ガイヤールと共同開発したUAS(無人航空機システム)の「コーラス」の生産を、自動車のシャーシなどを製造しているル・マンとクレオンの両工場で行っているようです。

 さらに、2026年6月にはフランスのパリで開催されていた防衛装備展示会「ユーロサトリ2026」の会場で、フランスの防衛大手タレスと共同で、遠隔操作型の徘徊型弾薬(自爆ドローン)「トゥタティス」の共同生産を、2027年から開始すると発表しています。

 トゥタティスはタレスが開発したもので、現在でも年産100機程度が同社の工場で生産されていますが、タレスはルノーとの提携により、機体製造を3Dプリンターからプラスチック射出成形制へ切り替えることで、生産数を大幅に増やす意向を示しています。6月17日付のロイターは、タレスが大量生産に対応できるように機体設計を見直すほか、パーツなどの数を40%削減することでコスト低減を図ると報じています。

自動車工場の従業員の“強み”とは?

 前に述べた6月25日付のロイターは、事情に詳しい関係者の話として、アンドゥリル・インダストリーズが日産の追浜工場を取得した場合、同工場で働く従業員の多くをドローン製造要員として採用する意向だとも報じています。

 一般的に防衛装備品は自動車などの民生品に比べて工数が多く、それ故に価格も高くなります。戦闘機などはその方が適しているのかもしれませんが、消耗品で技術革新の早いドローンやUASには、コスト意識の高い自動車メーカーの手法の方が適しているのかもしれません。

 航空自衛隊の主力戦闘機であるF-35Aの年間生産数は、日本とイタリアでのノックダウン生産分も含めて年間100機程度ですが、自爆型ドローンとなれば年産数百機以上の生産が求められますので、従業員の面でも大量生産に慣れている自動車メーカーの方が適しているとも考えられます。

 今回紹介したのは日産とルノーの事例ですが、アメリカのGMやドイツのVWなども、自社の持つ経営資源やノウハウを活かした防衛装備品の生産に乗り出そうとしています。民生品の自動車需要が低迷し、かつ世界の緊張状態が続くのであれは、防衛装備品の生産に進出する自動車メーカーは、今後も増えていくのかもしれません。

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