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【子育て】バスで騒ぐ子どもに「運転手さんに怒られるよ!」と叱ってはいけない…“他人の力”を借りて叱ることの危険性

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(C)あべゆみこ
(C)あべゆみこ

「子どもは褒めて育てよ」とよく耳にしますが、難しいですよね。実際は褒めてばかりいるわけにはいかず、しつけもしなくてはならず、注意したり叱ったりすることも必要です。でも、この叱り方も難しいです。

 今回は、子育て本著者・講演家の筆者が「おすすめしない褒め方・叱り方」とその理由をお伝えします。

褒め方のお手本は「実況中継」

 まずは褒め方です。

「いい子ね」「偉いね」という褒め方は、いずれネタが尽きます。次第に子どもから「またそうやって僕をおだてて、やらせようとしている」と見抜かれてしまうかもしれません。

 また、できて当たり前のことなのに、口癖のように「いい子ね」「いい子ね」と連呼していると、大人同士の「またお会いしましょう」のように“社交辞令化”してしまい、子どもも次第にうれしさを感じなくなってしまいます。

 それに、「いい子でいないと親は受け入れてくれない。ありのままの自分でいるとダメなんだ」と子どもは思ってしまいます。

 そんなときは「アナウンサーの実況中継」をお手本にしてみましょう。

「おもちゃ、片付けているね」
「食事を残さず食べていて、ママはうれしいな」
「弟と仲良く遊んでいるね」

 文章だけを見ると素っ気ない感じがしますが、実際はそこに親の顔の表情、声の抑揚も加わります。笑顔で、優しい声でこのように言うと、褒めていることになるのです。

 さらに、この「実況中継」の言い方は、「あなたの行動をいつも見ていますよ」という愛情表現です。つまり「認めている」ということです。何をしていても無視されたり、気付かれなかったりするのは悲しいもの。「褒める=認める」ことなのです。

子どもを「叱る」ときに伝えないといけないこと

(C)あべゆみこ
(C)あべゆみこ

 次に、叱り方を考えてみましょう。

 例えば、「ほら、◯◯さんに怒られるよ」。バスの中で大騒ぎしたとき、つい他人の力を借りたくなってしまい、口走ってしまう「ほら、運転手さんに怒られちゃうよ!」という言葉です。

 これは、子どもにとっては「ママは、あなたが騒ぐことを悪いことだとは思っていないけれど、運転手さんから叱られるから、とりあえず静かにしておきなさい」と言われていることと同じなのです。

 さらに、子どもは「だったら他のお客さんがいなかったら騒いでいいんだ」「運転手さんが優しい人だったら静かにしていなくてもいいんだ」と思ってしまうかもしれません。だからといって「ママ怒るよ」と言うのも、「ママに怒られるから静かにしていなくてはならない」と認識し、バスの中で騒いではいけない本当の理由が子どもには伝わりません。

 叱るときは、「バスの中は公園やおうちではないのよ。だから静かにしましょう!」といったように、「なぜ、それをしてはならないのか」という本当の理由を伝えましょう。

 同様に、スーパーの売り場で鶏肉のパックをプスプス触る子どもに対しても、「コラ!」「ダメ!」「いい加減にしなさい!」と言うだけだと、その言葉に条件反射で一瞬手を引っ込めますが、また同じことをしてしまいます。

 そんなときは、「これはまだお金を払っていないので、あなたのものではないの。◯◯ちゃんだって、知らない人の指の跡が付いたお肉を食べたいとは思わないでしょ。売り物は見ているだけにしようね」と伝えましょう。そして、家に買って帰ってから思う存分触らせてあげましょう。

 子どもがテーブルの上に乗ったときはどうでしょうか。「危ないから下りなさい!」と言われても、子どもは「僕は普段、公園の高い滑り台で遊んでいるし、テーブルの高さなんてちっとも危なくないよ」と思うかもしれません。叱るときは、「テーブルは勉強したり、ご飯を置いたりするところだから、足を下ろそう」と言いましょう。

 理由を伝えるのは面倒くさい、まどろっこしいと思われるかもしれませんが、年中無休の怒り屋で「ダメ! コラ! いい加減にしなさい!」と言うより、理由を伝えた方が子ども自身も理解するので、時短になると思うのです。

 そして肝心なのは、叱った後、子どもがその行動をやめたら「バスの中で静かにできているね」「鶏肉パック触りたいのに、触らないで頑張ってるね」と認めること。叱るときは、これをセットにすることを忘れないようにしたいものですね。

子育て本著者・講演家 立石美津子

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