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海外旅行先で頼まれ、荷物を日本へ…違法薬物やコピー品だったら、法的責任は?

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覚醒剤の密輸に使われたキャリーバッグ。羽田空港で押収された(2018年10月、時事)
覚醒剤の密輸に使われたキャリーバッグ。羽田空港で押収された(2018年10月、時事)

「手荷物が重量オーバーしてしまったので、私の代わりに持ってほしい」

 空港で見知らぬ人に、このように声を掛けられたという体験談がネット上で話題になっています。これに似た体験談もネット上で複数見られ、海外旅行先で知り合った人から、「日本にいる友達に渡してほしい」「スーツケースに荷物が入り切らないので、同じ便に乗るあなたの手荷物に加えてほしい」などと物品を渡されるケースがあるそうですが、それらが麻薬や覚醒剤、ブランド品のコピーなどの密輸品の場合、知らないうちに“運び屋”にされてしまう可能性があります。

 ネット上では、「怖すぎる」「もし引き受けたら逮捕されるの?」「国によっては死刑もあるのでは」などの声が上がっています。海外旅行先で注意したい「手荷物預かり」の法的問題について、グラディアトル法律事務所の井上圭章弁護士に聞きました。

関税法や麻薬取締法違反も

Q.海外旅行先で「預かってほしい」と頼まれた荷物のうち、罪に問われる可能性があるのはどのような物でしょうか。

井上さん「ブランド品のコピー商品など商標権を侵害する物品▽麻薬・覚醒剤などの違法薬物▽拳銃などの武器――などです。これらを日本国内に持ち込んだ場合、関税法違反の罪に問われる可能性があります。違法薬物の場合は関税法に加え、麻薬および向精神薬取締法(麻薬取締法)違反などの罪に問われる恐れもあります。

もし、輸入してはならない物が自分の荷物から発見された場合、関税法違反などを疑われ、逮捕される可能性があります。もっとも、これらの犯罪が成立するためには単に、輸入してはならない物を国内に持ち込んだ事実だけでなく、このような事実を知っていた(=故意があった)ことが必要です。つまり、悪いことだと分かっていながら行った場合に、犯罪に問われることとなります」

Q.荷物の中身が違法な物でも、預かった人が中身を知らない場合、罪に問われないということでしょうか。

井上さん「海外の旅行先で、全然知らない人に荷物を預けたり、預かったりすることはまず考え難いです。むしろ、『犯罪になるようなことをしているのではないか』と思う方が普通でしょう。そのため、『自分は荷物を預かっただけで、中身については知りません』などの弁解は聞き入れてもらえないことが多いです」

Q.「預かってほしい」と頼んだ側が、発覚時にしらを切るケースもあるようです。この場合、預けた側を逮捕することや、罪を問うことは可能でしょうか。

井上さん「預けた人を逮捕したり、罪に問うたりするには、預けた人が犯罪を行っていることが必要です。例えば、預かった人を道具のように使って犯罪を実行する場合や、預かった人と一緒になって犯罪をする場合などで、預けた人と預かった人はどのような関係なのか、荷物の受け渡しの際にどのようなやりとり(報酬の授受など)があったのか、といった諸事情を考慮して判断されます。

預けた人は、犯罪に当たる行為であることを知っているでしょうから、『そんなものは知らない』『頼んだ覚えはない』などとしらを切るケースが多いでしょう。その場合、例えば、預けた人の指紋が荷物に付いていた▽荷物の受け渡しの様子が防犯カメラ映像に残っていた▽預かった人から話を聞いた――などの証拠から、『預けた人にも犯罪が成立する』かを判断することになります。

預けた人が違法な物品の輸入に加担していた場合、預かった人と同様、関税法違反や麻薬取締法違反などの罪に問われる可能性があります」

Q.違法な物品を「気付かないうちに自分の荷物に勝手に入れられた」ケースではどうでしょうか。

井上さん「先述の通り、関税法違反などの犯罪が成立するためには、犯罪をしていると知っていることが必要です。そのため、気付かないうちに荷物に勝手に入れられた事実が認められれば、犯罪をしていることを知っていたとはいえず、犯罪に問われないこととなるでしょう」

Q.逮捕された場合、出国先・入国先どちらの国の法律で裁かれるのでしょうか。

井上さん「それぞれの国の法律の規定によりますが、例えば、麻薬などの違法な物品を持ち込んだことが日本で判明した場合、日本の法律で裁判が行われます。日本以外の国で判明した場合は、それらの国の法律で裁判が行われます」

薬物犯罪で死刑になる国も

Q.国によっては、死刑判決もあり得るというのは事実でしょうか。

井上さん「法律の規定や犯した行為・事情などにもよりますが、死刑や無期懲役などの重い判決が出ることはあるでしょう。例えば、マレーシアでは『危険薬物法』により、一定量以上の薬物(大麻であれば200グラム以上)を所持していると、違法売買の目的があったとみなされ、死刑が科される場合があります。中国やイランでも、薬物犯罪について死刑が適用される可能性があります」

Q.スーツケースのすり替えや、現地のガイドが用意したスーツケースに細工がなされ、事件に巻き込まれる場合もあるようです。そのような場合はどうでしょうか。

井上さん「スーツケースのすり替えや細工によって、知らない間に麻薬などの違法な物を輸入してしまった場合、客観的には『違法な物を輸入してしまっている』とされ、法的な責任を問われる可能性があります。このような場合、違法な物を輸入していることについて知らなかったと認められるかどうか、すなわち『犯罪の故意があったか否か』が問題となります。

個別の具体的な事情によりますが、違法な物が発見されたときの言動やそれまでの経緯などから、『違法な物が入っているとは思わなかった』との主張が認められ、無罪となるケースもあります」

Q.海外での物品受け取りや、運び屋に仕立て上げられたなどのトラブル・事件について、過去の事例・判例はありますか。

井上さん「出会い系サイトで知り合った男性からスーツケースの運搬を頼まれ、覚醒剤が隠されたスーツケースを国内に持ち込もうとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた事例がありました。この場合、スーツケースの運搬を頼まれた際のやりとりや、税関で覚醒剤の持ち込みが発覚した際の言動などから、被告人がスーツケースに違法薬物が入っているかもしれないと思っていたとは認められないとして無罪となりました。

また、『旅費と報酬を支払うので日本企業との会合に出席してほしい』と依頼され、先方への土産としてコーヒー豆の袋を預かり、それを日本に持ち込んだところ、袋の中に覚醒剤が入っていた、という事例もあります。このケースでは、被告人には覚醒剤を輸入しようという認識(故意)がなかったとして逆転無罪となっており、やはり、依頼主とのやりとりや被告人の言動などが判断要素となっています」

オトナンサー編集部

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