どうせ読むならポイント貯めない?

史上空前の大量発注「軍艦12隻ちょうだい、おまかせで!」同盟国の要請に日本どう応えた?

4,241 YOU
  • 乗りものニュース
  • |

今から100年以上前に起きた第1次世界大戦において、日本製の駆逐艦12隻がフランス海軍の一員として戦いました。これだけ大量の日本製水上戦闘艦が外国に供給されたのは他に例がありません。なぜこのような事態に至ったのでしょうか。

遠路はるばるヨーロッパに駆逐艦を輸出

 今から100年以上も前に戦われた史上初の国家総力戦である第1次世界大戦。この大戦争において、日本製の駆逐艦がフランス海軍の一員として戦いました。それも12隻も。その背景には、いったいどのような「物語」があったのでしょうか。

Large figure1 gallery31917年、旧日本海軍の第二特務艦隊の1艦として地中海に派遣された樺型駆逐艦の1隻。艦名は不明(画像:アメリカ海軍)。

 第1次世界大戦が勃発したのは1914年7月です。歴史上初めて全地球規模で国どうしの戦いが行われましたが、主戦場はヨーロッパ方面で、極東の島国である日本もやや遅れて参戦したものの、戦争への関与は他国と比べるとそこまで大きくありませんでした。

 しかし、敵となったドイツと国境を接しているフランスは、ドイツ軍に国土を蹂躙されて国内が戦場となっていました。戦況は厳しく、当時、ヨーロッパ屈指の大国だったフランスといえども、火砲や銃器、航空機など陸戦で用いられて消耗する兵器の生産が優先され、完成までに時間と手間、そして費用がかかる軍艦の建造は後回しにされていました。

 とはいえ戦争中なので、相手側のドイツは潜水艦(Uボート)を量産して、連合国の商船などを脅かしていました。そうなると軍艦の建造もまた急がねばなりません。そこでフランス海軍は、外国に軍艦の建造を委託することを考えます。そして、その相手として白羽の矢を立てられたのが日本でした。

 当時の日本はアジアの新興国ながら、イギリスを師と仰いで海軍力を急速に拡充しており、合わせてその工業力も、列強に追いつけ追い越せとばかりに国を挙げて近代化にまい進した結果、世界基準に達しようという状況までレベルアップしていました。おまけに主戦場のヨーロッパから遠いので、その造船能力や工業力にも問題は生じていません。

 こうした状況を知ったフランスは、Uボートとの戦いだけでなく様々な任務に対応できる一方で、戦闘で最も損耗しやすい駆逐艦を日本から調達することにしたのです。

フランスが日本製軍艦を欲しがったワケ

 フランスは、発注の際に特別な注文を加えたり設計を手直ししたりといった、時間と手がかかることはしませんでした。その理由は、できるだけ早く数を揃えたいという差し迫った事情に加えて、同じ連合国としてともにドイツと戦っていた「海軍大国」イギリスの弟子として、短時間で急速に海軍を育ててきた日本の造船能力への信頼もあったからといえるでしょう。

Large figure2 gallery4アラブ級駆逐艦の7番艦「マロケン」(画像:アメリカ海軍)。

 これを受け、日本は国際社会で認められ、かつ同盟国に乞われたこともあり、誠実に応えました。折からの第1次世界大戦の勃発で、日本海軍も駆逐艦を多数欲しており、そのために設計・建造した最新鋭の樺型二等駆逐艦を、フランス向けに建造することにします。

 もちろん、一部の構造強化や兵装をフランス海軍向けにするなど、多少の改装は加えられました。発注された隻数は12隻。これは同型艦といえる日本海軍向けの樺型10隻よりも多い数でした。

 こうして生まれたのがアラブ級駆逐艦です。なお、同級は1番艦の艦名からアルジェリアン級、さらには各艦にフランスの海外領土に住む民族名にちなんだ艦名が与えられました。1916年、トライバル(民族)級と称された同クラスの建造命令が出されます。

 そして12隻とも翌1917年中に竣工。まずは日本海軍籍となって「仏国第1番駆逐艦」から「仏国第12番駆逐艦」の仮艦名が与えられ、日本人船員の手でスエズ運河近隣のポートサイドまで回航され、同年中に全艦がフランス海軍に引き渡されています。

アラブ級駆逐艦の各艦の由来

 フランス海軍は12隻を入手すると、自軍で運用するために各艦の名を次のように改めています。

Large figure3 gallery5フランス海軍が使用した日本製軍艦、アラブ級駆逐艦の2番艦「アンナミト」。写真は第1次世界大戦後の1920年、ツーロン港にて(画像:アメリカ海軍)。

1番艦「アルジェリアン」(アルジェリア在住イスラム教徒の意)
2番艦「アンナミト」(仏領インドシナ・アンナン地方在住のアンナン人の意)
3番艦「アラブ」(仏領在住のイスラム教徒アラビア語族の意)
4番艦「バンバラ」(仏領西アフリカ方面在住のバンバラ語族の意)
5番艦「オーヴァ」(仏領マダガスカル島の中産階級の意)
6番艦「カビル」(仏領在住のベルベル人の1部族名)
7番艦「マロケン」(仏領モロッコ在住のイスラム教徒の意)
8番艦「サカラバ」(仏領マダガスカル島在住の部族名)
9番艦「セネガレ」(仏領セネガル在住の複数の部族の意)
10番艦「ソマリ」(仏領ソマリランド在住のソマリ族の意)
11番艦「トンキノワ」(仏領インドシナ・トンキン地方在住のアンナン人の意)
12番艦「トゥアレグ」(仏領サハラ砂漠地方在住の部族名)

 アラブ級の満載排水量は約750トン。フランス海軍では、この規模の駆逐艦は主に沿岸警備に使っており、本級も同様の任務に多用されました。戦没艦は生じることなく、これら12隻はそろって1930年代中頃に除籍・解体されています。

 第1次世界大戦という未曾有の大戦争において、当時まだアジアの新興国だった日本がフランス向けに建造した駆逐艦は、特筆すべき戦果こそ残さなかったものの、求められた役割を確実に果たし、日本の技術の高さと設計の確かさを見事に示したといえるでしょう。

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ
PeXポイントで賞品を当てよう!

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!