アメリカ初の宇宙飛行士、実は打ち上げ前に「お漏らし」!? 宇宙開発の意外なトイレ事情
- 乗りものニュース |

アメリカ初の宇宙飛行士、打ち上げ前にまさかの放尿!?
1961年5月5日、アメリカ初の宇宙飛行士となったアラン・シェパードは、歴史的な宇宙飛行の直前、宇宙服の中で排尿していました。なぜ、そんなことになったのでしょうか?
国際宇宙ステーション「ISS」(画像:NASA)
当時、シェパードが乗り込んだ宇宙船「フリーダム7」にはトイレがなく、宇宙服にも排尿用の設備はありませんでした。もともと飛行時間は約15分という短いものだったため、宇宙飛行士が途中でトイレに行くことは想定されていなかったのです。
ところが、打ち上げが予定より遅れたことで、シェパードは宇宙服を着たまま長時間待機することになりました。そして、ついに我慢できなくなった彼は、管制官に宇宙服の中で排尿してもよいか尋ねたのです。
もちろん、宇宙船から降りてトイレに行く方法も考えられます。しかし、そのためにはスタッフの補助を受けて宇宙服を脱ぐなど、時間のかかる作業が必要でした。そこで最終的に管制官は、宇宙服の中で排尿することを認めました。
こうしてアメリカ初の有人宇宙飛行は、宇宙飛行士が宇宙服の中で用を足すという、思わぬ出来事を経て実現したのです。その後、宇宙開発が進んで滞在時間が長くなると、トイレの問題はさらに深刻になりました。
1960年代のジェミニ計画やアポロ計画では、尿は専用の器具で回収していましたが、大便は袋を使って処理していました。しかも、ただ袋に排便すれば終わりというわけではありません。宇宙空間では重力をほとんど感じないため、便が自然に下へ落ちることはありません。そこで、粘着剤の付いた袋をお尻に密着させ、排泄後は指を使って便を袋の奥へ移し、殺菌剤を加えて密封する必要がありました。
NASAの記録によると、排便から後片付けまで45分ほどかかることもあったといいます。人類が月面に降り立つほどの技術を実現した時代でも、トイレに関しては、これほど手間のかかる方法に頼っていたのです。
その後、1973年にアメリカの宇宙ステーション「スカイラブ」が打ち上げられると、長期滞在を想定してトイレの問題について真剣に考えられることになります。
同ステーションでは空気の流れを利用して排泄物を回収する専用トイレが導入されました。こうして宇宙のトイレは、少しずつ現在の姿へと進化していきます。
現代の宇宙トイレは「掃除機」と同じ仕組み!?
埼玉県さいたま市にある「さいたま市青少年宇宙科学館」には、国際宇宙ステーション(ISS)のトイレの仕組みを紹介する展示があります。
アメリカ初の宇宙飛行を達成したアラン・シェパード(画像:NASA)
宇宙ステーションのトイレは、地上のように水で流すのではなく、掃除機のように空気の流れで排泄物を吸い込む仕組みです。
大便は小さな便座に座り、吸引ファンで専用の容器に回収します。一方、小便は漏斗状のアダプターが付いたホースを身体に当てて吸引します。
ただし、宇宙ではトイレに座ることさえ簡単ではありません。重力をほとんど感じないため、身体が浮かないように足などを固定する必要があります。しかも、便座は地上のものより小さく、正しい位置に座らなければ排泄物をうまく回収できません。
そのため宇宙飛行士は、地上でトイレの座り方まで訓練しています。宇宙へ行くためには、ロケットや宇宙船の操作だけでなく、トイレの使い方まで習得しなければならないのです。
さらに驚くのが、排泄物の処理方法です。大便は容器に保管され、最終的には廃棄物を積んだ無人補給船などとともに大気圏へ再突入させて処分されます。一方、尿は浄化処理によって水分を回収し、再び飲料水として利用しています。つまり、宇宙飛行士が出した尿が、再び飲み水になるのです。
こうした宇宙トイレも、現在なお進化を続けています。NASAは将来の月や火星への有人探査を見据え、新型宇宙トイレ「UWMS」を開発しました。2021年にISSに設置されたこのトイレは、従来型と比べて容積を約65%、重量を約40%削減。女性宇宙飛行士の使いやすさにも配慮して便座や尿の吸引装置を改良し、フタを開けると吸引ファンが自動的に作動する仕組みも採用しています。
宇宙服の中で排尿するしかなかった時代から、尿を飲料水に再生する時代へ。宇宙のトイレは大きく進化しました。しかし、どれほど宇宙開発の技術が進歩しても、人間がトイレに行かなければならないことだけは変わらないのです。
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