30歳の壁は、怖くない。松岡茉優と探す、焦らずに人生を決断するタイミング
- マイナビウーマン |

取材・文:ミクニシオリ
撮影:佐々木康太
編集:五十嵐紫月/マイナビウーマン編集部
スタイリスト:池田未来(インザピンク)
ヘアメイク:大上あづさ
あなたには「男ともだち」がいますか?
世間では「男女の友情は成立し得ない」という意見もあります。だけど、もしも自分に「家族や親友よりも自分の魂の深い部分を分かってくれる存在」ができるとしたら……どんなに、うれしいことなのでしょうか。
11月6日(金)公開の映画『男ともだち』で、京都在住の29歳のイラストレーター「神名」を演じる、俳優の松岡茉優さん。同棲している恋人との間に少しずつズレを感じている神名は、仕事でも「本当に描きたかったこと」を見失い、モヤモヤとした停滞感の中にいました。人生に行き詰まりを感じていた彼女のもとに、ある日突然大学時代の先輩で「男ともだち」であるハセオから、7年ぶりの電話がかかってきます。
アラサー女性が抱える、矛盾や曖昧さ。私たちの日々のモヤモヤの解決方法を、松岡さんが一緒に探ってくれました。
■友達が「男か女か」って、重要?
——神名は、仕事で神経をすり減らし、惰性や不毛な恋愛から抜け出せずにいるキャラクターです。作品を拝見して、異性の友人とも気負わずに付き合えるサバサバとした会話ぶりや、小気味よい言葉選びをとてもリアルに感じました。脚本を読んで、彼女の人物像で気になった部分はありましたか。
少し強い言葉を使いますが、厳しい目で見れば、神名は作品の中で無様な姿も晒しています。誰かに自分の評価を委ねてしまう、自分ってなんなのかが、揺らいでしまう。自分を信じられない神名の言動や行動は、共感していただけないものもあるのかなと。
私は、現場に行けばスタッフの皆さんと会えて、みんなで作品を作る。でも神名はフリーのイラストレーターとして、常に1人で戦っているんですよね。1人で何かを生み出し続けている人には、私のように多くの人と共に働いている人にはわからない強さがあると感じました。
『男ともだち』というタイトルも、受け取り方はそれぞれかと思いました。この作品は、男女の友情は成立するか? というディベート映画ではなくて、創作を生業にする1人の女性が自らと向き合い、自らに挑んでいく物語だと思っています。映画館をあとにされた方々が、どのような感想を持ってくださるのか、一緒に行った方と語り合ってもらいたい作品です。
——松岡さんご自身は、男友達に会いたいなと思う時と、女友達に会いたいなと思う時って、気持ちに違いはありますか?
私は、大切なのは互いの関係性で、性別は大きく関係のあることではないかなと思っています。大切な友達に会うと、心からほっとしたり、時間を忘れて話し込んでしまったり。先日も舞台中に悩んだことをお友達がたくさん話を聞いてくれました。かけがえのない友達がありがたいことにいます。
■30歳って、立ち向かわないといけないもの?
——神名のように、仕事や恋、生活のバランスに悩む30歳前後の女性は多いと思います。松岡さんは29、30、31と歳を重ねる中で、何かギャップを感じるようなことはありましたか?
先日10代の方とお話をしていて、『30歳までに〇〇を達成していたい』という目標を聞いてちょっと驚きました。30までに〇〇というのは、私の世代と、もう少し上の世代の標語のようなものだと思っていたのです。人生100年時代となり、寿命が伸びていても30歳というのはどこか、節目の数字なのだなぁと感じました。それがどうか呪いのように残っていないといいなと思ったり。
30歳を超えた今、自分よりも年齢が若い人に自信をもってお伝えできるのは、歳を重ねれば重ねるほど、たぶん生きやすくなるということです。
あんなに気になっていたことが気にならなくなったり、できることの選択肢が増えたり。10代よりも20代、20代よりも30代の方が圧倒的に楽。これを40代の方に話すと、もっと楽しいよ! と教えてくれました。
多感な時期が1番きついだろうから、のびのび年をとろうね、と声をかけたくなります。
——そうお伺いすると、背中を押していただいたような気持ちになります。少しずつ身軽になっていくことに憧れつつも、“身軽さ”には、1つずつ決断を重ね、自分の人生を自分で取捨選択していく側面もあるのかなと。曖昧さを手放すことにどこか怖さや不安を感じてしまって……。
どうしても、リミットのあるものはあるから、目の前に選択肢が置かれ続けますよね。私も選択の連続です。
慌ただしい日々だけれど、今回私はすごくうれしい再会がありました。今作の監督である三島有紀子さんとは高校生の時に一度出会っているんです。それから15年経って初めて今回お仕事を共にすることができました。
日々の選択の先に、こんな結実が待っているなんて。再会がとてもうれしかったです。
■何かを決断する時、大切にするべきたったひとつのこと
——松岡さんが、何かを決断する時に大切にしていることはありますか。
私は結局、“その人にとって納得できているかどうか”というのは大きいと思います。
無理やり選択したものであっても、究極の2択であっても、自分が選んだんだからと納得することができるかどうかは、やっぱり大きいかなと。もちろんそれが自分を苦しめてしまうことになってはいけないのだけれど、だって私が選んだんだもんなぁと思うと、腹落ちできます。
あるときは保護者かもしれないし、あるときは、先生かもしれないし、上司だったり友達だったり。人に相談して、アドバイスをもらうことはとても尊いですが、最終的には自分が納得していることが私にとっては重要なのかなと思っています。
『男ともだち』
11月6日(金)新宿ピカデリー他にて全国ロードショー
出演:松岡茉優 成田 凌 井上祐貴 中島 歩 咲妃みゆ 三浦貴大 余 貴美子 池畑慎之介
原作:千早茜『男ともだち』(文春文庫)
監督:三島有紀子
脚本:澤井香織 音楽:安川午朗
配給:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:カズモ
(C)2026『男ともだち』製作委員会
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