あり得ない“クネクネぶり!?” 日本一レベルで「海から遠い峠」なかなかヤバい道だった! 極端な「片峠」とは?
- 乗りものニュース |

群馬-長野県境は「片峠」だらけ
山越えの道が上りを終え、下りに入る地点が「峠」です。多くの峠では、上りがなだらかなら下りもおだやか、上りが厳しければ下りも急といった対照形をとりますが、山系によっては峠の両側で傾斜の状況が大きく異なる「片峠」もあります。
群馬・長野県道93号。県境は田口峠ではなく、「狭岩峡(せばいわきょう)」のすぐ東側にある(植村祐介撮影)
なかでも群馬県と長野県の県境部、榛名山〜浅間山を結ぶ線より南側は、「片峠だらけ」のエリアです。
この県境を走る主要な一般道と峠は、北から「国道17号/碓氷峠」「国道17号碓氷バイパス/入山峠」「国道254号/内山峠」「群馬・長野県道93号下仁田臼田線/田口峠」「国道299号/十国峠」の順になっています。
そしてこれらのすべてが、峠の群馬県側ではヘアピンカーブの連続する急峻な道、長野県側では直線とゆるいカーブが続く走りやすい道という、典型的な片峠なのです。
実は群馬県側と長野県側では、峠のふもとの標高が大きく異なります。峠の両側にある近隣の鉄道駅で比較すると、標高約1030mの入山峠では、群馬県側の横川駅が標高約260mなのに対し、長野県側の軽井沢駅は約940mです。標高約1060mの内山峠では、群馬県側の下仁田駅が約260mで、長野県側の佐久平駅では約700mです。つまりそもそもの地形の違いに加え、「片側からはかなり上る」という高低差が、この地域に片峠が生まれる理由のひとつとなっているのです。
そしてその“片峠ぶり”をもっとも極端に示しているのが、群馬・長野県道93号下仁田臼田線(以下、県道93号)の田口峠でしょう。
市街地から徐々に細くなり、不穏な空気に…
県道93号は、群馬県側は南牧村から馬坂川の谷間に分け入り、長野県側からは佐久市から雨川の上流に向けて進みます。
佐久市臼田の国道141号「城山北」交差点から県道93号を群馬に向かって走ると、市街地を抜けたあとはところどころで狭くなりつつも、片側1車線を確保したまま峠に近づいていきます。しかし道路状況は「雨川ダム」の手前、集落が途切れるあたりで急変します。
道路は蛇行する雨川に沿った狭い道となり、センターラインは消え、すれ違いに気を使う状況が続きます。ただそれでもカーブは緩やかで、斜度もそれほどきつくはありません。
そして谷間が徐々に狭くなり、両側に山肌が近くなってきたところで、正面に突然トンネルが現れます。田口峠はこの「第一隧道」の東側の出口にあたり、県道93号はここから急峻な下りへと入ります。
あり得ね~!! 超クネクネ道に突入!
第一隧道を抜けた県道93号は、いきなり左に急カーブをとり、さらに4連続のヘアピンカーブで標高を大きく落とします。その後、左側に迫る山肌を舐めるように進んでいくと「第二隧道」が現れます。ここまででも十分に“険道”感が味わえますが、県道93号がその本領を発揮するのはここからです。
ヘアピンカーブをふたつ過ぎ、「第三トンネル」を抜けた先には8本のヘアピンカーブが連続、とくに後半4つは幅50mに満たないであろう山肌に5本の道路が行き交うという、今の基準からすれば“あり得ない”構造となっています。
第三トンネルの出口から連続ヘアピンカーブが終わる地点までの直線距離はわずか250mですが、県道はこの間くねくねと1.2kmを走り、約60mの高低差をクリアします。
逆から上るのはかなり厳しい!?
そこから先は、対向車とはすれ違えない道幅こそそのままですが、極端なつづら折れはなくなります。「広川原」の集落を越えると、県道は馬坂川沿いの緩やかな道となり、“難所”が終わったことが実感できます。
「第一隧道」を抜けたところが「田口峠」。トンネル出口で急カーブする線形は、地形克服の難しさを示す(植村祐介撮影)
そして紅葉の名所「狭岩峡(せばいわきょう)」を過ぎたところが長野県と群馬県の県境で、ここから人家が徐々に増えてきます。佐久市臼田から県境までは、おおむね40分の道のりです。
田口峠を通る県道93号はこのように険しい道ですが、全線が舗装され、乗用車でも気軽に“林道気分”を味わうことができます。また交通量もきわめて少ないため、こうした道で気になる「すれ違い」への気配りも最小限で済みます。
ただ峠の群馬県側は崩れかけた山肌、倒木があちこちに見られることから、雨天時の訪問は避けたほうがいいでしょう。さらに夜間は、路上への落石が見づらく、衝突のリスクもありそうです。冬季も基本的には通行可能ですが、道路の幅員が狭く、スリップしたときに逃げ道がないため、降雪時、降雪後の通行はおすすめできません。
また群馬県側からのアプローチは、急坂に加え、峠の手前では連続するヘアピンカーブを上っていくため、パワーに余裕があるクルマでないと、かなりのストレスになりそうです。燃費も考えると、長野県側から抜けるほうが快適かつ有利でしょう。
「日本で海岸線から一番遠い地点」なる場所がある
実は長野県側で雨川ダムの南東には「日本で海岸線から一番遠い地点」があり、県道93号から脇道に入ると、途中までは林道を伝うトレッキングルートが設定されています。
この地点は「日本海・太平洋から直線で114kmあまり(現地看板、佐久市役所の案内では約115km)」とされ、来訪した写真を「佐久市観光協会臼田支部」に送ると、名前入りの「認定証」をもらうことができます。
田口峠を訪ねるなら、紅葉シーズンの平日、佐久市内で前泊。翌日は朝早い時間に海岸線から一番遠い地点までのトレッキングを楽しみ、その後、林道ツーリングと紅葉見物を楽しみながら群馬県側に下りて昼食をとったのち、近隣の日帰り温泉で汗を流すというのが、ベストプランではないでしょうか。
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