山手線の駅前が再開発で「初見殺し」レベルに分かりづらくなった件 “クルマ排除・人優先”の理想と現実
- 乗りものニュース |

大ターミナル池袋駅の“人優先”を掲げる再開発に先立ち、同様のコンセプトで生まれ変わったのが、隣の大塚駅です。ただ駅前からクルマを排除した結果、クルマの動線は分かりづらくなり、歩行者の危険が増したのでは……と思える側面もあります。
池袋駅再開発の「前哨戦」? 生まれかわった隣の駅
1日平均の乗降客数が250万人超という池袋駅を抱える東京都豊島区は、「明治通り」のバイパス「環状第5の1号」の完成を見すえ、同駅の東西に広がる繁華街の大幅な再開発を予定しています。
山手線と都電荒川線が交わる大塚駅(画像:PIXTA)。
この再開発のうち、東口ではこれまで南北の通り抜けに使われていた明治通りを“袋小路化”し、駅から東に進む「グリーン大通り」も歩道化するなど、“クルマ優先から人優先”を強めることが打ち出されています。
ところで、同じ豊島区内で、池袋駅に先んじて似通ったコンセプトでの駅前の再開発が行われた駅があることをご存じでしょうか。それはJR山手線で池袋駅のひと駅となりの「大塚駅」です。
歩行者は、駅の通り抜けがカンタンになった大塚駅
大塚駅はかつて駅舎が街を南北に分割し、通り抜けにはJR改札口の東側で山手線の下をくぐる「都電荒川線」のホームを経由する必要がありました。
しかし改札口を移動し、北口と南口を行き来できる南北自由通路を設けるなど、駅を全面的に改良する大がかりな工事が2009年に完了。さらにその後、2017年には南口駅前広場、2021年には北口駅前広場のリニューアルが行われました。
そして2022年には、荒川線ホーム東側の「大塚ガード」を、南から北への一方通行とし、北から南に進むクルマはひとつ東側の「大塚79号ガード」への迂回が必要となりました。そしてこの大塚ガードが2024年に歩道の幅員の拡大も終えたことで、一連の再開発工事はいったん終了しています。
この再開発により、大塚駅は歩行者の南北の回遊性が高まり、駅前広場などの“場”の整備によりにぎわいの創出に成功しています。
ただドライバーの視点から見ると、この再開発が“手放しで喜べない”側面があることも事実です。まず北口側から南口側への通り抜けは、ほとんど「初見殺し」に近いほど、わかりづらいものとなりました。
え…駅の南側に行けない!「いや行けますよ」もトリッキーすぎる
大塚駅の北側、明治通り上池袋方面から都道436号宮仲公園通りを大塚駅に向かって進んでくると、「空蝉橋下」交差点手前で直進方向に「不忍通り」「大塚駅」、右折方向に「春日通り」と記された青看板が出てきます。
この交差点をさらに直進すると、大塚駅北口手前でもう一枚、右方向に「不忍通り」とのみ表示された青看板が現れます。じつはこの青看板にはかつて「不忍通り」「新大塚」が並んで記されていましたが、現在は大塚ガードの一方通行化にともない、新大塚は消されました。
この案内に従って大塚79号ガードを抜けたところには何の案内もないのですが、そのまま進むと「プラタナス通り」と名称を変える都道436号を走ることになります。従来の動線で駅南側の新大塚方面には直接出ることができなくなりましたが、そのさらに南を通る不忍通りへは、別の迂回ルートを確保した形です。
では、駅北側から新大塚方向に進むにはどうするのかというと、大塚79号ガードをくぐってすぐの信号を右折し、さらに駅前広場にぶつかったところのT字路を左折しなければなりませんが、そうした案内がないのです。
もう一つのルートは“初見殺し”級のトリッキーさに
そして、駅の北を通るもう一つの幹線道路である国道17号中山道から「折戸通り」を南下するルートを使うと、さらに困惑の事態に陥ります。
折戸通り側から見た大塚ガード方向。こちらに向かってくるミニバンと路肩の間に「自転車ナビマーク」があるが、右に寄りたいドライバーは無視しがち(植村祐介撮影)
かつては折戸通りから宮仲公園通りとの交差点を直進し、新大塚方面への通り抜けができましたが、現在は同ガードの一方通行化にともない、直進不可となっています。しかし従来からの宮仲公園通りとの交差点での左折禁止は残されたままです。
そのため折戸通りを通ってきたクルマは“強制的に”右折を強いられ、大塚駅の南口方面には進めません。もし南口方面に進みたいときは、宮仲通りとの交差点の手前にある「北大塚一丁目」交差点で左折し、すぐに右折するというトリッキーなルート選択が必要なのです。もちろん、このルートを示す案内はありません。
こうした“ジグザグ走行”は、地元の人以外にわかりづらいだけでなく、道迷いや遠回り、ストップ&ゴーの増加によるムダな燃料の消費、さらには見通しの悪い横断歩道の通過による歩行者との接触も気になるところです。
「クルマ排除」で崩れた?安全のバランス
また歩行者にとっては、ここ以外にも、再開発で事故のリスクが高まったのではないかと懸念される場所があります。それは大塚駅北口から大塚北口商栄会商店街に渡る横断歩道です。
2021年に整備が完了した北口駅前。大小ふたつのロータリーを備えるという構造には変化がないが、歩道部分は拡幅された(植村祐介撮影)
かつて北口のロータリーには、空蝉橋側、大塚ガード側、宮仲公園通り側と、おおまかに3つの出入口がありました。しかし北口駅前広場のリニューアルで大塚ガード側の出口は塞がれ、現在は空蝉橋側、宮仲公園通り側でしか出入りできません。そのため、それぞれの交通量は以前よりも増えている印象です。
そしてこの空蝉橋側とつながる道が、大塚北口商栄会商店街へ渡る横断歩道と交差しますが、歩行者用の信号がないため、途切れない歩行者にいらついたクルマの強引な走行が目に付きます。歩行者の安全を考えるなら、必要最小限の信号も必要ではないでしょうか。
さらに一方通行化された大塚ガードは、北から南に向かう自転車にとって危険をはらむ状況となっています。
同ガードには自転車レーンが車道の両側に設置されていますが、その幅員はけっして広くはありません。そして宮仲公園通り側では車道が右折レーン、直進レーンの2車線になるため、南に進む自転車は真正面から直進レーンを進んできたクルマと安全な間隔をとることが難しい状態なのです。安全を考えるなら、むしろ「自転車も含めて南から北への一方通行」とすべきではないかとも思える状況です。
車道と歩道の幅員を設計するにあたり、自転車利用についての思慮が十分であったのかという疑念は払えません。
豊島区が大塚駅前の再開発に掲げた「歩行者に優しい道路基盤の整備」には大いに賛同するところです。しかしこうした現状を鑑みるに、やはり、それにはクルマや自転車がどう共存できるかという視点も必要ではないでしょうか。
豊島区は池袋駅前の再開発にあたり「過度に自動車に依存しない、人と環境にやさしい交通環境」の実現を目指すとしています。これが単なる「クルマを過度に排除したことで、かえって不便で危ない街づくり」にならないことを、切に期待します。
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