ナニコレ!? 「足元が“異様に広い”グリーン車」に乗った リクライニングし放題 魔改造で生まれた“神席”とは?
- 乗りものニュース |

JR東日本の一部の特急には、席数限定で、前後間隔が普通車のほぼ2倍という豪華座席が設置されています。後ろの人に気兼ねせず、めいっぱいリクライニングすることもできるこの席は、“魔改造”の産物でした。
関東の臨時特急でも乗れる!「異様に広いグリーン席」
「足を伸ばしてくつろげる特急のグリーン車」と言うと、運賃と特急料金に加えてグリーン料金を支払うので「快適なのは当たり前」と思われそうです。確かにそうですが、JR東日本が一部の特急で運行しているグリーン車には、普通のグリーン席ながら席数限定で、前後間隔が“ほぼ2倍”という区画が存在します。
国鉄特急色で装飾したE653系のK70編成。異様に広いグリーン車が存在する(大塚圭一郎撮影)
このグリーン車があるのは、羽越本線の新潟―酒田(山形県酒田市)・秋田間を結んでいる特急「いなほ」や、関東地方の臨時特急に使われている交直流両用の特急形電車E653系1000番台(7両編成)です。もともと1997年10月に常磐線の特急「フレッシュひたち」としてデビューした際には、全て普通車で、グリーン車は連結されていませんでした。
転機となったのは、常磐線特急のE657系への一本化です。E653系と、速達タイプの特急「スーパーひたち」を中心に用いられていた651系が置き換えられ、特急名も速達タイプの「ひたち」と、「ときわ」に改称されました。そこでE653系1000番台は“セカンドキャリア”として特急「いなほ」に転用され、国鉄時代製造の交直流両用電車485系を置き換えることになったのです。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)はE653系1000番台の「いなほ」への移籍を当時のJR東日本幹部から教えてもらい、2012年9月に勤務先から最初に報じました。報道の通り、E653系は勝田車両センター(茨城県ひたちなか市)から新潟車両センター(新潟市)へ移籍し、2013年9月に「いなほ」の一部列車で運用が始まり、その後E653系に統一されました。
ただ、この移籍の際、改造によって「フレッシュひたち」にはなかった設備が追加されました。それがグリーン車です。片側の先頭車両の普通車をグリーン車に“魔改造”したのです。
このE653系1000番台は8編成用意されましたが、うち2編成が2018年、23年にそれぞれ勝田車両センターに再配属されました。2編成は波動車として用いられており、関東地方の臨時特急の一部で運用されています。
筆者はそのグリーン車の「お目当ての座席」を予約し、常磐線へ向かいました。
豪華座席の思わぬ"落とし穴"
筆者が予約したのは常磐線の日立(茨城県日立市)と横須賀線の鎌倉(神奈川県鎌倉市)をつなぐ臨時特急「常磐鎌倉」です。常磐線は日暮里(東京)―取手(茨城県取手市)間が直流1500V、取手―藤代(取手市)間に切り替え地点(デッドセクション)があり、藤代―岩沼(宮城県岩沼市)が交流20000Vのため、交流と直流の区間をまたがる運用にはE653系のような交直流両用車両が必要となります。
E653系のグリーン車の座席には、特急名の「いなほ」をイメージした装飾も(大塚圭一郎撮影)
グリーン料金は100km以内が1300円で、100km超200km以内だと2800円に跳ね上がるため、筆者は100km以内の柏(千葉県柏市)から鎌倉まで乗車しました。柏で日立発鎌倉行きの列車を待ちながら、2編成のうちどちらが来るのかが気になりました。2018年に勝田車両センターに再配属された2編成は、K70編成がクリーム色に朱色の国鉄特急色で装飾されており、K71編成の色合いは「フレッシュひたち」をイメージした外観です。
国鉄形車両に郷愁を抱くオールドファンとして「国鉄特急色に来てほしい」と祈ったところ、願いが通じてK70編成がプラットホームに滑り込んできました。
進行方向の先頭にある1号車のグリーン車は、通路を挟んで横に2列と1列の座席を設けています。通路を挟んで2列ずつある普通車より余裕があり、座席も一回り大きいのが特色。車両の最後部にある長いすに腰掛けて談笑できるフリースペースも気になりますが、豪華座席が待っているのにあぶらを売っている場合ではありません。
筆者が予約したのは進行方向の最前列の1列側にある座席「1C」です。
この座席には1人で移動する場合や、ゆったりとくつろぎたい場合にうってつけな利点が3つあります。1つは窓と通路に挟まれた1列で、列車の端にあるグリーン車のため通路を移動する人もまばらなため、静寂な空間が約束されていることです。
2つ目は後ろの座席との間に仕切り板が設置されているため、後ろの乗客に遠慮せずに背もたれを目いっぱい倒せることです。
残る1つは、普通車ならば前後2席設置する空間に1席だけ置いているため、目いっぱい足を伸ばせる点です。普通車の座席の前後間隔が91cmなのを踏まえると、単純計算で2倍の182cmあることになります。
プチぜいたく気分に包まれた車内
可動式の枕を調整し、足を伸ばして豪華座席に腰掛け、2つ割り当てられた窓から景色を眺めていると「プチぜいたく」気分に包まれました。しかも「常磐鎌倉」は、1万円紙幣に赤れんが駅舎が描かれている日本を代表する東京駅や、リニア中央新幹線の起点となる品川駅すらも“通過”していきます。一方、上野、大船(鎌倉市)には停車したものの、客室の扉は開閉しない「運転停車」でした。
JR横須賀線の鎌倉駅(大塚圭一郎撮影)
折りたたみ式のテーブルを備えた豪華座席はほぼパーフェクトでしたが、思わぬ“落とし穴”がありました。「常磐鎌倉」の鎌倉発日立行きに乗車する場合には、座席を反対方向に回すため、前の座席との間にある仕切り板によって貴重な足元の空間が妨げられてしまうのです。足をゆったりと伸ばしたい場合、1号車が先頭になる列車で利用することをお薦めします。
また、同行した高校生の息子は1列目の真ん中の座席「1B」に乗りましたが、足を伸ばすとセンサーが反応し、デッキとの間にある自動ドアが開いてしまうハプニングがありました。社会人になるまでグリーン車に乗ったことがなかった筆者には、「グリーン車であぐらをかくのは時期尚早だ!」と戒めているように映りました(笑)。
そうした経験を踏まえると、1号車が先頭になる列車で1Cを予約するのがベストで、1Cが予約済みの場合や、左側の景色を楽しみたい場合には同じ列の反対の窓側にある座席「1A」を押さえるのが良いと思いました。
E653系1000番台は他に「いなほ」はもちろん、武蔵野線の吉川美南(よしかわみなみ、埼玉県吉川市)と鎌倉を結ぶ臨時特急「鎌倉」などにも用いられています。グリーン料金を支払ってでも乗りたくなる豪華座席で、至福のひとときを満喫してみるのもいいかもしれません。
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