「待望の鉄道」なのになぜか「旧来の川船」が選ばれる… 乗り心地もビミョー!? 巨大ショッピングモールアクセスの謎 タイ
- 乗りものニュース |

バンコク市街に開業した「タイ最大級のショッピングモール」。そこは大河を渡る船便でのアクセスが中心だった“鉄道空白地帯”でしたが、待望の鉄道が開業してもなお、船便が優位なのはなぜでしょうか。
アクセスが難しい?「タイ最大級のショッピングモール」開業
タイの首都バンコクは、2000年代に入り、急速な経済成長を背景とした都市開発が進み、中心街のサイアム地区にあった旧来のショッピングエリアは再開発により生まれ変わりました。そしてその一方で、チャオプラヤー川沿岸の、旧来工場や倉庫だったエリアにも開発の手が伸びることになります。この地域に「タイ最大級のショッピングモール」として2018年に開業した「アイコンサイアム」は、日本人も訪れることの多い新名所です。
クルン・トンブリー駅。右はBTSシーロム線の列車。ゴールドラインの軌道は、中央の案内軌条と、ゴムタイヤが走る部分で構成される(植村祐介撮影)
チャオプラヤー川西岸に位置する館内には日系デパート「サイアム・タカシマヤ」や高級ブランドのブティックが出店、飲食エリアも充実。映画館や美術館も備え、さらにはチャオプラヤー川に面したテラスでは東南アジア最大級の噴水ショーが毎晩開催されるなど、1日いても飽きない楽しさが魅力です。
このアイコンサイアムは、オープン当時、ある課題を抱えていました。立地するタクシーン橋上流側西岸は、バンコクの都市鉄道網の空白地域となっていて、アクセスはBTS(高架鉄道)シーロム線の「サパーンタークシン駅」直下にある「サトーン船着場」からの船、もしくはタクシーに限られていたのです。
船でのアクセスは無料の専用シャトルボートを含め複数航路がありましたが、専用シャトルボートには地元客が長い列を作る一方、それ以外の航路は外国人観光客にはわかりにくいものでした。またバンコクの地理に詳しくない人にはシーロム線からの乗り換えルート自体にわかりづらさがありました。
一方タクシーは、渋滞によりチャオプラヤー川西岸の市街中心部からは1時間以上かかることも。そのため観光客が訪ねるには、ややハードルが高い状態だったのです。
鉄道できた!
しかし2021年、アイコンサイアムへ、待望の鉄道でのアクセスが実現します。BTSの新線「ゴールドライン」の開業です。
ゴールドラインの起点となる「クルン・トンブリー駅」は、基幹路線であるシーロム線がチャオプラヤー川を渡って最初の駅です。川沿いを北上して終点の「クローンサーン駅」まで、路線延長は約1.8km。その中間にある「チャルンナコーン駅」は、降りるとすぐ目の前がアイコンサイアムの西側エントランスという絶好とも思える鉄道アクセスを手に入れました。
なお、クルン・トンブリー駅からチャルンナコーン駅までの所要時間は、約3分程度です。しかし、じつはこのゴールドラインはいまだアイコンサイアムへのアクセスの主役にはなっていません。それはなぜでしょうか。
いや便利なのよ鉄道も でもなぜ選ばれない?
理由として挙げられるのは、シーロム線から乗り換えての利用が意外に不便なこと、他方で専用シャトルボートが有料化によって混雑が解消すると同時に、案内もよりわかりやすくなったことです。
BTSシーロム線サパーンタークシン駅の西側出口を降りてすぐのところにサトーン船着場がある。アイコンサイアムへの専用シャトルボートは左に進む(植村祐介撮影)
チャオプラヤー川を渡ったシーロム線はかなり内陸まで走ってクルン・トンブリー駅に止まります。ここでの乗り換えには、いったん下車して改札を出て、ゴールドラインの改札を通る必要があります。
さらにゴールドラインの運行間隔は10-16時まで(休日は10時-15時まで)が10分間隔、16-21時まで(休日は15-22時まで)が8分間隔となっているため、タイミングによっては微妙な待ち時間が発生します。
これに対し、シーロム線でクルン・トンブリー駅の一つ前、川の対岸に位置するサパーンタークシン駅に隣接するサトーン船着場からの船のうち、専用シャトルボートであれば、所要時間は6-7分です。そのため乗り継ぎがスムーズであれば、船を選んだ人は、シーロム線でクルン・トンブリー駅まで行きゴールドラインへ乗り換える人が発車を待っているうちに、アイコンサイアムに着くことも可能なのです。
しかもゴールドラインは、なぜかBTSの「1日乗車券」の対象外で、この区間だけ、片道16バーツ(約70円)の運賃が必要になります。一方、専用シャトルボートの運賃は8バーツ(約35円)なので、コストの面でもゴールドラインが圧倒的に不利となります。こうした複数の要因が、アイコンサイアムへの船でのアクセスを優位に押し上げているのです。
そうは言っても、「揺れる船よりは、乗り心地が安定したゴールドラインを選ぶ人もいるのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。しかしゴールドラインは、その乗り心地も快適とは言い難いものです。
超ゆっくり→急加速の繰り返し!?
ゴールドラインで採用されている車両および運行システムは、ボンバルディア(現アルストム)の「イノーバAPM 300」で、空港内のシャトルサービスで実績がありますが、市内交通では上海メトロの「浦江線」など、わずかな採用例しかありません。
BTSゴールドライン。標準軌の列車となるシーロム線、スクンビット線から想像していると、かなり拍子抜けする(植村祐介撮影)
その仕組みは軌道敷中央の案内軌条に沿って、ゴムタイヤを履いた2両編成が無人で走るという、日本で言うところの「新交通システム」ですが、路線形状に急カーブが多いため、カーブ手前で急減速し、左右に揺れながらカーブを通過したら急加速するという繰り返しです。
線形がほぼ直線に近い空港内シャトルサービスであれば、こうした特性は問題にならないかもしれませんが、市内交通ではちょっと厳しいものがあるでしょう。
ただこのゴールドラインを使ったアクセスは、”逃げ道”として頭の片隅にとどめておいたほうがいいかもしれません。
なぜなら、アイコンサイアムでのイベント開催日など、夜間の一部の時間帯においては、サパーンタークシン駅への船(シャトルボート)が非常に混雑する場合があります。また悪天候時の船は、乗る場所によっては雨を避けられないこともあるからです。
なおゴールドラインは将来的に、現在の終点のクローンサーン駅から北に延伸され、新設される「プラジャピポック駅」で、こちらも延伸を検討中の「パープルライン」と接続する計画があります。そうなるとチャオプラヤー川西岸を南北につなぐ、水上交通を補完する縦軸として注目されそうです。
ただこの計画が実現すると、今度は輸送力が十分なのかどうか、そこがあらたな課題として浮かび上がってくるかもしれません。
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