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ロシア連続で「航空戦の要」喪失、実はヤバイのは“日本”? 突きつけられた現実 すぐそこにある脅威

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  • 乗りものニュース
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2024年2月、ロシア空軍の早期警戒管制機がウクライナによって撃墜されました。1月に続いて2か月連続の損失ですが、実はこの戦訓を深刻に考えないといけないのは、航空自衛隊の方かもしれません。

2か月連続でAWACS墜とされたロシア空軍

 2024年2月23日、ウクライナはロシア空軍において最も重要な航空機であるA-50「メインステイ」AWACS(空中警戒管制機)を撃墜したと発表しました。これは先月15日に続く2度目の被撃墜であり、航空ならびに軍事の専門家たちに大きな衝撃をもたらしています。

 詳細は不明ですが、初の撃墜となった1月15日の攻撃はパトリオット地対空ミサイルが用いられたのに対し、2度目となる今回、2月23日の攻撃はS-200地対空ミサイルが使われたと言われています。

Large 240229 awacs 01ロシアの早期警戒管制機A-50(画像:ロシア国防省)。

 AWACSは、敵味方の航空機やミサイルの位置、動きなどを把握し、指揮統制や通信を行うことで、航空戦の情報優位を確保する現代戦にとっては必須の軍用機です。その重要性は、AWACSがあるとないとでは、航空戦の勝敗に天と地の差がつくと言われるほどで、実際に空中戦を戦う戦闘機の個々の性能よりも遥かに大きな影響を与える存在となっています。

 一方、AWACSはその構造上、鈍重な輸送機や旅客機が原型であることが多く、攻撃に対して無防備であり「弱点」ともなり得る可能性がありました。これまでAWACSが直接攻撃された例はなかったものの、立て続けの撃墜によってその欠点が明らかになりました。

 敵のAWACSを撃墜し、航空戦を優位に進めるというアイディアは古くから存在しており、皮肉なことに「AWACSキル」に最も力を入れていたのは史上初の被害国となったロシアでした。現在のロシアの前身といえるソビエト連邦時代の1980年代には、対AWACSを主目的とした戦闘機搭載型の長射程空対空ミサイルの開発にも着手しています。

対AWACSミサイルの破格の巨大さとは?

 2024年現在、実用化されている対AWACSミサイルとしては、推定射程距離が200~300kmのR-37があります。R-37は重量500kgで世界最大の戦闘機搭載用空対空ミサイルです。欧米の戦闘機が標準搭載する空対空ミサイルAIM-120「アムラーム」が150kgほどの重さであることを考えると、R-37はまさに破格と言える存在でしょう。搭載可能な機種はMiG-31やSu-35などであり、そのほかに開発中のステルス戦闘機Su-57も搭載される可能性があります。

Large 240229 awacs 02航空自衛隊のE-767早期警戒管制機(画像:航空自衛隊)。

 ただ、ロシアではR-37よりもさらに巨大な、重量750kgもある空対空ミサイル「KS-172」も開発されていました。これは完全に対AWACS迎撃用に特化したミサイルで、結局は実用化されずに終わったようですが、過去のエアショーにおいてSu-35に搭載する形で展示されたことがあります。なお、射程は400km以上と推定されます。空対空ミサイルの射程はもっぱらロケット燃料の量に依存するため、大きさが重要になります。

 R-37とKS-172、いずれもアクティブ・レーダー誘導型と呼ばれる、ミサイル自身に搭載されるレーダーで標的を「ロックオン」する自律誘導型ですが、レーダー視程は20km程度であるため、KS-172はパッシブレーダー誘導、すなわちAWACSの電波発信源を探知することも可能であると言われています。

 なお、空対空ミサイルに匹敵する、マッハ3の速度を有する超音速対艦ミサイルKh-31を対AWACSに用いるというアイディアもあります。ただし、大型の艦船を撃破する目的から弾頭重量が極めて重く、空中目標相手に十分な誘導性能を保てるのか疑問がないわけではありません。

日本はロシア以上に対AWACSミサイル対策が必須

 ロシアに次いで中国も対AWACSには意欲的です。中国の戦闘機の標準的な空対空ミサイルPL-15は射程200kmと言われており、前出のAIM-120「アムラーム」を上回っていると推測されます。また、ほかにもKS-172に比肩するサイズの対AWACSミサイルがSu-27の派生型である中国製J-16戦闘機に搭載され、試験が行われている様子が目撃されています。

 なぜ、ここまで中露は対AWACS兵器を積極的に開発しているのか。その答えは、日米欧などの西側諸国の空軍が、よりAWACSを重用する作戦運用を行っていることが理由だと考えられています。なお今回、実際にAWACSが撃墜された事例が生じたことで、今後「AWACSキル」に一層大きく力が入れられる可能性は多分にあると言えるでしょう。

Large 240229 awacs 03航空自衛隊のE-2C早期警戒機(画像:航空自衛隊)。

 そのようななか、実は日本こそ、ロシアを上回るAWACS大国であるということを忘れてはいけません。航空自衛隊は2024年2月現在、大型のE-767早期警戒管制機を 4機、小型のE-2早期警戒管制機を13機保有しています。ウクライナ侵攻前のロシアがA-50早期警戒管制機を9機保有していたのと比べると、トータルの機数ではほぼ倍です。

 2024年に入って、ロシアがAWACS連続撃墜を被ったという衝撃的な事実は、これらを防護するための問題の解決が今後、確実に必要になるということを意味しています。そのため、ある意味で今回の出来事は、ロシア空軍よりも航空自衛隊の方が大きな影響を受ける可能性が高いと言えるのかもしれません。

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