「あまりに熟睡してしまう」 日本初の「寝台高速バス」ついに本格運行へ! “寝るしかない”ではない神席とは!?
- 乗りものニュース |

三菱ふそうで新装!「日本初の寝台バス」
日本で唯一のフルフラットシート「ソメイユプロフォン」を装備した夜行バスが、高知駅前観光の運行する東京~鳴門(徳島)・高知間の「フラットン」です。2026年3月19日、同社が東京で報道向けの貸切運行を行いました。
「ソメイユプロフォン」を搭載した高知駅前観光の「フラットン」(乗りものニュース編集部撮影)
「フラットン」は2026年1月に定期運行を開始。前年に行っていたモニター運行で寄せられた意見を反映し、改良型の座席を装備した新車です。3月までは週3往復(高知発が金・土・日/東京発が土・日・月)での運行でしたが、4月運行分からは木曜の高知発、金曜の東京発を加えて週4往復の運行になります。
今回はバスターミナル東京八重洲から羽田空港まで特別に運行しました。
車両は従来型の日野「セレガ」から、三菱ふそう「エアロエース」の新車に切り替わっています。オプションで用意されているフロントのメッキ加飾が施されているのが特徴のひとつです。
開発の経緯は他稿を参照いただくとして、車種の変更については「日野のエンジン不正の問題で選択肢が三菱ふそうしかなかったから」(梅原章利社長)だそう。日野と三菱ふそうとで車内の梁の位置などが異なるため、図面を引き直したといいます。
中に入ると、まず出くわすのは「靴箱」。このバスは靴を脱いで乗り込みます。通路は絨毯敷きですが、その下には医療用のクッションを仕込んでいるといい、歩き心地はかなりいいです。
広いとはいえないバスの車内には、2段寝台のユニットが窓側と真ん中の3列に4つずつ配置され、計24席ぶん置かれています。通路幅は保安基準ギリギリの30cmしかなく、すれ違いもできないほどですが、そのぶん、寝台にスペースを費やしたといいます。
寝台は従来型の長さ177cmから182cmに、幅も48cmから53cmに拡張。区画ごとにUSBポート、ドリンクホルダー、小物入れ、梁から吊った荷物収納ネットがあります。コート類を収納ネットにしまい、カバンを寝台の足元に置いても、十分に足を伸ばして横になることができ、寝返りも打てました。
夜行だと景色は見られませんが、今回は昼間の運行。首都高沿いの高層ビルを「下から見上げる」車窓は、このバスならではの体験でした。ただ、エンジン音や微妙な揺れも心地よく、すぐに寝てしまいました。
「熟睡しすぎる」のは「寝るしかない」から?
「運行していて困ったことがあるんです」と梅原社長がつぶやきました。
寝ながら撮影。荷物棚にコートを挟み、カバンは寝台の足元においても十分に足を伸ばせる(乗りものニュース編集部撮影)
それは、「あまりにみなさん熟睡しすぎる」ことだそう。目的地についてもなかなか起きてもらえず、「降車時間が長くなってしまうことがありまして……」と話します。
その乗客の気持ち、分からないでもありません。というのも、このバスの寝台ユニットは座席のように変形することはできるものの、基本的には寝台の形で運行します。だからこそ「フルフラットシート」という呼称なのですが、乗客が取れる体勢としては本当に「寝るしかない」のです。
案内された窓側の上段は、通常のバスであれば荷棚となっているスペースが埋められています。これが梁になってしまい、頭が当たってしまうので体を起こすことができません。下段もまた、上段の寝台があるため体を起こせません。
しかし、「ここだけは違う」と乗務員が教えてくれた座席があります。それは「中列上段の一番前」です。
「ここならば梁がないので、この通り体を起こして過ごせます」と実演してくれました。パソコン作業すらできそうです。「中列の2列目上段も体を起こせます。しかし、3列目くらいからはキツいかもしれません」とのこと。
というのも、エンジンが車両後方にある関係で、このバスは床に傾斜があり、後部にかけて高くなっているのです。通路を歩いて前方では頭に当たらなかった梁が、後方では当たってしまうほど、傾斜は明確にわかります。そのため、中列上段も後方にかけて天井までの高さが低くなっています。
寝台の上部空間は、場所ごとに約51cmから73cmまで幅があるそうです。
そんなフラットンの運賃は、3月までは上段が1万7000円、下段が1万5000円となっていますが、4月からは「ダイナミックプライシング」を導入。運賃が日々変動するようになるため、「上下の価格差もあまり意味がなくなる」(梅原社長)ことから、上下段で値段を統一し、基準額1万7000円前後で需要により変動する体系となります。
また現状でも、車両前方、後方での価格差はありません。もし中列前方の上段が取れたら“ラッキー”と考えたほうがよいかもしれません。
ちなみに、高知駅前観光はこのフルフラットシートを、他社にも売り込む構えです。座席全てではなく、一部は通常座席、一部はフルフラットシートにするレイアウトなども考えられるといいます。床の傾斜は、2階建てバスのような車高で床が高い「スーパーハイデッカー」タイプであればフラットにできるそうです。
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