最強戦闘機F-15「イーグル」 いまなお抱える「持病」 背景にロシア戦闘機の影
- 乗りものニュース |
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最強の呼び声も高いF-15「イーグル」戦闘機ですが、実はとある「欠陥」を抱えており、一応の解決は見たものの克服には至っていません。こうなった理由には、当時大きな脅威だった、ソ連機の存在がありました。
最強の名に恥じない戦闘機F-15「イーグル」の意外な一面
航空自衛隊の主力戦闘機ともなっているF-15「イーグル」は、アメリカ空軍ほか様々な国において実戦投入され、2020年2月現在に至るまで100機以上を撃墜しながら空中戦における損害はゼロという恐るべき戦歴を残しています。これ以上、望みようがないパーフェクトな結果を残したのですから、F-15が最高傑作戦闘機のひとつであることに疑いの余地はないでしょう。
航空自衛隊のF-15イーグル。可変式空気流入口を持ち速度や姿勢によって自動で作動する。写真は下がっている状態(関 賢太郎撮影)。
とはいえF-15は、神ならぬ身である人間が作り出した機械です。F-15は「結果的に」パーフェクトでしたが、F-15は実際にパーフェクトといえる飛行機ではなかったようです。特に開発されたばかりの1970年代においては、たびたび墜落事故を起こしうる問題に悩まされました。そしてそれは2020年現在もなお、完全な解決には至っていないF-15の持病となっています。
現在も残るF-15の持病とは、航空機の心臓ともいってよいエンジンにおいて発生する問題でした。F-15はプラットアンドホイットニーF100-PW-100エンジンを2基、胴体内に搭載してます。胴体側面にはふたつの空気流入口(エアインテーク)が設けられ、前方から流入した空気はエンジンの圧縮機へと送り込まれますが、この圧縮機が正常に動作しない「ストール・スタグネーション(空気流の失速・停滞)」が多発したのです。
ストール・スタグネーションが発生すると、本来ならば排気口から噴射される燃焼室で作られた摂氏1279度に及ぶ高温のガスが空気流入口方向へ逆流しようとします。結果、燃焼を継続できずエンジンは停止します。
最悪なのは、この温度はエンジンの構造材を溶かしうるほどであるということであり、特に遠心力によって常時、数万Gの負荷が掛かっている「タービン」と呼ばれる部品は、空冷も止まった結果、ほとんど爆発に近い勢いで飛散してしまうことさえありました。
F-15は欠陥を克服できたのか?
良くてエンジン停止、最悪だと爆発を引き起こすストール・スタグネーションは、高高度や低速時、急旋回時など機体の進行方向と実際の機体の姿勢の差「迎え角」が大きくなった状態において、急激にアフターバーナー(最大パワー)へとスロットルを上げた際に多発しました。
1977(昭和52)年の時点でF-15は、1000飛行時間あたり4.4回スタグネーション・ストールが発生し、これは第一線パイロットが年に1回は遭遇するという高頻度でした。1979(昭和54)年までに累計547回、エンジンが停止し、地上には破損したエンジンを抜き取られ、飛べなくなったF-15が大量に並ぶという事態にまで至ります。
F-16の固定式空気流入口。F-15と同じエンジンながらもストール・スタグネーション頻度は低かった。中央の支柱は高負荷Gの変形を防止する(画像:アメリカ空軍)。
この問題は同じF100エンジンを使用し、かつ単発機であるF-16戦闘機では、より重大となると思われました。しかしF-16ではF-15ほど高頻度には発生しませんでした。なぜかF-15だけに集中して見られる、固有の問題だったのです。
1980年代以降は、問題の改善への取り組みや新しい電子制御式エンジンF100-PW-220Eの搭載によって、ストール・スタグネーション頻度は1/10以下となり、一応の解決を見ました。
しかしながら現在もなお、航空自衛隊を含めF-100-PW-100エンジンを搭載するF-15は現役であり、そうした機体に搭乗する際は、パイロットに急激なスロットル操作を行わないよう技術指示を出すなどの処置が継続しています。ストール・スタグネーション問題は完治するには至っていない、F-15の「慢性疾患」であり続けているのです。
F-15とF-16で差が出たのはMiG-25のせいといえるワケ
F-15とF-16でストール・スタグネーションの頻度に大きな差があらわれた主要な原因のひとつは、空気流入口の設計にありました。F-15はマッハ2.5を達成することが求められたため、空気流入口もそのために最適化され、可変式空気流入口を採用するなどの特徴を持ちます。これはマッハ3.2という速度を誇る、ロシアのMiG-25戦闘機への対抗に必須と思われたためです。
日本ではベレンコ中尉亡命事件でも広く知られるMiG-25戦闘機(画像:アメリカ空軍)。
ところが実際には、高速性能はまったく不要なものでした。100機以上の撃墜を誇る実戦において、マッハ2を超えた事例は一度たりともありません。それどころか、武装したF-15は空気抵抗によりマッハ2を超えられませんでした。F-15がもしマッハ1を少し上回れば良いと割り切っていれば、空気流入口を(のちのF-16やF/A-18のように)固定式としたり、もっと違った設計としたりできたはずです。
MiG-25は実戦でF-15に勝つことはできませんでしたが、F-15に不要な性能を盛り込むことを強要し、結果、自分が撃墜された数よりも遥かに多い数十機もの機体を間接的に葬りました。そして現在もなお無敵の王者であるはずのF-15を悩ませ続けているのですから、なんとも皮肉な結果であると感じざるをえないところです。
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