近鉄が目指す「夢の“二刀流”直通列車」実はもう走ってる!? 日系メーカー開発 米の“新幹線より複雑“な電車とは
- 乗りものニュース |

近鉄が2つの異なる集電方式に対応した「二刀流電車」の開発を検討しており、登場後は脚光を浴びそうです。実は同様の車両は、日系メーカーの手で作られ、海外ですでに走っています。
夢洲―奈良-伊勢志摩まで直通可能!? カギは「二刀流電車」
近鉄グループホールディングスは2025年3月25日に発表した「近鉄グループ中期経営計画2028」にて、子会社の近畿日本鉄道の目玉となる車両開発を盛り込みました。大阪・関西万博開催後の「夢洲」にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が開業するのを見据え、最寄り駅となる大阪メトロ中央線夢洲駅と近鉄の「生駒駅を介した沿線への直通列車の開発・運行を検討する」と明記したのです。
近鉄特急「ひのとり」。集電方式の違いを克服すれば“夢洲直通特急”も夢ではない。写真はイメージ(大塚圭一郎撮影)。
これは、大阪メトロ中央線と相互直通運転を行う近鉄けいはんな線から、生駒駅で接続する奈良線などへ直通する列車を意味しています。それには、異なる集電方式に対応した“二刀流電車”が必要となります。
大阪メトロ中央線と近鉄けいはんな線の車両は、台車枠に「集電靴」を取り付け、線路脇の“第三軌条”から電気を取り込んで走っています。これに対し、近鉄奈良線などでは車両の屋根上のパンタグラフから集電する一般的な方式です。
これら両方の集電方式に対応するため、近鉄は近畿車両などとともに、車両の台車枠へ取り付ける折りたたみ式の「可動式第三軌条集電装置」の試作品を開発。車両にはパンタグラフも設けることで、夢洲駅と、近鉄沿線の観光地である奈良大和路や伊勢志摩方面などを結ぶ直通列車の運行を目指します。夢洲駅発着の近鉄特急が運行される可能性もあり、夢が膨らみます。
そのような“二刀流電車”、実現すれば日本唯一となる見通しですが、すでに海外で日系メーカーの手によって実用化され、営業運行しています。
アメリカの近郊鉄道で「二刀流」走ってます!
架線と第三軌条の両方に対応した“二刀流電車”は、アメリカ・ニューヨーク中心部マンハッタンの主要駅グランドセントラル駅と、北東にあるコネティカット州ニューヘイブンを結ぶ都市圏交通公社(MTA)傘下の近郊鉄道、メトロノース鉄道ニューヘイブン線に使われている電車「M-8」です。日本の川崎重工業(川重)グループが製造しています。
M-8は2011年3月に営業運転を開始。全長が約26mとJRの一般的な在来線電車の20mより長く、先頭部をスタンダールの小説の題名のように「赤と黒」に装飾したステンレス製車両です。筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は勤務先のニューヨーク支局に駐在していた2013~16年にニューヘイブン線沿線に住み、M-8で通勤していました。
ニューヘイブン線はグランドセントラル駅を出発後にしばらくは集電靴を使って第三軌条から集電します。途中のニューヨーク州ペラム―ニューロシェル間で全米鉄道旅客公社(アムトラック)と合流し、以東は架線に切り替わります。
近鉄電車も体験するかもしれない“ある現象”とは
M-8はペラム駅付近でパンタグラフを上げた後は、架線から電気を取り込みます。この切り替え区間を通る際、乗客は“ある現象”を体験します。
近鉄けいはんな線。車両が走るレールの左下のレール(第三軌条)から集電する(大塚圭一郎撮影)。
第三軌条と架線を切り替える区間には給電されないデッドセクション(死電区間)があるため、天井の蛍光灯が一斉に消え、代わりに非常灯が点灯するのです。
この現象は、本州と九州を結ぶ関門トンネルを通るJR九州の電車415系1500番台に乗った際、九州側入口の近くで電気の「交流」と「直流」の切り替え地点を通過する時とよく似ています。
また、ペラム付近でパンタグラフを上げるときも、聞き耳をそばだてていると、パンタグラフ上部の「集電舟」が架線に当たった時に「ボン」という音が聞こえます。
「新幹線より複雑な設計」
元川重役員は筆者に対して、「(M-8)を設計したのは当社で新幹線にも携わっていた社員で、彼はM-8について『新幹線よりも複雑な設計で、これだけ複雑なシステムの鉄道車両は世界中でもおそらくないだろう』と話していた」と打ち明けました。
というのもM-8が「二刀流」なのは、屋根にパンタグラフを載せ、台車枠に集電靴を備えて異なる集電方式に対応しているという点にとどまらないのです。電気の交流と直流の両方にも対応しているのです。
グランドセントラル―ペラム付近の第三軌条から電気を取り込む区間は直流750ボルト、ペラム付近以東のパンタグラフで集電する区間は交流1万2500ボルトです。このため、切り替え時には集電方式だけではなく、直流と交流の切り替えもしています。
さらにM-8はニューヘイブン以東のショア・ライン・イースト線(交流2万5000ボルトの架線)にも対応にしています。それらだけでも驚きですが、M-8の“二刀流”はもう一つ別の要素もあります。
どこまでも柔軟に対応する「二刀流の三冠王」
ニューヘイブン線は、グランドセントラル駅と並ぶマンハッタンの主要駅であるペンシルベニア駅とのあいだを2027年から直通運転する計画で、開始後はM-8がニューロシェル駅から分岐してアムトラックが通っている線路を通ります。
M-8の車内。ニューヨークの都市圏交通公社(MTA)傘下のメトロノース鉄道ニューヘイブン線で走る(大塚圭一郎撮影)。
この実現には、集電方式の違い、直流と交流の違い、電圧の違いだけでなく、同じ集電方式でも微妙に異なる方法にまで対応する必要があるのです。
ペンシルべニア駅までの路線の一部区間は直流750ボルトの第三軌条から集電しますが、この区間では車両の集電靴を第三軌条の上部に接触させて電気を取り込む方式を採用しています。既存のグランドセントラル―ペラム付近で第三軌条の下部から集電しているのとは逆の方式です。
M-8の集電靴は「第三軌条の上からも、下からも電気を取り込むことができる」(川重グループ関係者)という“特技”まで持っているのです。
2つの集電方式と交流・直流、そして集電靴の2つの方法に対応したM-8は「二刀流の三冠王」と呼ぶことができ、メトロノース鉄道の乗務員は「M-8は鉄道車両の(超高級車)ロールスロイスだ」と胸を張っていました。
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手のプレーが脚光を浴びているアメリカで、日系メーカーが生み出した“マルチプレーヤー”の電車が持ち前の高性能で八面六臂の活躍を見せていることはとても喜ばしいことです。日本でもユニークな「二刀流」電車が走り出す日が楽しみです。
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