湘南~伊豆「海沿い激混み国道」の救世主=「新たな農道!?」 30年越しの整備事業いよいよ大詰め “使える迂回路”になる日は
- 乗りものニュース |

ターンパイクを跨ぐ「謎の橋」の正体
神奈川県小田原市の早川と、芦ノ湖越しに富士山を一望する大観山を結ぶ箱根ターンパイク(アネスト岩田ターンパイク箱根)は、箱根方面のドライブでの屈指の人気ルートです。ただ小田原側から進入して、料金所の先から続く約10%の急勾配の上りを2.5kmほど進んだところに、上をオーバーパスする橋があることに気づいた方も多いのではないでしょうか。
じつはこの「姫ノ水橋」は、将来的に小田原市から静岡県と境を接する湯河原町までを総延長約17kmで結び、この地域の新たな交通軸となりうる道です。その正体は神奈川県が「広域営農団地農道整備事業」に基づき事業を進めている「広域農道 小田原湯河原線」(以下、小田原湯河原線)です。
広域営農団地農道整備事業とは、広範な農業地域で農産物の集出荷、流通、加工をスムーズにし、また幹線道路へのアクセスの改善を図るために行われる事業です。道路が通る小田原市、真鶴町、湯河原町は、南東向きの斜面を活かし、みかんやキウイの栽培が盛んです。
ただ現在、この地区を南北に結ぶ道路は海沿いの国道135号のみで、行楽渋滞の影響を受けやすく、また東西方向には狭小な農道や林道しかないため、効率的な輸送の妨げになっています。こうした課題を解決するため、この山側の農業地区を貫通する新たな農道の建設が1996年から進められているのです。
実際に走ってみた
小田原湯河原線の起点は、国道1号の「地球博物館前」交差点です。小田原湯河原線はここから南に入り、交差点名になっている「神奈川県立生命の星・地球博物館」を右手に見ながら、左にカーブする陸橋で国道1号「箱根新道」をオーバーパスし、さらに早川を「太閤橋」で渡ります。
右が「小田原湯河原線」。左の「アネスト岩田ターンパイク箱根」を走るクルマは間近に見える(植村祐介撮影)
この時点で、先に述べた姫ノ水橋までの高低差は約200mありますが、小田原湯河原線は一気に駆け上がります。
姫ノ水橋からは、下を通るターンパイク箱根がきれいに見渡せます。スポーツカーが近づいてくると、それまで鳥のさえずりだけが聞こえていた山あいに大きなエキゾーストノートが響き渡ります。小田原湯河原線はこの姫ノ水橋の200mほど先の丁字路で右に直角に曲がり、南の丘陵地に分け入っていきます。
丘に当たる部分は切り通しで、谷を渡るところは橋で短絡するなど、いかにも今風な農道で走りやすさが確保されています。 ただ快適な道を味わえるのは、丁字路から1kmほどにある「大平橋(おおべらばし)」まで。その先は「石橋−米神区間」として現在事業中です。
全線開通はいつ?
ここでいったん途切れる小田原湯河原線ですが、その先はJR根府川駅から見て西側の区間が整備済みです。県道740号で根府川駅を過ぎて進んでいくと、600mほどで右に分かれるコンクリート舗装の急坂が現れます。この坂を上り、すぐに現れる右に回り込むヘアピンカーブのなかほどで左に分岐する道を進むと、唐突にボックスカルバートでのアンダーパスが現れます。このアンダーパスの手前を左右に走る道が、小田原湯河原線の“続き”です。
根府川駅側から「小田原湯河原線」の供用済み区間を北上すると、すぐにこの看板が現れる(植村祐介撮影)
ここから右手、小田原方向へは「ヒルトン小田原リゾート」の裏手まで、片側1車線の道が整備されています。
北側の開通済み区間とのあいだは「石橋−米神区間」として工事が進められていて、開通予定は2028年度中が見込まれています。しかし左手の湯河原方向は、100mほど先の「田代山橋」の先に工事中の看板が現れ、その先はいったん濃い藪に包まれます。この先、事業中となっているのは1km弱で、その先で供用済みである真鶴町内までつながるにはまだ時間がかかると考えられます。
石橋−米神区間の整備が完了すれば、起点の早川付近から根府川までが約10km、所要時間15〜20分で結ばれることになります。混雑時の小田原厚木道路〜西湘バイパス(石橋支線)〜国道135号の渋滞を考えると、小田原から真鶴まで、または逆方向の代替路として、十分に機能するのではないでしょうか。
こうした農道の一般車の利用については懐疑的な意見も見られますが、神奈川県はこの事業について、農業の振興だけでなく、観光資源へのアクセス改善も挙げています。
一般車が小田原湯河原線を通ることで、近隣の観光農園へのアクセスがより便利になる、もしくは産直の土産物店が賑わうようになれば、それは農業の振興にも大きく役立つことになります。そうした効果を考えるなら、一般車であっても、ためらいなく積極的に利用すべきでしょう。ぜひ事業中の区間の順調な工事の進行、そして早期の全線開通を期待したいと思います。
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