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安いドローンは「安い戦闘機」で撃ち落とせ!? ウクライナが求める“格安機”とは? 同じ悩みを抱える日本は

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  • 乗りものニュース
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ウクライナが欲しがるチェコ製攻撃機「L-159」とは

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とチェコのペトル・バベル大統領が2026年1月に会談し、パベル大統領が同国空軍の「L-159」のウクライナへの譲渡を提案。しかし、チェコのアンドレイ・バビシュ首相を首班とする内閣は承認を拒否したようです。1月21日にフランスの新聞「ル・パリジャン」など複数のメディアが報じています。

Large figure1 gallery8チェコ空軍のL-159(画像:チェコ空軍)

 この話には前後談もあるのですが、ウクライナも注目するチェコ製の軍用機とは、どのようなものでしょうか。

 L-159はチェコ(旧チェコスロバキア)の航空機メーカーであるアエロボドチョディ(Aero Vodochody)が、同社のL-39「アルバトロス」の基本設計を活用して開発した軽攻撃/練習機です。L-39は元々、冷戦時代に存在していた旧ソ連を盟主とする軍事同盟「ワルシャワ条約機構」加盟国向けの中等練習機として開発されました。

L-39は当初から兵装を使用する訓練での使用を想定して開発されたため、兵装搭載能力も持たされており、中東やアフリカ諸国などからの要望によりL-159が開発された経緯があります。

 L-39とその発展型であるL-59には無誘導爆弾やロケット弾などの兵装の運用能力しか付与されていませんでしたが、L-159は空対地ミサイルやレーザー誘導爆弾、空対空ミサイルの運用能力も付与されています。またグラスコックピットの導入により、第4.5世代以降の戦闘機の練習機としても最適化されています。

 L-159にはマルチモードレーダーを搭載した単座型のL-159Aと、複座型のL-159T1/T2の2つのタイプが開発されており、2026年1月現在チェコ空軍とイラク空軍が両タイプを運用しています。

 パベル大統領がゼレンスキー大統領に供与を提案したのは複座型のL-159T1/T2のようです。バビシュ内閣はウクライナへの供与承認を拒否しましたが、チェコ軍の参謀本部は、L-39の最新型で、チェコが導入するF-35などの第5世代戦闘機への訓練にも最適化されたL-39NG「スカイフォックス」の導入が開始されたことから、L-159T1/T2をウクライナに供与しても支障は無いと述べています。

 また、アエロボドチョディはバビシュ内閣がL-159の供与を拒否したことから、L-39NGをウクライナに売却する意向を示しています。

だから欲しい「安い戦闘機」

 このL-39NG、じつは航空自衛隊のT-4中等練習機の後継機としても提案されているようです。真偽のほどは定かではありませんが、航空自衛隊へ提案価格は1機20億円程度と、競合機と見られているM-346(イタリア)やT-7A(アメリカ)よりも、はるかに安い価格が提示されているという話もあります。

Large figure2 gallery9ウクライナ空軍のF-16(画像:ウクライナ空軍)

 ウクライナはサーブ「グリペン」やダッソー「ラファール」などの第4.5世代戦闘機を導入する意向を示していますので、L-159やL-39NGのような練習機を必要としていると思いますが、おそらく練習機としてだけではなく、「ドローンハンター」としても欲しているのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 ウクライナはオランダなどから供与されたF-16戦闘機を使用する対ドローン戦術を考案し、実際にロシアのドローンの迎撃でも効果を上げています。しかし、1飛行時間あたり30万円以上の運用コストを要するF-16を用いた安価なドローンへの迎撃は、ウクライナを経済的に疲弊させていると考えられます。

 パべル大統領が提案したL-159はF-16に比べて飛行性能が低く、搭載するセンサーの能力も劣りますが、運用コストは格段に安いです。このため、ウクライナはドローンハンターとしてもL-159を求めているのではないかと思います。

 このようなドローンを含めたUAS(無人航空機)や哨戒機といった脅威度の低い経空脅威の迎撃に伴う経済的疲弊は、日本や台湾にとっても他人事ではありません。中国が日本や台湾の防空識別圏に多数の航空機を接近させており、航空自衛隊や台湾空軍はその都度、戦闘機を緊急発進させて対処しています。しかし、緊急発進によって生じる戦闘機の運用コストは経済的な疲弊をもたらすだけでなく、機体や乗員に大きな負担を与えています。

 そこで日本でも、安価なドローンハンターを模索する動きがあります。

「安く早く迎撃」日本の2つのアプローチとは?

 一つはUASの活用です。防衛省は令和8年度予算案に、海上自衛隊が導入するUAS「シーガーディアン」を利用して航空自衛隊が緊急発進(対領空侵犯措置任務)にUASを使うための検証飛行の費用として11億円を計上しています。

Large figure3 gallery10L-39NG「スカイフォックス」のコクピットパネル。液晶ディスプレイの表示は、訓練対象機に合わせて変更できる(竹内 修撮影)

 もう一つが、練習機の活用です。三菱重工業が2025年5月の防衛・安全保障イベント「DSEI Japan 2025」の会場で航空自衛隊のT-4練習機の後継として発表した次期練習機「T-X」のコンセプトモデルには、機関砲の発射口が設けられていました。

 航空自衛隊のニーズを形にしたというT-Xのコンセプトモデルに機関砲の発射口が設けられているのは、航空自衛隊が脅威度の低い経空脅威に対する緊急発進に、F-35などの戦闘機と比べたら運用コストの安い航空機の活用を検討している証左と言えるでしょう。

 世界的にはもう一つの動きもあります。ドイツの防衛装備品メーカーであるディール・ディフェンスは、ドローンを迎撃するためのドローン「SKY SPHERE」を実用化しており、同種の装備品はアメリカなどでも実用化されています。

 UASや練習機など運用コストの低い「サスティナブル」(持続可能)な迎撃手段の模索は、今後の世界的なトレンドになっていくものと思われます。

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