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「選挙カー」の声うるさくて試験に集中できず…もし“不合格”だったら賠償請求できる? 弁護士に聞く

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選挙カーから発せられる音声が原因で受験に失敗した場合、賠償を請求できる?(画像はイメージ)
選挙カーから発せられる音声が原因で受験に失敗した場合、賠償を請求できる?(画像はイメージ)

 衆議院選挙が2月8日に投開票を迎えます。一般的に選挙期間中は、市街地や住宅街などを走行する選挙カーから候補者の名前が連呼されますが、こうした音声に対して、ネット上では「うるさい」「子どもが寝ているのに」などの声が多く上がります。特に今回の選挙は大学や高校、私立中学などの入学試験が行われる時期と重なるため、選挙カーから発せられる音声が受験生に影響を与える可能性があると指摘されています。

 もし選挙カーから発せられる音声がうるさくて試験に集中できなかった結果、不合格となった場合、受験生やその家族は、選挙カーに乗っていた候補者やその関係者などに対し、賠償を請求できるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

明確な音量制限や数値規制が規定されておらず

Q.選挙期間中、選挙カーから発せられる音声について、SNS上では「うるさい」といった声が多く上がります。そもそも、選挙カーによる選挙活動は、法的に問題はないのでしょうか。もし聞いた人が騒音と感じるほどの音声を発した場合、法的に問題となる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「このような事例は、憲法で保障されている『表現の自由』と市民が『平穏な生活をする権利』の衝突とも言えます。選挙活動は、国民の表現の自由として重視されますが、無制限ではありません。国民の表現の自由は、公共の福祉に反しない範囲で保障されており、極端な騒音は『表現の自由』の逸脱と見なされる可能性があります。

選挙カーの騒音そのものを直接規制する騒音規制法などの規制法はありませんが、公職選挙法140条の2第1項では、『選挙運動のため、連呼行為をすることができない』と規定し、これに違反すると同法243条に基づき、2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

ただし演説会場および街頭演説の場所においてする場合ならびに午前8時から午後8時までの間に限り、選挙運動のために使用される自動車または船舶の上においてする場合には、連呼行為が認められています」

Q.学校や試験会場の周辺で選挙カーによる選挙活動を行う場合はいかがでしょうか。公職選挙法に基づき、表現の自由の逸脱として罰則を科される可能性はありますか。

牧野さん「公職選挙法140条の2第2項では、学校、病院、その他の療養施設周辺では『静穏を保持するように努めなければならない』と努力義務が規定されており、これに反する行為は違法とはなりますが、罰則はありません。しかもこの条文に『試験会場』は含まれていないため、努力義務すら規定されていません。

そのため、もし大学や高校、私立中学などの入学試験が貸しホールのような民間施設で行われた場合、候補者がその試験会場の近くで選挙カーから連呼行為をしたとしても違法にはならない可能性があるでしょう。

また、実際に選挙管理委員会や警察に対して苦情が寄せられても、具体的に『何デシベル以上は規制違反』という明確な音量制限や数値規制が法律上規定されていないため、警察の方でも指導が難しいという現状があります」

Q.もし試験中に選挙カーから発せられる音声がうるさくて集中できなかった結果、不合格となった場合、受験生やその家族は、選挙カーに乗っていた候補者や関係者、候補者が所属している政党などに対し、賠償を請求できるのでしょうか。

牧野さん「民事では、民法709条の不法行為として、受任限度を超える騒音の場合には、理論的には、家族ではなく受験生本人は、その自ら被った精神的損害(慰謝料)の賠償請求ができます。

ただし、長期的、継続的でなく選挙運動の期間や機会に限られることもあり、また選挙カーから発せられる音声と精神的損害との関係性を立証することは困難と言えます。そのため、実際に選挙カーに乗っていた候補者や関係者、候補者が所属している政党などに対して、損害賠償請求することは一般には難しいでしょう」

Q.選挙カーから発せられる音声が原因でトラブルになった事例、判例はありますか。

牧野さん「2023年7月、仙台市議選の最中に、住宅街で選挙カーの騒音に腹を立てた会社員の男が、停車した選挙カーのドアを怒鳴りながら開けようとしたとして、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで逮捕された事件があります。騒音についてはおとがめなしでした。

公職選挙法225条では、有権者や候補者などへの暴行や威迫、集会や演説の妨害などを禁止しており、違反した場合、選挙の自由妨害罪として、4年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科される可能性があります」

オトナンサー編集部

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