広島の路面電車を貸し切ったら「とんでもなく貴重な車両」だった! 電停すべて通過の快感! 料金は“飲み代より安い!?”
- 乗りものニュース |

電車の貸切って聞くとハードルが高そうですが、実は思いのほかリーズナブル。特に路面電車は気軽に借りることができるようです。そこで今回は、広電を貸し切り、特有の特別感を味わってきました。
広電を貸切! 300両の電車のなかからやってきたのは?
「貸切」ってコトバ、なんだか特別な響きがあって嬉しいですよね。バスや温泉など、いろいろな貸切がありますが、鉄道車両も個人レベルで気軽に貸し切れるのをご存知でしょうか。
貸切した651号車。戦後の更新で、ワンマン化・方向幕の大型化が実施されている。「0」は回送・貸切・試運転表示のほか、路線の途中で終点となる運行や最終便でも表示される(遠藤イヅル撮影)
実は貸切を行っている鉄道事業者は、全国の中小私鉄・路面電車などを中心に60社前後に及び、思いのほか列車の貸切が容易なことに驚かされます。ローカル私鉄や第三セクター、路面電車事業者はもちろん、多摩や千葉のモノレール、あるいは一部の大手私鉄、そのグループ会社などでも貸切が可能です。
そんなある日、広島在住の友人が広島電鉄の路面電車を貸し切る、という話を聞いたので、貸切運転はどのように行われるのかを知るため、広島まで行くことにしました
広電こと広島電鉄は、広島市内を中心に、「市内線」とよばれる軌道線と、広島市郊外の宮島方面に至る鉄道線の「宮島線」を有する事業者です。総延長35kmを超える営業距離、年間利用者数5500万人という利用者数、そしてなんと約300両にも及ぶ車両数を含め、路面電車として日本一の規模を誇ります。
「路面電車王国」と呼ばれるほどバリエーションが多いのも特徴で、大阪・京都・神戸・北九州などの都市で走っていた古い車両から、時代ごとの技術の粋を集めて作られた自社発注車両、郊外路線を最高60km/hで走れる連接構造の直通用車両などを保有。戦前から最新の近未来的な超低床車両までひっきりなしにやってきて、鉄道ファンのみならず利用者の目を楽しませています。
貸切利用は「市内線」と「宮島線」、「市内線→宮島線への直通運転」のいずれでも可能ですが、この日は市内線の貸切とのことで、JR広島駅前の市内線乗り場に集合しました。続々と入線・発車する電車を見たり撮ったりして、乗る前からテンションが上がります。
そしていよいよ今回貸し切る電車がやってきました。カーブの向こうから姿を見せたのはなんと650形の651号! 思わず胸元で小さくガッツポーズしました。650形は「被爆電車」として知られる有名な車両です。
マジで!? 「被爆電車」貸し切れるの!?
650形は、1942(昭和17)年に木南(きなみ)車両で5両が製造された自社発注車で、2025年現在で ”83歳” を迎えます。1945(昭和20)年8月6日午前8時15分、広島市内に原子爆弾が投下された際には、全車が被爆して半焼もしくは全焼・大破しました。
しかし、1948(昭和23)年までに5両すべてが復活。655号が1967(昭和42)年に事故廃車、654号が2006年に運用を終えて広島市交通科学館で展示されたものの、残り3両は健在です。うち651・652号の2両が、平日朝のラッシュ時に1・3・5・7号線で活躍しています。
651号は爆心地からわずか700mほどで被災し、車内にいた約80名が亡くなったといいます。被害が大きかった651号ですが、翌年3月には早くも復旧を果たし、悲しみにくれる広島市民の大切な足となり、人々を勇気付けました。他の被爆車両とともに、広島復興のシンボルとして現在も多くの人に愛されています。
“熱い視線”を受けて出発!
方向幕に「回送」を表示した651号は、降車ホームである「おりば」奥に到着。どの路線にいつやってくるかわからない651号を間近でマジマジと見ることができるのは、電車ファンとしては至極の時間です。気がつくと行先幕は「0 貸切 RESERVED」へと変わっており、これからこれに乗るのだ!という気持ちがいっそうはやります。
ドアが閉まり、651号がゆっくりと「おりば」を出発します。ダブルクロスポイントを経て、1・2・6号線のりばに進むと、電車を待つ多くの乗客の「この電車はなんだろう?」という視線を感じますが、もちろんその「のりば」には停車せず、651号は広島駅電停を離れ、的場町方面へと進んでいきます。なんだかちょっといい気分。これもまた、貸切運行の醍醐味と言えます。貸切運行のルートも聞かされていないので、それもまた楽しみです。
651号は「猿猴橋(えんこうばし)町」電停を通過し、「的場町」電停へ。広島駅から的場町までのこの区間は、広島駅ビルに路面電車が直接乗り付ける「駅前大橋ルート」が2025年8月(予定)に開業する際に、廃止が決まっています。的場町では5号線が分岐しますが、651号は1・2・6号線に入線。「稲荷町」電停からは、広島駅方面に向かう建設中の駅前大橋ルートを見ることもできました。
ゴールは市街地ど真ん中!
651号は銀山町・八丁堀などの繁華街を進み、「紙屋町東」電停を超えると左折して1号線のルートに。中国地方で最大規模を誇る繁華街の紙屋町、そして広島本通商店街のにぎわいを眺めつつ651号は南下します。
雨の中、本社脇の千田車庫で休む路面電車たち(遠藤イヅル撮影)
中国電力本社があることから名付けられた「中電前」電停、広島市役所・中区役所に近い「市役所前」電停、高い放射線障害の治療ノウハウを持つ広島赤十字・原爆病院の最寄り電停である「日赤病院前」などを通過すると、左側には広電の中心拠点「千田(せんだ)車庫」と広電の本社が見えてきます。
すると651号は広電本社眼前にある「広電本社前」電停に停車しました。これにて貸切運転は終了です。651号は参加者を下ろすと、いったん宇品方面に少しだけ走って折り返し、広島駅方面に転線。さらに渡り線を用いて千田車庫へと帰っていきました。
貸切料金は飲み代より全然安い!?
突然ですが、ここで問題です。この運転(市内線での1行程)はいったいいくらで貸し切ることができたでしょうか。
正解は2万3040円。宮島線での貸切および市内~宮島線での長距離利用でも、連接車を使って4万3200円ですので、思った以上に安いと思います。市内線貸切なら、2人で借りて割り勘すれば1万1520円、20人ならなんと1152円で路面電車を貸し切れるのです。今回の貸切運転も一人当たり2000円台で済みました。
時間にして約30分のショート・ツアーですが、車内は自由に動き回れて、大きな声での会話も自由、そして電停はすべて通過という非日常的な電車の乗り方ができ、実に充実・濃密な時間を過ごせたことを思うと、とてもリーズナブルな料金設定に感じられました。
広電では、路面電車の貸切利用について、曜日を問わず10時~16時の間で申し込むことが可能、ただし土休日はイベントなどが重なった場合に受付不可の場合もある、と説明しています。申し込み方法は「ひろでんコールセンター」に、運転希望日の2週間前までに電話にて行います。
日常では味わえない、バスやクルマよりもずっと大きな路面電車を貸し切るという特別感。それを仲間と一緒に気軽・安価に楽しめるのは大いに魅力的でした。他にも、よりリーズナブルな利用料金を掲げている鉄道事業者があるので、興味があればぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
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