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空から見た「引退目前」の古豪たち 1世紀走り続けた箱根登山電車の“生き字引”最後の雄姿

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2028年に引退予定

 関東有数の温泉地・箱根は、いにしえより東西交通の要でした。箱根は「天下の剣」と称されるほど、幾重にも山々が連なっています。峻険の山々に登山鉄道が開業したのは、1919(大正8)年のこと。小田原~強羅間を結ぶ箱根登山鉄道(現・箱根登山電車)です。同鉄道は開業時から電化され、80パーミル(1000mで80m高低差がある)の急勾配と、3か所のスイッチバックによって山々を登ります。

Large figure1 gallery5「出山の鉄橋」の愛称が付いた早川橋梁に差し掛かるモハ2形108号。東海道本線天竜川橋梁のトラス橋を転用している(2014年1月17日、吉永陽一撮影)

 開業時の電車はチキ1形で、1927(昭和2)年にチキ2形が導入されました。太平洋戦争後、チキ1形はモハ1形に、チキ2形はモハ2形に改称し、車体や走行装置などを載せ替え、外観はガラッと姿を変えました。

 車体は正面非貫通の3枚窓、窓枠を補強するウインドウシルとウインドウヘッダーが窓に巻かれて、屋根上には抵抗器が搭載され、重厚なたたずまいを感じさせます。昭和50年代後半に1000形「ベルニナ号」が誕生するまで、箱根登山鉄道といえばこの2形式が思い浮かぶほど、シンボル的な存在でした。

 しかし、チキ形からの車歴をたどれば、モハ1形は誕生から1世紀が経ち、モハ2形とともにそろそろ引退の時期がやってきました。新型の3000形、3100形「アレグラ号」が導入され、2019年には同鉄道最後の吊り掛け駆動車、モハ1形103+107号編成が廃車となりました。2026年現在、モハ1形は104号と106号、モハ2形は108号の計3両を残すのみです。この3両はモーターをカルダン駆動に換装され、軽やかな音を奏でます。

 そしてこの3両も、2028年1月をもってついに運行終了を迎えます。刻一刻と引退の時が迫ってきたなか、3両は日々運行されています。そこで、モハ1形と2形を空から観察しました。約10年、いろいろなシーンを空撮してきたなかから、数カット紹介します。

 夏、箱根登山電車はうっそうとした森の中を走ります。急坂の線路はトンネルをいくつもくぐり、最急半径30mの曲線を描きます。電車は山ひだを縫い、木々に囲まれて天然の森のトンネルを走ります。これでは上空から影になって見えません。箱根登山電車を空撮するのに適するのは、晩秋になってから。葉が落ちて線形がよく分かります。さらに曇天であれば影ができないため、よりよく線路が見えるのです。

 写真は空撮用のセスナ機から撮影します。時間は短いと感じるかもしれませんが、ほとんどが10分から20分ほど。山の上を飛行するため、地上と比べてあっという間に移動でき、強羅→大平台→宮ノ下→出山の鉄橋(早川橋梁)→大平台といった移動も可能です。空から俯瞰(ふかん)すると、あちらこちらで電車が走っているのが見えるので、上空で行ったり来たりしながら、何本かの電車を狙います。

 箱根登山鉄道は急曲線やスイッチバックがあり、等高線に沿って走るモハ1形と2形は鉄道模型ジオラマのように見えます。急曲線を曲がるときは、車体が想像以上に線路の外側へ出る様子が見て取れました。

 モハ1形とモハ2形は、箱根登山電車に乗った記憶のある方ならば身近な存在でしょう。名物の顔が引退することについては、一抹の寂しさがあります。引退まで実質的にあと1年半、古豪は最後の力を振り絞って箱根の山に挑んでいます。

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