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日英伊の「次期戦闘機」実はかなり“追い込まれている?” 切迫するカネと時間の問題 余裕は全然無い!?

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  • 乗りものニュース
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日英伊の3国共同による次期戦闘機「GCAP」の開発への下準備が進んでいます。しかし、1国は予算の削減を表明するなど、カネの問題だけでなく、時間的にも余裕がない状況になりつつあります。

「下準備」を固めている段階のGCAP

 2024年10月16日から19日にかけて東京ビッグサイトで開催された「国際航空宇宙展2024」に、次世代有人戦闘機「GCAP」(グローバル戦闘航空プログラム)の最新模型が展示されました。

Large 241101 gcap 01GCAPで開発される空自の次期戦闘機のイメージ(画像:防衛省)。

 展示された模型のデザインは、2024年7月にイギリスのファンボロー・エアショーで展示された模型と同一です。ファンボロー・エアショーでは全長20m強の模型が展示されていましたが、国際航空宇宙展2024ではその10分の1程度、全長2m強の模型が展示されました。

 GCAPは日本とイギリス、イタリアの3か国による有人戦闘機の国際共同開発プログラムです。現在日本の航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機と、イギリス、イタリア両空軍が運用しているユーロファイター・タイフーン戦闘機(イタリア空軍での呼称はEF-2000)を後継するもので、航空自衛隊は2035年の運用開始を目指しています。

 アメリカ以外の国との防衛装備品の開発は、日本にとって初の挑戦となります。10月19日にイタリアのナポリを訪問した中谷 元防衛大臣は、イギリスのジョン・ヒーリー、イタリアのグイド・クロセット両国防相と会談。GCAPの共同開発に向けた、3か国による合弁企業の設立への議論が大きく進展したという報告がなされました。

 防衛装備品の国際共同開発にあたっては、そのプログラムを管理する国際共同機関が設立されます。GCAPの場合も2023年12月14日に、3か国がGIGO(ジャイゴ:グローバル戦闘航空プログラム政府間機関)の設立条約を締結しています。

 GIGOの初代トップとなる主席行政官には日本人の起用が内定しており、中谷防衛相はナポリで、初代行政官に岡 真臣元防衛審議官を起用する意向を示しました。国防相会談では岡氏の派遣準備を進めていると明言しています。

 このように事務面では順調に進んでいるように思えるGCAPですが、財政・技術の両面で問題と「時間との戦い」が存在しています。

くすぶる「見直し」論と「サウジを仲間に」論

 イギリス国防省は2024年10月に、GCAPと、GCAPや無人航空機などで構成されるFCAS(将来戦闘航空システム)に関する2025年度の支出を、当初計画の14億6000万ポンドから1億6000万ポンド削減し、13億ポンドとする方針を明らかにしています。

 イギリス国防省はこの削減がGCAPの後退を意味するものではないと強調していますが、イギリス国内には以前から、アメリカ、オーストラリアとの軍事同盟「AUKUS」の一環として建造を計画している新原子力潜水艦の開発とGCAPを両立するのは財政的に難しいとの理由から、GCAP計画の見直しを主張する意見もあります。

 日本とイタリアにも財政的な余裕がないことから、3か国以外の国、たとえばサウジアラビアなどを開発国に加えるべきなのではないかとの声も、根強く存在します。

 また、国際航空宇宙展2024の会場では、サウジアラビア以外の国が、部分的な開発パートナーとして加わってくるのではないかという見方も浮上していました。

Large 241101 gcap 02サウジアラビア空軍のユーロファイター・タイフーン。サウジアラビアはこの次世代の戦闘機を確保すべく、GCAPへの参加意向を示している(画像:BAEシステムズ)。

 国際共同開発の参加国を増やせば、1国の財政支出を削減できるというメリットがあります。その一方で事務作業だけでも、前に述べたGIGOの枠組みの見直しが必要になるなど、開発作業は煩雑になります。

 このまま3か国で突き進むにせよ、他国を加えるにせよ、開発が本格化する前に意思決定を行う必要があり、残された時間はあまり多くないと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

もっと切迫する「エンジン開発」

 当たり前と言えば当たり前の話なのですが、航空機に搭載するジェットエンジンは、試作機が完成するより先に地上での運転試験や、実際に飛行中の航空機に搭載する運転試験などを完了し、性能や安全性などを確認しておかなければなりません。

 ユーロファイター・タイフーンの試作機が初飛行したのは1994年3月27日でしたが、搭載するユーロジェットEJ200ターボファン・エンジンは試作機初飛行の3年前、1991年に初の運転試験を行っています。

 GCAPのエンジンの開発は日本からIHI、イギリスからロールス・ロイス、イタリアからアヴィオ・エアロが参加して行われますが、アヴィオ・エアロの役割は補助的・副次的なもので、実際の開発作業はIHIとロールス・ロイスが主導します。

Large 241101 gcap 03ユーロファイター・タイフーンに搭載されているEJ200ターボファン・エンジン(竹内 修撮影)。

 現在IHIとロールス・ロイスのスタッフは月に一度くらいのペースで日本とイギリスを行き来して、詳細設計など開発に向けた作業を進めていると筆者は聞き及んでいます。GCAPの試作機がいつ頃初飛行するのかは明らかにされていませんが、冒頭で述べたように航空自衛隊は2035年の就役を望んでいるので、遅くとも数年前にはエンジン開発と試作機の飛行試験を完了している必要があります。

 エンジンについても「まだ11年ある」ではなく、「もう11年しかない」という、時間との戦いを要求されることになると思われます。

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