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「学校行きたくない」子どものネガ発言に困惑したら…? 三児の母・小児精神科医の内田舞さんが共感するポイント

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  • マイナビウーマン
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『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』を出版した内田先生にインタビュー。小児精神科医でハーバード大学准教授であり、9歳、8歳、3歳の息子たちを育てる母親でもある内田舞先生が、子育てで大事にしているかかわり方のポイントを聞きました。

■「学校に行きたくない」気持ちの受け止め方

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ーー子どもが「学校に行きたくない」と言ったり、ネガティブな感情を吐き出したとき、親は子どもの気持ちを受け止めることが大事とは思いつつも、なかなか難しいです。

内田先生(以下、内田)  私がよく意識しているのは、「自分だったらどう感じるかな」と考えることです。例えば、今夏休み中の小学生の息子たちは、毎週違うアクティビティの日帰りサマーキャンプに参加しています。息子たちは朝から夕方まで、慣れない場所で知らない子や先生たちのもとで、環境に順応しながら過ごしています。

一方で私はというと、10年以上同じ職場で、心を許せる同僚たちと、ある程度決まったルーティンのある安定した環境で働いていますから、もし自分が毎週新しい職場に行かなければならないとしたら、かなりのストレスです。もし自分だったら「行きたくない」と思う日もあるだろうな、と考えられます。

ーー大人も月曜日の朝に「仕事に行くのしんどいな」と思うことはよくありますね。

内田 そうですよね。私自身も仕事を愛しているし生きがいを感じているけれど、月曜の朝は「もう1日休みがあったらいいのに」と思います。だからもし子どもが「学校に行きたくないな」と言ったら、その気持ち自体には共感できるし、「いつも頑張ってるよね」と声をかけることもできます。

自分に置き換えて考えてみると「仕事行きたくないな」という私に、夫が「でもそれはあなたの生きがいでしょう」「家計のために必要でしょう」と言ったとしたら、正直うんざりしますよね。コーヒーをかけたくなるくらい(笑)。

だから子どもに対しても、「でも友だちもいるでしょ」「今日はきっと楽しいことあるよ!」と言うのではなく、「そうだよね、起きたくないよね」とまずは気持ちを受け止めます。それだけで、子どもの気持ちはずいぶん違うと思うんです。

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ーーそんなふうに共感することもそうですが、ご著書にあるエピソードから先生はお子さんたちの「いいところ」を見つけるのがとても上手だなと感じました。褒めるポイントの見つけ方などがあれば教えていただけますか?

内田 そうですね、それは小児精神科医としての仕事が直接的に役立っている部分かもしれません。私が日々診察室で接している子どもたちは、何らかの課題や困難を抱えていることが多いです。一般的に「普通」とされていることが、実は「普通」ではないという状況がたくさんあるのです。日常的に幸せを感じられること自体が、実はとても特別なのだと日々学ばせてもらっています。

だからこそ、自分の息子たちが何かに喜びを感じたり、勇気を出して何かに挑戦したりすることが、「すごいこと」だと感じるんです。むしろ、そうした「楽しめる力」や「喜びを感じる力」があれば、他のことは多少できなくても大丈夫だと思えるようになりました。もし息子たちに得意なことがなかったとしても、日々の生活で幸せを感じられるのなら、人生はどうにでもなると心から思っています。子どもたちの中にある小さな光のようなものを見つけて、それを心から大切に思う。そんな気持ちで日々接しています。

■子育て中の「怒り」をコントロールするヒント

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――子育て中には、イライラしてつい子どもに声を荒げて叱ってしまうこともあります。感情をうまくコントロールするヒントがあれば教えてください。

内田 私もありますよ。育児本やインタビューでは「いい育児」をしているように見えるかもしれませんが、実際には「こんな姿を見たらだれも私の本なんて読まないだろうな」と思うような瞬間もたくさんあります(笑)。

そんなときには「再評価」を意識しています。再評価とは、ある出来事についてネガティブな感情が湧いたとき、いったん立ち止まって、その感情を客観的に評価し、ポジティブな方向に転換する心理的プロセスです。

ーー具体的にはどんなふうに意識するんですか?

内田 本にも書いたエピソードですが、子どもたちが片付けをしないとき、私は「これは私に対する敬意がないからだ」と感じて、怒りが湧いたことがありました。でも、立ち止まって「これは本当に敬意の問題なのか?」と考え直してみたのです。すると、子どもたちはただ「片付けが面倒」で「今遊びを中断したくない」と思っているだけで、私への敬意とは関係ないと気づきました。

その瞬間、怒りがすっと引いて、目的は「言うことを聞かせる」ことではなく「部屋を片付けさせる」ことだとわかったんです。

最近、アメリカ人のママ友と話していたときに「リスペクトとコントロールは違うよね」と言われた言葉が印象的でした。本当にそれはその通りで、「言うことを聞かせる」ことがリスペクトを得ることではないんです。相手が自分の言うことを聞いているからといって、それがリスペクトの証とは限りません。

日本は儒教的な文化や上下関係の強い社会構造の中で、「立場が上の人からの命令は聞くべき」という考えが根強くあります。だからこそ、リスペクトとコントロールは切り離して考える必要があると思います。

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ーー私には高校2年生の娘がいるのですが、彼女が毎晩なかなかお風呂に入らなくてイライラします。こういう怒りはどう扱えばいいのでしょうか?

内田 例えば、お風呂に入らないと何が起きるのかを考えてみると、翌日は髪や体がベタベタして気持ち悪いかもしれないし、友だちに不快な印象を与えるかもしれません。それは彼女自身が負うべきリスクです。本人がその結果を引き受けられるなら「じゃあ、今日は入らなくてもいいよ」と任せるのも1つの方法だと思います。

ネガティブな感情が湧いたときに「なぜこの感情が出てきているんだろう?」と一つひとつ考えてみるんです。その裏にはどんな思考があるのか、どんな社会的背景が自分に影響しているのか……。掘り下げていくと、自分自身のこともよく見えてきます。ていねいに見つめてみることで、感情に振り回されずに、より柔軟な対応ができるようになると思います。

――先ほど先生も「怒ることもある」とおっしゃっていましたが、親子でお互いに怒りの感情を表現することも、ある意味でコミュニケーションの1つと考えられますか?

内田 もちろん、そう思います。人間ですから、親も子どもも感情を持っていますし、それを表現してはいけないわけではありません。ただ、大切なのは「どう表現するか」と「表現した後にどうするか」だと思います。

もし、ただ相手をコントロールするための怒りなら、一度立ち止まって考え、その裏にある考えを伝えることが必要です。怒りにまかせて子どもに「こうしなさい!」とぶつけてしまうと、子どもには「親が怒っている」ことと、「自分は従わなければならない」というメッセージしか伝わりません。親の頭の中にあるはずの本当に伝えたいメッセージが抜け落ちてしまいます。

もし感情が先行して怒ってしまったときは、後からでも「なぜ怒ったのか」を伝え直すことが大切です。例えば、「あのときは感情的になってしまったけれど、本当はこう思ったから怒ったんだよ」と説明する。そして「あんな言い方をしてごめんね」と謝ることも必要だと思います。

■完璧な育児は不可能。自分自身を認め評価してほしい

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ーー子どもに怒ってしまう自分を反省したり、ほかの家庭の育児と比較したりして、親として自信をなくしてしまうこともあります。

内田 日本の社会では、母親が内的評価を築きにくい構造があると常々感じています。あるべき母親像を求められて苦しんだり、「怒ってしまう自分はよくない親だ」と自信をなくしてしまったり。そこでもう1つ大切にしてほしいのが「内的評価に目を向ける」ということです。これは、再評価のプロセスにおいても非常に重要な要素だと思っています。

内的評価とは、自分に対する自己評価のこと。自分の良いところも悪いところも、欠点も含めて受け入れながら、「でも自分にはこんな良さがある」「こんな経験を重ねてきた」と、自分の価値を認め、評価してあげてほしいのです。

自分の価値を感じていれば、「子どもをコントロールしなくても、自分の価値は変わらない」と思えますし、怒りが爆発してしまったとしても「自分が間違っていたかもしれない」と思える余裕が生まれます。

それは、自尊心とも言えるでしょう。自尊心があると、自分の感情や行動にも冷静に目を向けられるようになります。逆に自尊心がないと、「自分は親だから怒っていい」「子どものためを思ってやっているから正しい」「お金を出しているから当然だ」といった具合に、自分の感情や行動を無理に正当化してしまうことになりかねません。

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ーーたしかに周囲の目が気になって親としての自己評価が低くなることはあるかもしれません。電車に乗って赤ちゃんが泣いたときに泣き止ませられず、苦しい気持ちになったこともありました。

内田 日本では「完璧な育児」が求められる風潮があるけれど、実際には完璧なんて不可能ですよね。さらに、共働き家庭が多数派になっているにもかかわらず、家事や育児は依然として「母親の役割」とされるステレオタイプが根強く残っています。男性が育休を取りにくかったり、時短勤務がしづらかったりする一方で、女性が仕事を犠牲にすることが当然とされている。そうした社会的期待が、母親たちを追い込んでいるのです。

家事や育児は、人間社会の中でも最も大変な仕事の1つです。常に頭をフル回転させて、膨大な数の判断をしながら進めなくてはならないのに、目に見える「成果」として現れるわけではありません。それでも、私たちは毎日、ものすごい量のエネルギーを使って育児をしています。

社会がすぐに変わらないのであれば、せめて親同士が「私たち、よくやってるよね」と言い合える関係を築きあいたいですよね。また、もし今育児に悩んでいる人がいたら、自分の価値を認めてもっと自分をほめてあげてほしいと思います。

(解説:内田舞先生 取材・文:早川奈緒子)

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